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その二十五 人たらし

「そなたが今川義元であるか。思うていた通りの武者振りでおられる」


着慣れぬ公家装束に身を包んだ藤吉郎は、全く公家らしからぬ飄々とした立ち居振る舞いで義元と対面した。


藤吉郎は自分の素性を嘘偽り無く淡々と語った。


真実だけが持つ迫真の現実感に義元は微塵も疑うことなく、藤吉郎のこれまでの経緯(いきさつ)を信じ、涙した。


藤吉郎の飾らぬ人柄に、義元はすっかり心酔してしまった。


藤吉郎は筆を所望すると、義元の面前ですらすらと書状をしたためた。


その書き連ねた文字は、芸事に秀でた義元も目にしたことが無いような達筆で書き連ねられていた。


書状にはこう書かれていた。



〜 我は正親町(おうぎまち)天皇の御落胤にて藤吉郎皇子である。

この書状を携えし今川治部大輔(じぶだゆう)義元は我を奉じて上洛し、天子様に我を引き合わせんとする者なり。

何人たりともそれを妨ぐるものは御所に弓引く逆賊として討伐されるものなり 〜



ここにいたり、義元は感極まって平伏し書状を承った。


義元は固く誓った。


このお方を御所へと(いざな)い、必ずや親王に、いや天子様と奉じることこそ武人たる己に課せられし天命であると ・・・・


藤吉郎も信長の命を忘れ、このまま義元と共に京へのぼっても良いのではとさえ思った。


この小柄な猿顔の小男には、出会う人物を皆、自分のことを好きにならずにはいられなくする人たらしの力が備わっていたのだった。


相手が律儀で筋目正しい人間であればあるほどより強く虜にした。


義元は良い武将であり良い人間であった。






信長はそれを利用した ・・・・

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