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生物学的解説

このお話の中で秀頼は、豊臣秀吉の本当の子であったということにしています。


当たり前と言えば当たり前ですが、十数人もの側室がいた秀吉にしては子が出来るのが遅すぎたのでは?


果たして実子だったか怪しい?


という説にも説得力があります。


もし太閤秀吉が死んだときに、すでに成人している跡継ぎがいたなら、


その後の四〇〇年の日本の歴史は、大きく変わっていたことでしょう。


さて、この物語ではなぜ秀頼を実子として描いたのかを少し詳しく解説いたしましょう。



最近の研究でヒトの精子はけっして一様ではなく、いくつかの役割を分担していることがわかってきました。


アメフトのオフェンスのように他人の精子に激突して攻撃酵素を出して撃滅するもの。


他人の精子をブロックして先に行かせぬディフェンダーの役割を担うもの。


敵を出し抜いてまっしぐらにタッチダウン(受精)を狙うもの。


まるで戦争を前提としたような精子の役割分担がなぜ私達ホモサピエンスに自然に備わっているのでしょうか?



それほど遠くない過去 ・・・・


私達がまだ家や畑を持つようになるちょっと前まで ・・・・


私達は洞穴(ほらあな)洞窟(どうくつ)の中で暮らしていました。


家族だけではなく、おそらく何十人かの小グループで共同生活を営んでいたことでしょう。


焚き火が消えてしまえば夜は真っ暗闇です。


洞窟の入り口から差し込む月の明かりでやっと這いまわれるぐらいでしょう。


このシチュエーションで血気盛んな若者がおとなしく寝ていられる訳がありません。


昼間に目をつけておいた年頃の娘のところへ闇にまぎれて夜這いをかけます。


(日本でも江戸時代あたりまでは、夜這いはごく普通の恋のアプローチでした)


中には親や兄弟に見咎められて追い払われる場合もあったでしょう。


娘はまだ早い!とか、馬の骨にはやれん!とか。(現代と一緒です)


でも、娘も年頃となれば家族のためにも部族のためにも子供を産まなければなりません。


パートナーの選択は娘の好みと本能にまかされノーガードとなります。(現代もそーです)


かくして若く魅力的な娘の寝床には毎晩、次から次へとオトコが夜這って来るようになります。


全て受け入れるのも、タイプだけを受け入れるのも娘の自由です ・・・・



ここで精子戦争が勃発するのです。



成人するまで飢えや病気や紛争を生き残り、娘にも選ばれ、さらに精子戦争にも打ち勝った飛び切りの遺伝子だけが子孫を残し、次の世代の進化を任うのです。


おそらく秀吉は猛烈に精子競争に強いタイプの遺伝子を持ち合わせていたのではないでしょうか。


あまりにも強すぎる精子は独占状態にあるメスに対しては逆に受精しにくくなってしまうという欠点があります。


あくまで精子戦争を勝ち抜くのに適した精子軍団ですから競争相手がいてくれないと勢い余って肝心の卵細胞まで攻撃してしまうのです。


お茶々が初めて浮気をしてくれた女房だったからこそ、そこで精子競争が起きて秀吉の精子に適した受精環境が出来たとも考えられます。


または、秀吉が年を取って精が弱ったおかげで初めて子に恵まれたとも考えられます。


さらにこの物語のように、秀吉も、お茶々も互いに似たような訳ありの出生であるがゆえに、子が授かりやすくなったと想像するのもドラマチックではありませんか。


さて、どの程度御賛同いただけますでしょうか ・・・・



尚、考察にあたっては生物学者の竹内久美子さんの著書より多くのヒントを頂いたことを付け加えさせていただきます。


長い間の御愛読ありがとうございました。



作者

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