7.告白 優梨side
「……あのさ、シルヴィー……聞いて欲しいことがあるんだ」
「……んっ」
「俺は、シルヴィーのことが、」
「ユー、ヤ……?」
「優梨が死んで、優梨の代わりになって俺を支えてくれたシルヴィーのことが、」
「ユーヤっ……」
「俺、は……。俺は――!」
「……ユーヤ?」
「俺は――好きだったんだ……」
「ワタシも、ユーヤのこと……ずっと、ずっとずっと……」
これでお兄ちゃんは救われる。
私という枷から解き放ってあげることができる。
私、頑張ったよ? お兄ちゃんの幸せのために、私、頑張ったんだ。
お兄ちゃんと一緒にいられないのは悲しいけど、お兄ちゃんが幸せでいてくれるなら私はそれだけで……。
「シルヴィーちゃんとお幸せに、お兄ちゃん」
私はシルヴィーちゃんの恋が実ることを確信し、データ移行の準備を開始する。
だけど、お兄ちゃんは私の期待を――。
「だから、」
「ユーヤ……?」
「これからも俺と優梨の友達でいて欲しいんだ」
「お兄ちゃん……?」
裏切った。
「お願い、できるか……?」
お兄ちゃんは泣きながら、お願いした。
お兄ちゃんの気持ちはすごく嬉しい。だけど、こんな結末でいいはずない。
だよね、シルヴィーちゃん……!
私がいない世界で、お兄ちゃんと恋仲になるチャンスなんだよ!?
「ふふ、お願い、されました。お願いされなくても、ワタシは2人の友達、ですけど」
シルヴィー、ちゃん……?
「ありがとう。でも――」
「ワタシは、ユーヤと付き合わなくても大丈夫、です。ユーヤが幸せでいてくれたらそれで十分、です」
「俺が幸せに見えるか?」
「んっ。ユーリのことを想っているときのユーヤが一番幸せそうに見えます」
涙を拭って和かに笑うお兄ちゃんと、その笑みにつられて笑顔を浮かべるシルヴィーちゃん。
「だから、ワタシじゃなかったんです。ユーヤのことを幸せにできる女の子は、ただ1人――ユーリだけ、ですから」
……。
私が望んだのは、こんな結末じゃない。
2人は笑っているけど、これじゃあお兄ちゃんは私に縛られたままだ。死から逃れられない。
データ移行を中断し、シルヴィーAfterのウィンドウを閉じる。
お兄ちゃんが幸せになれないルートに用はない。
「ねえ。どうしたら、お兄ちゃんは幸せになれるの?」
奈々ちゃん。あなたなら、お兄ちゃんを幸せにしてくれるかな……?
お願い、私の代わりにお兄ちゃんを、お兄ちゃんを幸せにして――。
そう願って、新たなウィンドウ――【EXTRA】を開き、奈々Afterを再生した。




