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7.『ヤンデレヒロインに立ち向かえ』のコーナー?

 視界いっぱいにウィンドウが開く。


 黒く塗られた人型の立ち絵が一緒に出現した。セミロングくらいの髪が優しく揺れ、大きな尻が目立つ女の子――。


「どうもー、みんなのアイドル――Y2の再登場です。やったーやったーやっほー」


「……」


「Y2の未登場回は寂しかったでしょう寂しかったでしょう。どやぁ」


「全然」


「ご安心ください。あなたが妹とらぶらぶちゅっちゅっなえろえろ√にたどり着けない間は、Y2が元気づけてあげますから。ぼいんぼいん」


「いや、ぼいんってなに。お前の胸、前より萎んでるから。立ち絵でも変えたの?」


「あら、ほんと。驚きました」


 驚いたと言う割に、声色からは抑揚が一切ない電子音だ。


 にしても、長かった髪が短く切られ、身長も低くなっているのは気のせいだろうか。胸は明らかに小さくなっているのだが、いかんせんこれまで見てきた立ち絵をよく覚えていないため、比較することができない。


「また死んでしまったのですね。ちーん」


「地獄行きくらいの覚悟はあったんだがな」


「地獄はあちらの川の向こうです。ご案内しましょうか」


 背景に流れる三途の川を指差すY2。

 本心なのか、はたまた冗談なのか、その立ち絵からは顔色を読み取ることはできない。


「またゲームの世界で攻略しろってことなんだよな」


「あなたが死んでも、妹が死んでも、それがhappyエンドとはいえないでしょう」


「俺と優梨が幸せになる未来こそが唯一のhappyエンドだからな」


「ですので、今回は出血大サービスでY2のコーナーを作ってまいりました。その名も――。その名も……。いぇいばふばひいぇいー」


「何も考えてなかったんかーい!」


「急なことでしたので何も。残業が終わったかと思えば、また残業をさせられるY2の気持ちも考えてください。ぷんぷん」


「そりゃ悪いって思ってるし、感謝もしてる。お前がいなかったら、もう一度チャレンジすることすらできないんだからな」


「デレないでください。キモいです。……キモいです。きもきも」


「デレたつもりはないけどな! 感謝するくらいいいだろーが。はぁ……もういい。俺はこれからどうすればいいんだ」


「前回までのプレイと何も変わりません。選んだ選択肢で迎える結末が変化するため、あなたが理想とする未来に繋がる選択肢をひたすら選べばいいんです。ぽちぽち」


「それが難しいんだけどな。米倉先生――蚕お姉ちゃんをどーにかしなきゃいけないし」


「米倉 紬――多知川 蚕の無効化が成功の鍵であることは確かです」


「やるべきことがわかってるんだ。あとはやるだけだ!」



▶︎はじめから


▶︎SAVEデータをロードする



 選択肢が現れた瞬間、その場の勢いで、はじめからを殴りつけるように押す。


ん? はじめから?


「ちょっと待て! はじめからってのは、まさか4月9日からスタートってことじゃないだろうな……?」


「いいえ、2人が付き合ったあとからです。押したあとに心配するとは、先が思いやられます」


「よかったぜ……。正しい選択肢を選び取れば問題ないってわかってても、優梨に殺されるかもしれない恐怖をまたするのはごめんだ……」


「そこまで考えて配慮をしているY2偉いですお利口です。なでなでよしよし」


「自画自賛しなけりゃ、褒めてやるかもしれないのに。残念なやつだよ、お前は」


「最初から褒めるつもりなんてないでしょうに。怒りました。早くhappyエンドを迎えて、Y2に休暇をください」


 Y2に煙たがれるようにして、視界が真っ暗になった。


 暗転。

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