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青春学生乱舞〜エルビーセイション〜  作者: 天竺霽
第1章 夜明け前の星空〜新人隊員篇〜
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日刊川口新聞第5号 梅田駅到着

 カフェを出てから市営バスを使い、電車を使い、梅田駅へと向かった。移動時間にして約1時間15分。少し長めの移動を終えてオオサカの中心といっても過言ではない、梅田駅へと到着した。電車のドアが開いた瞬間に鳥の鳴き声が聞こえてきた。本物かと聞き間違えてしまうくらいキレイなさえずりだが本物ではない。私自身もずっと本物だと小さい頃から思い込んでいた。


 人々の波を掻き分け、お互い離れないように袖を掴むなり、手を握るなりした。何とか目的の場所、5番出口へとたどり着いた。久々に梅田駅に来たため、人混みに慣れていない私はもう疲れてしまった。


 無事に梅田駅の5番出口へとたどり着いたことをラインで総長に報告した。電源を切っていたことを忘れていたため少々起動に時間がかかってしまった。ちなみに総長とは私達臨隊メンバーを束ねるトップの存在である。彼はいつも本部にいるため外で遭遇することは少ないだろう。

 3秒も経たないうちに既読マークがつき親指を上にあげたスタンプが返ってきた。返信速度がいつも早いためずっとラインを見ているのではないかと思ってしまう。


 奏という少年は梅田駅に来たことが無いのか、はたまたこういう場所に慣れていないのか。キョロキョロと辺りにそびえ立つビルや景色を眺めている。無論、私だって初めてこの場所に来た時は道に迷ってしまったし、彼と同じくキョロキョロとしていた。


「奏はこういう場所は初めてなん?」


「い、いえ。家族で何度か来たことがありますが…いざ来てみるとなんだか落ち着かないです」


「ははっ、そりゃそうや。俺だって初めはお前と同じやったで。人多いし、出口もようさんあるし、電車なんかめっちゃ出てるからなかなか落ち着かへんかったで。」


 梅田駅を含む、オオサカの駅は「迷宮」と言われるほど路線がややこしく、乗り継ぎ等色々と難しい。オオサカでこんなに難しいのならトウキョウはどうだろうと考えだすとキリがない。ともかく、オオサカの駅は実際に行ってみれば分かるのだが攻略するのは難しい。


「でもなあ、ここ最近はこの梅田駅周辺に来る用事が増えたからかしらんけど、人混みとか慣れてんな。電車とかもなんとなくやけど分かるようなったし。案外慣れやでこういうもんは。奏も何度か来てみたら分かるから。」


 優斗はヒヒッと笑った。総長が来るまでまだ少し時間があるような気がしたので、梅田駅周辺を案内することにした__と、考えたのだが、案内できる自信がない。ぶっちゃけてしまうと、梅田駅周辺のお洒落なカフェとかお店、施設などを知らない。唯一ヨドバシカメラしか知らないのだが、案内したところでその店の説明になりかねない。なので今回は駅の中を案内することにした。ヨドバシカメラはまた別の機会にしよう。


「まだうちの総長来るまで時間あるから、少しだけやけど梅田駅案内しよか?」


「あ、じゃあお願いします。」


「小阪の案内かー、なんか楽しみやわ。」


「優斗、変なことしたらまたつねんで。」


 3人で出口の方へと戻っていった。まずは梅田駅から乗れる電車でも説明しようかな。そんなことを考えつつ、()()()()()()()へと意識を向けた。梅田駅に着いた時から何者かにじっと見られている感覚があって気になって仕方がない。こちらから先制攻撃として襲いかかってもいいのだが、こんな人混みの中ではもしかしたら私が悪者扱いされる可能性もある。ここは一旦待つしかないと自分を落ち着かせた。


「えっと…小阪先輩。いつぐらいの時に取材行けそうですか?」


 今の質問は私の耳に入らず通り抜けた。代わりに優斗が答えてあげてくれていた。


「おっ、記者モードやな。結構一つのことに関しても一途なんやな。そういう姿勢、俺は嫌いじゃないで」


「ど、どうしたんですか急に…」


「んーや、記者魂が凄いなって思っただけや」


 今の会話から考察すると、二人はまだ気づいている気配は一切感じ取れない。奏は感じ取れないかもしれないが、優斗は感じとっているのだがあえて平素を装っていることも考えられる。


 まだ相手は動いていない。こちらの動きを洞察するだけで突っかかったり、攻めようとはしない。一体何が目的なのか。梅田駅案内と同時にこっちも観察しておかなければ。




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