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異世界の弱小クランを最強にしたい  作者: ピザチュウ
クラン入団編
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冒険者登録






「ようこそウィールズギルドへ、本日はどういったご用件でしょうか?」







 笑顔で対応してくれたのはこのウィールズでギルド受付嬢をしているエイダさん、初めて会うけど名札にそう書いてある。



「えっと、冒険者登録をしたいのですが…」


 横にいるセシリアが答える。


 レイリー達は家族会議でクランに入る約束をした翌日、二人でギルド庁舎に来ている。


 ギルドとは国営らしく、国の抱える騎士団だけでは対処出来ない問題などを金銭を払い対処して貰う為に出来た施設らしい。ダンジョン攻略もその問題の一環になっていた。依頼は盗賊退治や野良魔物討伐、護衛や荷物持ちなど用途は多岐にわたるが、殆どの者はダンジョンに挑戦する為に登録している。



「畏まりました、冒険者についての簡単な説明の御同意が頂けましたら此方の記入用紙をお渡し致しますのでご記入お願いします。」



 冒険者登録についての説明を終えたエイダが渡してきた記入用紙に個人情報を書き込んでいく。


 受付嬢のエイダ曰く、冒険者が依頼を受けたりダンジョンに潜ってから定めた期日までに連絡がなかった場合捜索隊が派遣されたり家族に連絡したりする必要が有るらしく、その為の記入用紙だとか。


 因みに記入が終わったら番号の書かれたギルドカードが渡されるのだが犯罪を犯した時にはギルドカードに犯罪歴が追加されたり、ギルドカードに書かれた番号から個人情報を特定したりする犯罪抑止力の役割も担っているらしい。


「セシリア様とレイリー様ですね、承りました。重ね重ね申し訳ないのですがダンジョン攻略志望との事ですのでクランご加入の必要が御座いますが、御二方は既にクランをお決めになられてますか?」


 ダンジョンに挑戦する場合はギルド登録だけではなくいずれかのクランに加入している必要がある。


 通常は募集欄の写しを貰い家に持ち帰り熟考してからクランを決めるのだがレイリーとセシリアには必要のない事だったので説明を省いて貰う。


「はい、加入するクランは既に決まってます。」


「畏まりました、では詳しい説明は必要ありませんね。此方がギルドカードになりますが紛失したり破損した場合は他のギルド庁舎でも再発行手続きを致しますが、この際再発行手続料として銀貨五枚を頂きますのでご注意下さい。」


 そう言ってエイダがトレイに載せた二枚の鉄製のカードを出してくる。無くさないようにそれを大事にアイテムポーチにしまって一礼する。


 このアイテムポーチは胃の中が異次元空間になっている魔物の胃から製作された不思議なポーチで二人の両親が十二歳の誕生日祝いに其々プレゼントしたものだ。


「ご案内は以上で終わります。よい旅を。」


 そう言って頭を下げるエイダに再び一礼してギルド庁舎を後にするレイリーとセシリア。








▶︎▶︎








「おう!終わったみたいだな!」


「あ、パパ!クラン事務所で待ってるんじゃなかったの?」


 ギルド庁舎を出ると直ぐにオルタスが笑顔で出迎える。それを見たセシリアがオルタスの元に駆け寄る、少し遅れて後を追うレイリー。


「何だか心配になってな…迷子にならないかとか変なのに絡まれないかとか。」


「もう、子供じゃないんだから地図も見れるし絡まれるようなとこ通らないよ!」


 オルタスに頬を膨らませながら抗議するセシリア。レイリー達は事前に目印を付けた街の案内図を持たされていたが親心からか心配になったオルタスが迎えに来てくれたみたいだ。


「まぁまぁ、オルタスさんはセシリアを事を想って来てくれたんだから…」


 後から追い付いたレイリーがオルタスをフォローしつつセシリアを宥める。往来で親子喧嘩は少し恥ずかしかったからだ。


「ううう…そう言われると何も言えないね。パパありがとう!」


「レイル、お前になら娘をやっていいと思ってしまったぞ…」


「もう!パパのアホ!」


 賑やかになった道中の会話を楽しみながらレイリー達はクラン【パラダイムシフト】を目指した。






▶︎▶︎







 ダンジョンの周りに点在するギルド事務所の内の一つ、パラダイムシフトの事務所はとても寂れていた。


 弱小ギルドだからこんなもんだよとオルタスが言っていたが広い土地に反比例して小さく、土木建設会社が建てたプレハブのような印象を受けた。



「ようこそ!我が城へ!」



 事務所の玄関を潜ると両手を広げて待っていた。知らない人が。



「いつからここはアンタの城になったのかしら」


 そう言ってセクシーなお姉さんが謎の青年の襟首を掴んで下がらせる。引き摺られる青年は抗議の声を上げながらジタバタしていたが、やがて白目を剥いて気絶した。首が絞まっていたのだろう。


「やぁ、待ってたよ」


 そう言って奥から出て来たダイスはいつも家で見せている姿とはまるで別人のように厳格な雰囲気を纏っていた。レイリーとセシリアは思わず姿勢を正した。


「よく来たね、早速で悪いけど今日から僕達は命を預ける仲間だ。まずは自己紹介をして貰おうかな?新人さん。」


「は、はい!この度新たにお世話になる事になりましたセシリア・アーデンルクスです。そちらにいるオルタスは私の父ですが、そんな事は関係なく厳しい御指導と御鞭撻の程宜しくお願いします!」


 セシリアの挨拶に疎らな拍手が起こる。


「へぇ、これまた立派なご挨拶だねぇ〜。本当にオルタスさんの娘さんなのぉ?」


「ウルセェぞウィド!手ぇ出したらシードラゴンの餌にするからな。」


 優男といった雰囲気の男が怖い怖いと両手を上げてヒラヒラしている。いつまでもボケっと見ている訳にもいかないのでレイリーも自己紹介をする事にした。


「れ、レイリー・メイルティーンです…あの、宜しくお願いしましゅ!…します。」


 緊張のあまり自己紹介を盛大にしくじり顔を真っ赤にして俯くレイリー。横にいたセシリアがよしよしと頭を撫でて慰める。


「なにあの子、(スーパー)可愛いんですけど…」


「あらぁ、母性本能擽るわぁ…」


 ヘソを出したホットパンツを履いたギャルと先程の青年の首を締め落としたセクシーな女性が熱い溜息を漏らす。


「よし、今度は僕達だね。」


 そう言ってダイス達の自己紹介が始まった。


「僕はこのクランのリーダーをやらせて貰ってるダイス・メイルティーンだ。パーティーでの役割は状況を観察して指示を出したり弓矢で遠方から援護するサポーターだね。これから宜しく。」


 ダイスはレイリー達にウインクをする。それを見て少し緊張が解れる二人。


「俺はサブリーダーのオルタス・アーデンルクス。剣士をやっている。そこのセシリアは俺の娘だから手ぇ出したらぶっ殺す。宜しくな。」


 セシリアに睨まれているのも何処吹く風といった感じで受け流すオルタス。因みにオルタスは横にいる優男を睨みつけている。


「僕はぁ、ウィドラルク・パスクルだよぉ。パーティーでは回復役やってまぁす。」


 睨まれた優男が貴族がするような優雅な礼をしながら自己紹介をする。金髪はウェーブがかった短髪の金眼で女の子にモテそうな顔立ちだった。


「アタシはエリリア・エルヒテス!双剣使いのアタッカーだよー!宜しくねー!」


「……」


 気絶している青年の上に立って自己紹介する彼女は活発な女盗賊のようなイメージを受ける。銀髪のショートカットに緑の目、へそ出しショートトップにホットパンツという肌面積の多い服は年頃のレイリーには目に毒だった。


「あ、ここで伸びてる馬鹿は魔法使いで援護射撃してるビル・オルフェント。あんまし強くないけど上昇志向は人一倍強いヤツだよ!」


 そう言ってビルから降りたエリリアが下を指差し雑に紹介する。指差す先に視線を滑らせると黒髪短髪の青年が完璧なアヘ顔で涎を垂らしてるのが見えた。正直不憫。


「私はダリル・フェルニア、このアホと同じ魔法使いよ…宜しくね。」


 そう言って胸元が開いた煽情的な服をひらりと揺らしながらビルの腹にハイヒールを乗せるダリル。黒髪のロングヘアーに整った目鼻立ち、朱色の唇付近にあるセクシーなホクロが特徴的だった。足を乗せられたビルがアヘ顔なだけに今誰か人が入ってきたら勘違いされそうな光景である。


 因みに足を乗せる際にスリットから滑り出すダリルの生足をチラチラ見てたらセシリアから足を踏まれるレイリー。彼に何の罪があるのか。



「今は居ないが本当はもう二人程メンバーが居るが、喧嘩が原因で二人共療養中だ。」


 そう言って頭を指で掻きながら溜息を吐くダイスを見て驚いたセシリアが質問する。


「え、誰かにやられたの?」


「いや、それが聞いてよ!あの馬鹿ども戦闘時に隊列崩してさ!どっちが悪いか喧嘩始めてそのまま大怪我しちゃったんだよねー」


 快活少女エリリアがぷりぷり怒りながら状況を身振り手振りで説明してくれる。途中落ち着け、とオルタスが諭す。どうやら話を聞くとオルタスのパーティーで起きた喧嘩のようで、諭されたエリリアは納得いかないといった表情で息を荒くしている。


「まぁ悪いヤツらじゃないし、ね」


「うぅ…ダイスさんがそう言うなら…」


 エリリアはそう言うとあっさりと引き退る。ダイスのリーダーらしい一面を見たレイリーは更に高く評価を改めた。


「今日は顔合わせだけだからダンジョンは無しね。レイリーとセシリアは装備や傷薬を整えてきなさい。」


 そう言ってレイリーとセシリアに大金貨を一枚ずつ手渡すダイス。


 この世界は鉄貨、銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨と貨幣がある。


鉄貨=一円

銅貨=十円

大銅貨=百円

銀貨=千円

大銀貨=一万円

金貨=十万円

大金貨=百万円


 という風に貨幣の価値は大体母との買い物で覚えた。全ての貨幣の表面には教会に祀られている神の像に良く似た細かい彫刻がされており、偽造出来ない様に意匠を凝らしたものになっている。


 この様なデザインになったのは百二十年前と比較的最近らしく、鍛冶屋連盟と王国の研究機関が貨幣の偽造防止の為に専用の鋳造施設を共同開発したそうだ。


 大金貨を受け取ったレイリーとセシリアは顔を見合わせて驚き直ぐに返そうとするが、ダイスにそれ位ないとまともな装備は買えないし、その分期待しているからね、と突っ撥ねられ渋々アイテムポーチにしまう。


「ねぇねぇ!じゃあ早速先輩冒険者のアタシが良いとこ紹介してあげようか?」


「え?」


 エリリアがレイリーの腕を取ってグイグイ引っ張る。女性と肉体的接触をするのは母とセシリアだけだったレイリーは真っ赤になって目を回してしまう。


 それを見て驚いたセシリアが引っ張られる腕とは逆の腕を取って「待って!レイルが嫌がってるよ!」と言いながらグイグイ引っ張る。


「ぐぬぬぬぬ!離してよぉ…!」

「ふぬぬぬぬ!そっちこそ…!」


 両側の怪力に引っ張られるレイリーは差し詰め八つ裂きの刑を受ける馬に繋がれた罪人であった。


 腕が裂けるかと思ったその時突風が吹き荒れセシリアはスカートが、エリリアはショートトップがめくり上がりあられもない姿になる。悲鳴を上げて手を離した二人を横目にダリルがレイリーの手を取って走り出す。




「じゃあ折衷案で私と行きましょう。」







 唖然とする二人が我に帰る頃にはレイリーとダリルの姿はなかった。

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