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異世界の弱小クランを最強にしたい  作者: ピザチュウ
再出発編
47/53

歪な形



 ダンジョン攻略が始まり、レイリーは驚愕した。

 最後尾から付いて行くと、先頭を歩くセシリア班が一瞬で敵を殲滅する様子に。

 どんどんと下層に降りていき、以前は行ったこともなかった十層まで一気に降りてきた。


 十層には五層と同じ様な休憩地点が広がっていた。

 点在する冒険者のテントの数も、五層に比べてかなり減っている。


「一回休憩して、その後隊列を入れ替えて出発しましょう。」


 セシリアの言葉に全員頷くと、全員野営の準備を進める。


「あのービルさん。」


「え?ああ、フィリクスくん。どうしたっすか?」


「少しお伺いしたい事があるのですが…」


「??いいっすよ、何でも聞いて欲しいっす。」


 自由行動が許された時、レイリーは一人で膝を抱えるビルの隣に腰を落とす。

 このクランが、形を変えた原因を探るべく動き出すレイリー。

 周囲のクランメンバーは、アイリス達が食い止めている。

 性格も容姿も粒揃いのうちの子達に骨抜きになるがいい!と、レイリーは内心ほくそ笑む。


「えっと、このクランのリーダーって僕の記憶ではダイスさんだったと思うんですけど…」


「ああ、ダイスさんは息子さんの死をきっかけに、リーダーをセシリアさんと交代したっす。ある騒動があってから新たにクランに入団したシャルトさんが副リーダーに任命されて、僕は雑用をやらされるようになったっす。」


「えっと、ある騒動っていうのは…?」


「…レイリーが死んでから塞ぎこんでいたセシリアさんが、クランに顔を出して、久しぶりにダンジョン攻略に向かった時だったっす。

 いきなりシャルトさんが現れてダイスさんの胸倉を掴んで、レイリーの死について文句を言ってたっす。

 それを見たセシリアさんが怒ってシャルトさんを半殺しにしたらしいっすけど、その時からシャルトさんはセシリアさんに惚れたらしく、ウロボロスを解体して、パラダイムシフトに入って来たっす。

 最初はこの世の全てに絶望したような目をしていたセシリアさんも、シャルトさんの献身的な態度に、徐々に心を開いていって、三ヶ月前位から付き合い始めたらしいっす。

 それからは以前のような明るいセシリアさんに戻って、クランを纏め上げてます。」


「そうですか…良かったですね。と、言いたいところですが、皆のあなたに対する風当たりが少々強すぎる気がするのです。」


「それは…レイリーの死の原因が、俺っちのくだらないミスにあるからなんです。」


「ミス?マジックポーションを零して転けたことなら、フォローするのが普通でしょう。」


「え?…なんでそれを……」


「まぁアレです。レイリーさんも、ビルさんを恨んでなんかいないと思いますし、それで死んでしまったのは彼自身の責任です。ビルさんが責められる話ではない。」


「そんな…でも俺っちは…あの時…ただ見てることしか出来なかったっす…!」


「じゃあ次は大切な仲間を守れるよう、一緒に頑張りましょう!」


 そう言って手を差し出すレイリーを、不思議そうな目で見つめるビルは、恐る恐る手を取る。

 ビルは、あの日から脳裏に焼き付いて離れないレイリーの死が、少し薄らいだ気がした。





▶︎▶︎





「おお、ここら辺の魔物は結構強いねー。」


「まぁ、問題はありませんがね。」


「おいおい…お前らマジでどうなってんだよ。」


 二十階層まで降りた一行は、休憩後、更に下層へと足を運んでいた。


 二十階層からは、更に隊列を変更して、アルフォンス班が先頭を歩いていた。

 パーティーリーダーのアルフォンスが、レイリー達に実力を見せてくれ、というので、各々が好き勝手魔物を屠っていた。

 それはもう一方的に。

 じゃんけんで勝った者が一人で、フロアに溢れる魔物を全滅させて、終わった人は抜けて、残りのメンバーでじゃんけんして、というローテーションを繰り返していた。


 そしてレイリーの順番が回ってきた。


「よーし、じゃあ俺の出番ですね!頑張りまーす!」


 そう言って、アイリスに教えて貰った自身の最強の魔法を放つ。


「【膨張しろ 際限なく 荒れ狂え 水流】」

「【収束しろ 熱を奪い 荒れ狂え 暴風】」


 雷神の鉄槌


 突如極光が辺りを照らし、轟音と共に雷が降り注ぐ。

 大規模な爆発音のようなそれは、後方を歩くクランメンバー達にも聞こえた様で、異変を感じて一気に駆け寄ってくる。


「な、何の音!?」

「大丈夫かい!……こ、これは。」


 駆けつけたクランメンバー達が見たのは、異様な光景だった。

 魔石を剥き出しにして身体を赤熱させた魔物達の死体と、魔物達が落とした魔石を淡々と拾うレイリー達、それを見て呆然と立ち尽くすアルフォンスとガルファー。


「これ、誰がやったの?」


「あ、僕のスキルで皆の魔力を借りて雷魔法を撃ったんですよ!いやぁ、それにしてもやっぱり皆の魔力量は凄いなぁ!こんな威力は初めてだよ!」


 飄々とした態度のレイリーに眉を潜めるシャルトだったが、他のクランメンバーからは歓声が上がる。


「す、凄いじゃんこれ!」

「これは皆が居ないと発動できないのかい?」


「そうですねー、偶々魔力が多い面々が居たおかげですね。まぁ、僕のスキルが凄いってのは否定しませんけどね!ナッハッハ!」


 全くの出鱈目だが、クランメンバーは溜息をついてレイリーを揶揄する。


「でも君自身の力じゃないからねぇ?」


「そうね、貴方が凄いじゃなくて、スキルが凄いだけだからね。」


「ははは、精進します……ぅぅ。」


 大袈裟に肩を落として落ち込んだふりをするレイリーを見て、アルフォンスとガルファーが顔を見合わせる。

 何かに気付いた二人は、皆に聞かれぬように、しばらく話し合いを続けた。


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