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異世界の弱小クランを最強にしたい  作者: ピザチュウ
再出発編
48/53

ダンジョントラップ



 パラダイムシフトの面々は、三十階層まで一気に降りてきて、再び休憩を挟んでいた。

 十階層ずつ十時間の休憩を挟むことにより、連続した探索を可能にしていた。

 レイリーは周囲のメンバーに感心していた。

 三十階層に至るまでの敵を難なく処理していたクランメンバーに、思わず胸が熱くなる。


「皆強くなったなぁ…」


「何で貴方がそんな事を知ってるのですか?」


 突如後ろから声を掛けられたレイリーは、驚きのあまり前のめりに転がる。


「うわぁ!ビックリしたぁ!」


「おい、アンタに少し聞きてぇ事がある。」


「え?何でしょうか!ガルファーさんに話しかけて貰えるなんて光栄だなぁ!あはは!」


 とぼけた様子でガルファーとアルフォンスを両手を広げて歓迎するレイリー。

 しかし、そんなレイリーとは対照的に、二人は真剣な顔をしていた。


「……あの、さ。さっきの魔法。アレ日本語?だっけか、じゃねぇのか?」


「………さぁ、知りませんね。」


 即座に否定するレイリーを見て、お互い顔を見合わせる。

 疑いが確信に変わった瞬間だった。


「レイリー様…なんですか?」

「兄貴…なんだよな?」


「!!?」


 ずっと聴きたかった言葉が二人の口から飛び出してきた事が嬉しくて、レイリーは目から涙が溢れるのをぐっと堪える。


「な、何のことでしょうか…」


「私達を拘束した魔法…アレは初めてレイリー様にお会いした時の魔法と同等のものでしたし、何より先ほどの魔法…日本語と呼ばれる文字で綴られてましたよね。」


 覚悟が揺らぐ。

 今なら元通りに戻れるかもしれない。

 そんな期待を抱いてしまう前に、レイリーは突き放す。


「さぁ?…私の母国はエルカルト大陸の南端なので、良く似た文字なのでしょう。」


「とぼけるなよ…もし兄貴が本物だってんなら、今まで疑った事は謝るからさ……」


「レイリー様、カエデ達が一緒に遊びたいと言ってますよ。」

「え…ああ!分かった!すいません!また今度お話ししましょう!アルフォンスさん、ガルファーさん。」


 アイリスの助け船に急いで乗り込むレイリー。

 今はもう皆上手く回ってる。

 それを死んだ自分が搔き回すものではないと、更に意思を固くする。


 遠ざかっていくレイリーの背中を、どこか寂しげに見つめるガルファーを、優しく抱き寄せるアルフォンスだった。





▶︎▶︎





 とうとう三十九層まで来た。

 以前では考えられない攻略ペースに、どこか嬉しくなるレイリー。


「あの、これってもしかして凄い事なんじゃないですか?」


 後方を歩くシャルトに声をかけるレイリー。

「まぁ、以前僕が纏めていたクランよりは順調なペースだね。因みに四十層まで到達出来るのは、このクランを合わせて三十くらいしか無いんじゃないかな?」


「え!?凄いじゃないですか!」


 もはや上位クランと言っても過言ではないのでは?とレイリーは驚くが、上には上が居るらしく、シャルトの口から驚くべき事実が告げられる。


「うーん、まぁ凄いけど、クランフェスの優勝常連クラン、【天軍の覇道】なんて最高記録が百九十九層だからね。」


「マジっすか…」


 このダンジョン何処まで深いんだ、と思うと同時にそんな深い所まで潜るクランに、果たして追いつけるのかという一抹の不安を感じるレイリー。


「兄貴…いい加減俺達ーー」


「あ!魔物ですよガルファーさん!」


 そう言ってガルファーの話を遮るレイリー。

 アイリス達は気を遣わなくてもいいというが、彼女達に報いる為にも、彼女達を幸せにする為にも、泥水を啜ると心に決めたレイリーは、自分の素性を探る事を一切許さなかった。

 過去との決別だった。


「ん?なんだあの魔物…」


 突如目の前に現れた魔物は今まで見てきた魔物とは少し雰囲気が違った。

 真っ白い顔のような外見、こちらを見て口角を上げ、ニヤニヤと笑ってるだけだった。


「ここは拙者が…」


「やめろ!逃げるんだッ!」


 必死な形相で顔を覗かせたシャルトが、敵に向かって駆け出したカエデに叫ぶ。


「え?」


 カエデが後ろを振り向いた瞬間、目の前の魔物が大きく口を開く。

 吸い込まれるようにカエデの体が口の中に一直線に飛んでいく。

 それを見たレイリーが駆け出し、アイリス達も続く。


「うぉ!何コレ!?」


 レイリー達の体が一斉に浮き上がり、口の中に吸い込まれる。

 そしてレイリー、アイリス、カエデ、エリス、クーリアを吸い込んだ顔は、口を閉じ、光の粒子になって消えていく。


「う、嘘だろ…おい……」


 ガルファーは、再び仲間を失ったと思い膝から崩れ落ちる。


「くそ、一足遅かったか……アレは転移トラップ、出会ったら即座に離脱しないとランダムな階層に転移させられるんだよ。」


 シャルトが説明すると、後方から駆け付けたセシリア班が、事情を聞く。


 上に上がる班と、下に下る班、上下二班に別れて散策を指示すると速やかに散策を開始した。


 まだ生きているかも知れないと希望を抱いたガルファーとアルフォンスは、セシリアとシャルトと共に下の階層へと下っていった。

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