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プロローグ

作者の二作目です。

書き方はリアル小説っぽく書くのに挑戦中ですが、読みづらければご指摘ください。

読者様にニヤリとした笑いと爽快感を与えることを目標にがんばらせていただきます。

どうぞよろしくお願いします。

 俺の目の前には森の木々が並んでいる。どうしてかというとここは村と森をの境目付近にある広場だからだ。

 俺のすぐ隣には今年一緒に十五歳を迎えた親友のリーナとトールがいて、その周りを囲うように村中の大人たちが集まっている。

「よし、今日は成人の儀式だ。いつも通りワイバーンの群れが集まっているのを偵察が確認してきた。その数およそ千五百。三十年ぶりに群れの数トップスリーを更新してこの村史上第二位の数だ。今年成人する三人は運がいいな。がんばって過去の個人討伐数も更新してくれ。

 それじゃあ堅苦しい挨拶も終わったし、野郎ども! 賭けを始めるぞ!」

「「「「「オォーーーーー!!!」」」」」

「俺はリーナに賭けるぜ!」

「俺はトールだ!」

「リーナ、お前の魔法でワイバーンどもをぶっ飛ばしてこい!」

「トール、無駄なく合理的に討伐数稼ぐんだぞ!」

「リーナ、お前らの体力が尽きても俺たちがワイバーンの千や二千殺しつくすから、魔力が切れるまでぶっ飛ばせよ!」

「お前らあんまり気合を入れ過ぎて焼失させるなよ! 売り上げが落ちるからな!」

 などなど大人たちが言いたい放題言っている。だがそこに俺の名前はほとんど上がってこない。いや、いるにはいる。

「シアンちゃーん! がんばってねー! 頭と胴体が残ってれば回復してあげるから、思いっきりいきなさーい!」

「おい、シアン! あんまり恥ずかしい結果を残すなよ! 本当はトールに賭けたかったんだがあまりにも大穴のお前が不憫でお前に賭けたんだからな!」

 俺の母様と親父だ。だがその内容はひどい。

 だがそれもしょうがないだろう。俺は他の二人と違って能力が対個人戦向きなんだからな。大群相手に討伐数で火力バカのリーナやなんでもこなすトールに勝てる気がしない。

 だがそれでも最低五十匹は倒しておかないといけない。それがこの村で成人したとみなされるラインだからだ。

 ついに賭けが終わり俺たちの出陣の時が近づく。遠くの森の上が真っ黒になってきた。あれが全部ワイバーンか。殺りたい放題だな。

「よーし、じゃあそろそろ狩りを始めるぞー。いつも通り、成人するガキどもの攻撃を通り抜けたやつだけ大人たちがカバーして、基本ガキどもの魔力が尽きるまで好きにやらせるぞー。それとサポート係は討伐数のカウントがんばってくれ。

 ガキども、準備はいいな?」

 俺たちはこくりと頷く。

「それじゃあ、始めー!!!」

 年に一度しか鳴らされない大笛の音と共に、俺たちの成人の儀式が始まる。

 リーナが開幕から広範囲殲滅魔法をぶっ放す。ああ、今ので軽く百匹はいったかな。さすがにこの威力は連発できないようでこの後は近づいてから狩り始めるつもりのようだ。

 トールは走り出しながら器用に広範囲魔法を放ち、三十匹ほどの殲滅を何度か繰り返している。ここで大方の魔力を使って、残りの魔力は接近戦のために残すようだ。さすが、効率的だな。

 一方俺はというと、二人を遥か背後に置き去りにするスピードでワイバーンの群れへ向かっている。さすがに二人の魔法よりは遅いが、群れへの接近は二人よりだいぶ早くなりそうだ。この時間に俺が狩る数を稼いでおかないと、最悪あの二人に全部狩られてしまう。それは頂けない。

 俺はワイバーンの群れのすぐ近くまで来ると、魔法で宙を駆けて空の上の群れに突っ込んだ。ワイバーン共は遅れて俺の存在に気付くが、もう遅い。俺は一振りでワイバーンの首を半分ほど切り裂き殺し、その勢いのまま次の獲物へと向かいまた刃を振るっていく。

 時には宙を駆け、時にはワイバーンを踏み台にして、休まず高速で狩り続ける。敵からの攻撃は気にしない。どうせ感知してから避けても間に合う。唯一気を付けるべきは、遠くからの親友の魔法だけ。多分俺の位置はわかってると思うが、魔法の範囲が広いので巻き込まれるかもしれない。そうなると面倒なので常に村の方角への警戒だけは怠らない。

 そして俺がそろそろ百匹ほど殺したかなというところで、トールが追い付いてきた。リーナはもう少し時間がかかるようだ。トールは剣の先まで魔力を延ばし、長い魔法剣で数匹まとめて切り裂いていく。いいな、ああいうのやってみたい。

 俺とトールが黙々と斬殺していると、ようやくリーナが追い付いた。そして背後の大剣を構えると、炎を纏わせて一気に振り抜く。炎の太刀が多くのワイバーンに襲い掛かる。それだけで二十匹くらいは死んだ。くそ、俺もああいうのできたらな。

 俺は二人の能力に羨望を覚えながらも次々に殺していく。そろそろ三分の一分くらい仕留めたかな。ということはまだ千匹はいるはず。一匹でも多く倒さないと、まだ余力を残している二人との討伐数が開きすぎてしまう。さすがに同い年の親友との差をまざまざと見せつけられるのは面白くない。

 なので俺はひたすら足と手を動かし、ワイバーンの首を切り裂いていく。俺の武器は短剣が二本だけ。遠距離魔法は使えない。だがその分速さと残存魔力は俺に分がある。このペースなら二人の魔力が尽きることはあっても、俺の魔力は尽きない。ということで、ワイバーンが村に近付きすぎて大人たちに狩られるまでがタイムリミットだ。それまでに何としても休むことなく殺し続けてやる。すべてはこの後に控えた俺の人生最大のイベントのため。

 俺はその思いを胸に抱き、ひたすら短剣を振り続けた。

 そして成人の儀式が始まってわずか三十分後、全てのワイバーンは狩りつくされた。


 ここで補足しておくと、一般的にはワイバーンが一体出たら村や小さな町は壊滅し、都市から騎士団や高ランク冒険者が来るまでワイバーンはその猛威を揮うらしい。

 だが魔物の生まれ出る巣窟が村から走って二時間ほどの距離にあるこの村では、十五歳になった成人の年に、ワイバーンの繁殖後の群れ、最低でも百匹以上の群れに突撃し、五十匹狩れたら一人前という風習がある。そして、この村の住人はみな、それをおかしいとはみじんも思っていない。

 そう、この村の住人は、みんなチートなのだ。


お読みいただきありがとうございました。


もっとぽわぽわとした話も書いているので、興味のある方はこちらもよろしくお願いします。

もふぽて https://ncode.syosetu.com/n1931em/

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