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その百四十七 西の丸

「貴様、あの時にもし内府が逆上しておったら何とした ・・・・ 」


西の丸御殿に向かう長い渡り廊下の途中、前後に人影が無いのを見てから長政が正則に質した。


「知れたこと、秀頼様の太刀を拝借してあの場で内府を上意討ちに出来たわ」


「わしはあの太刀持ち小姓自身、かなりの使い手だと見ておった。

内府もあれでかなりの使い手であるらしいからな。

そのときには後ろから内府の自由を奪うのが、語られずとも貴様の役目であったのだろう。

徳川の連中とて文句の付けようがあるまい。

まあ、あの老獪な内府がそのような挑発にまんまと乗るようなへまをするとも思えぬが。

小早川に貸しを作らせるのが精々であろう」


「 ・・・・ なるほど」


「それにしても淀の方の変わられようには驚いたな」


「如何にも、女の身で、しかも年若であるにも関わらず、内府に格で(まさ)っておった」


「織田のお市様のお血筋であろうか?」


「おぬし、お市様とは?」


「面識など有ろうはずも無い。こちとら駆け出しで、あちらは雲の上のお方であらせられた」


「さもあろう。浅井への興し入れ以降は、めったに人前には出てこられぬまま北の庄城と共に ・・・・ 」


「我が父の申すところでは、三姉妹の中でも飛び抜けて淀の方がお市様と生き写しであるらしい」


「お姿だけでなく、その才覚も強く受け継がれたということか」


「ここにきて徳川も慎重になってきておる、論考には内府といえども頭を悩ませることであろう」


「ふむふむ ・・・・ 」


「貴様も古巣の清洲にはよもや残れまい。

そうかと言って四国、九州にこれ以上豊臣方の大名を集結させることも好まぬであろうから、宇喜多か毛利の旧領あたりが順当か ・・・・ 」


「毛利?。輝元殿が改易されるとでも」


「 ・・・・ 」


「おい、長政!」


「いずれにしても転封の沙汰が何処であっても一切不平不満など漏らしてはならぬ。良いな」


「分かっておる、ひたすら ・・ 忍 ・・ であろう」


「左様。我らは内府より長生きをしさえすれば良い」


そこに幸長が口を挟んで来た。


「秀頼様より内府の方が長く生きられようはず(・・)が御座りませぬからな」

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