ええ!!僕が勇者!?違う!!僕は村人だ!!!
………ノリで書いた。自分でも分からなくなってきた………だが、それでいい!!
────勇者。
それは剣と魔法の世界に存在する唯一無味の存在。
闇の支配者と呼ばれる魔の王【魔王】の対極を位置する。
光があれば闇がある。闇があるから光がある。
世界の人々は百年周期毎に現れる魔王に恐怖し。勇者に希望を抱くのであった………………。
「────と、言うことが伝承で伝えられているのじゃ!!そして!!!!ピカリ!!お主は間違いなく勇者なのじゃ!!」
「ええええええ!?僕が勇者!?────何言ってんだよ!!ホラ吹きボケ爺い!!」
デデデン!!としがない村人である少年のピカリに指差す老人。
説明しよう!!ここはボッケ村。よくある村の中でよくある端の端の………それはそれは、ずーーーーと端に存在する辺鄙な村だ。
そこの村長はニコニコのほほんとした平和主義者で。こんなことを村人たちに言っている。
「魔物なんて存在しないの!!ワシは!動物ちゃんと仲良くしたいの!みんなで愛でよう!!」
馬鹿だ。頭を狼型の魔物にがじがじと噛まれて血を流しても尚、村人たちの目の前で高らかに宣言している。
そんな、ちょっとイカれた村長とちょっとイカれた村人が住んでいる辺鄙な村なのだ!!
そんな中。イカれていない普通の子として育った少年ピカリはイカ人(これからイカれた村人をイカ人と呼びます)達に全員に凄い子供だ!将来勇者になる!!と、絶賛されていた。
そして現在、家の中でうんうんと頷く。ピカリの父親であるルルーバ・ジェネラルド。何故か格好いい名前であるその人と。
今、目の前で指差しているピカリのお爺ちゃんである───ホラフキ・ヤロウは真剣な表情だった。
「相変わらずの意味分からん事言うのな!!ホラ吹きが!!何が勇者だ!!勇者は人々を平和に導く為の人物が選ばれるんだぞ!!それなのに『ふふふ………ピカリよ。今日から勇者じゃ』とか枕元で夜な夜な呟いてきたり『勇者よぉ。おお………なんて情けない。こんなところで寝てしまうなんて………』って昼寝している横で呟いてきやがって!!そのせいでまともに寝れないじゃないか!!」
「これも試練。仕方がない」
「コクコク」
「………」
改めてこれでは駄目だ………と、十二歳でこの現状を変えないといけないと悟った。
お爺ちゃんはホラばっか吐くホラ吹き爺。父親に至ってはコクコク親父、ただただ首を縦に振るしかしないコクコク親父だ。
他の村人も………言うまでもない。イカ人だ。
そこで、家のドアが勢いよく開かれた。
「てーへんだ………てーへんだ………よぉそぉもぉのぉがぁむぅらぁにぃあぁらぁわぁれぇたぁ………」
「何だと!?新手の魔王軍が我々の村に平和条約の交渉に現れただと!?」
「コク!?コク!?」
(何だこの会話………キャッチボールしろよ………)
意味が分からん。急いで外へ出でていく村人とお爺ちゃん。その後ろに追従する頭を縦に物凄い勢いで振り続ける親父。
一人その訳分からん状況にポツリと家の中に取り残された。
「………」
「俺は真なる勇者!!………闇を晴らし。光を世に照らす勇者だ!」
「「「キャーーー!!勇者様ーー!格好いい!!」」」
村の入り口に現れた金で出来た装備を纏ったあからさまに【勇者】と主張している男であった。
その後ろには頬を赤く染めながら手を当てて叫んでいる女達が多数いた。
「俺の中の勇者が叫んでいる!!ここに魔王が居ると!!」
腰に付けてある鞘から、白い光を纏う白い刀身の剣を空に掲げた。
「「「「な、なんだってーー!」」」」
勇者の言葉に動揺したイカ人達は円陣を組むように集まってヒソヒソと喋り始めた。
「聞いたか!?『jmt85n2iehふじこmq』だってよ!!」
「ああ!聞いたぞ!『我はぶるぁぁぁぁぁぁ!!』って確かに言ったな!」
「ああ!俺の深淵なる心が彼の者のが言い放った言霊を察知した」
「ところで………勇者って?」
「「「ああ!!伝説上の存在さ!」」」
全くに届いていなかった。会話と言う概念ってなんだっけ?そんな状況だった………。
「何!?私の聖剣がこの村人全てを魔王と判断した!!慈悲はない!!悪即斬だぁぁぁぁぁぁ!」
「「「「キャーーー!!流石勇者様!!」」」」
勇者?は掴んでいる聖剣を目の前の村目掛けて振るった。
「「「「ぐわーーーー!!」」」」
ポン!と白い煙を出しながら入り口付近に居たイカ人達は消えていった。
「この調子で!悪の手先どもを殲滅だ!!」
「「「「キャーーー!!格好いい!!」」」」
勢い付いた勇者?はそのまま村の中に突進しようと走り出した。
「ん?何か潰したか?」
「キャーーー!!??勇者様が!!」
「助けてーー!」
しかしプチっと、周囲が黒くなったと思ったら巨大な足が勇者?を潰してしまった。
女達は蜘蛛の子を散らすように叫びながら逃げていく。
潰した張本人の十メートル以上はある巨人が足を上げると、そこには………両足だけが地面から飛び出している埋まった勇者?の姿があった。
「なんだ、ただの足か」
何かを潰したと思ったら何処にでもある人間の足だと分かった巨人は、ほっとため息を吐いた。
すると、おもむろに腰に巻いてある布の中から黒い光を纏った剣を摘まむように掴み掲げた。
「ハハハハハ!!我は今日!!この日をもって。ここに魔王軍を設立を宣言する!!村人どもよ!!魔王である我の手下となって汗水流した素晴らしい城を造るのだ!!!」
巨人は突如自らを【魔王】と呼びながら叫んだ。すると、周囲の森の中からそれに呼応するように至るところから魔物の歓声が沸き上がった。
「おおお!!何て大きい魔王軍の幹部なのだ!?」
「コクコクコクコクコクコク!!!」
そこで、二人が辿り着いた。
魔王軍が来ると思っていたホラ吹き爺とコクコク親父が巨人を見上げながら感激の声?を上げた。
「喜ぶがいい!お主達は我ら魔王軍第一軍に任命してやる!ハハハハハ!素晴らしいだろ!!」
「?平和条約では?」
「コク?」
どういうこと?と、首を傾げながら顔を見合せあった二人。
「ぬ?平和条約?何を言っておる!!そんなものあるわけがないだろ!!!」
「ほぉ?」
「コォクゥ?」
「ぬ?………おいまて。何故そんなにニコニコしながら手を鳴らしている」
二人はゴキゴキと手を鳴らしながら後退りする魔王?に近づいていく。
気のせいか、二人の後ろには燃え盛る炎の中に居る龍と鬼の幻覚が見えてきた。
「魔王軍さんや?平和条約じゃろ?」
「コク、コク」
「ぬ?だから魔王軍に───」
「チェストォォォォォォォォォォォォ!!」
「コォクゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」
「グーーーワーーーー!!」
あっという間に両足だけが地面から飛び出している魔王?さんがその場の物体と化した。
「よし。今日もピカリを立派な勇者にするために頑張るぞ」
「コク!!」
二人は息子を立派な勇者にすることを改めて近い合ったが………。
「こんな村出てやる!!」
「「え?(コク?)」」
ばっと声が聞こえた方向を見ると、そこには荷造りしたピカリがずんずんと村の外に出ていくのが目に見えた。
「ピ、ピカリーーーー!!!」
「コクーーーーーー!!!」
二人の悲痛な叫びが村の中に響いた。
こうして、密かに魔王の脅威+勇者誕生はその周期では起こらなかったとか?………。
めでたしめでたし………。
お読みいただきありがとうございました!