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異世界の弱小クランを最強にしたい  作者: ピザチュウ
再出発編
46/53

新しいスタート



 翌日から、全員でクラン事務所に出勤する。

 久し振りのダンジョン攻略に胸を高鳴らせる。


 皆の今の実力はどれ程なのか、クランとしての業績は如何程なのか、何層まで攻略しているのか、など様々な思いを巡らせて、色鮮やかな街中を仲間と歩む。


 クラン事務所の前に着き、緊張した面持ちのレイリーに、アイリスが手を握り勇気を分ける。


「ふぅ、よし!行くか!」


 新生パラダイムシフトの初攻略が始まった。




◀︎◀︎




 先日の事。


「な、なな、なんで!?師匠とアイリス殿はいつからそういう関係に!?」


「御主人様、まさか私達が退室していた空白の四時間で、アイリス様と如何わしい事を…!?」


「レイル不潔ー!」


「ち、違う!…いや、あながち間違いでもない!やったよ、アイリスと激しくね!」


 開き直ったレイリーが、カエデ達に衝撃告白をして、腕を組み仁王立ちする。

 アイリスは、どこか勝ち誇ったような表情で座っていた。


「抜け駆けは許しません…」

「師匠、暗い夜道には気をつけるでござる…」

「私とはもう付き合えないの?」


「ごめんよ皆、アイリスは俺の大事な女になったんだ。そして俺は男になったんだ。」


「なんか清々しいでござるな…」


「この国は一応一夫多妻制なので、隙があればどうぞ。」



「「「「え!?そうなの!?」」」」



 アイリスの言葉に、その場に居た全員が一斉に驚きの声を上げる。


「ええ、皆さんご存知なかったのですか?」


 レイリーは日本での常識が仇となり、一切気付かず、カエデの出身国では一夫一妻制なので予想も付かず、エリスはエルフの里出身なので知らず、クーリアはそもそも色恋沙汰を味わう前に牢獄に入ったので、そこら辺の事情には疎い。


「い…いや、今のところアイリス以外の人と付き合う気はないから…」


「レイリー様…」


 見つめ合う二人を見て歯軋りする一同は、密かに決意の炎を燃やしていた。


「そういえば、俺クランじゃ一番下っ端になったから。」


「ええ!?師匠が?なんで?。」


 レイリーは、驚く仲間に、クランで起きた出来事と、過去と決別して、レイリー・ファリクスとして生きていく旨を伝える。


「畏まりました。しかし、御主人様はそれでよろしいのですか?」


「そうでござるよ、折角ここまで来たのに…」


 表情に影を落とす二人の頭を撫でて、優しく微笑むレイリー。


「今の俺の目標はクランを最強へと導く事であって、父さんや、セシリアに気付いて貰いたいわけじゃない。そう気付いたんだ。」


「レイルは強いなぁ…」


 そう気付かせてくれたのは、仲間だという事を伝えると、皆照れたように頬を赤く染める。


「さて、クランでの俺の扱いだけど、何があっても怒ったらダメだよ?」


 レイリーは、酷い扱いを受けると予想し、先に全員に釘を打つ。

 折角戻れたクランで揉め事は起こしたくなかったからだ。


 承服しかねるといった皆を、どうにか説得して、約束を取り付けたレイリーだった。





▶︎▶︎





ガチャッ


「おはようございます!今日から宜しくお願いします。」


「あ、おはようっす…」


 クラン事務所の扉を開けて元気に挨拶をすると、来ていたのは一人だけだった。


「び、ビル!!」


「…あれ?俺っちの事、誰かから聞いてたっすか?」


 驚きに目を開くビルに、むしろその逆だとは言えず、そのまま話を捏造する。


「はい!ダリルさんが他にも魔法使いがいるのよねーと。」


「そ、そうなんすね。まぁ自分は魔法使いっていうか、荷物持ちっていうか。」


「えっ?」


ガチャッ


「おや?もう来てたんだね!おはよう。殊勝な心がけに僕は感動しているよ。」


「あら、おはよう!早いのね。」


 声の方を振り向くと、シャルトが手を大きく広げて笑顔を顔に貼り付けている。

 後ろから、セシリアが顔を覗かせ笑顔を咲かせている。

 幸せそうだな、とレイリーは少し歯嚙みするが、決して表情には出さない。


「おはようございます。今日から我々一同宜しくお願いします。」


 アイリスがいつもの真顔で前に出て、二人に挨拶をする。

 自分を庇って挨拶をしたのだろうと察し、沈んだ気持ちを切り替えるレイリー。


「皆さんが集まったら早速会議ですかね?それまで掃除でもさせていただきますね!」


 情けない姿を見せる事になるが、背に腹は変えられない、とレイリーは奮起する。


「おーいいね!じゃあお願いしようかな。ビル、一緒に手伝いなよ。」


「…は、はい。」


 シャルトに指示され俯きながら清掃用具を取りに行くビルを、唖然とした表情で見つめるレイリー。


「え、ビルさん…?」


「あー彼はなんていうか、特別厳しく接してるんだ。彼のミスのせいで大切な仲間を失った事に、クランリーダーはお怒りだからね。」


 そう言ってセシリアの方を一瞥するシャルト。


「まぁ、性根を叩き直すにはああするしかないよね。紹介が遅れたけど私はセシリア・アーデンルクス。このパラダイムシフトのクランリーダーを務めてます。これからよろしくね。」


 レイリーは、予想よりも歪に組み上がったクランの体制に、吐き気を催した。

 事情を聞くのは後にして、踵を返しビルの後を追う。

 

 その後、ビルと一緒に清掃をしていると、アイリス達が手伝いに来て、続々とクランメンバーが事務所に集まる。


 清掃が終わると、新規入団者は集められ、自己紹介し、クランの規約等を聞かされる。

 変わった点は特になかったが、クランメンバー同士の諍いについては、軽くしか触れなかった。


「じゃあ、取り敢えずダンジョンに潜ってみようか。人数も多くなったし、戦術の幅が広がるね。」


 そう言ったセシリアは、パーティ編成を通達する。



セシリア班

・セシリア

・オルタス

・ダリル

・エリリア


シャルト班

・シャルト

・ダイス

・ビル

・ウィドラルク


アルフォンス班

・アルフォンス

・ガルファー

・カエデ

・エリス

・クーリア

・アイリス

・フィリクス(レイリー)



「このメンバーで攻略するね。新しく入った皆はアルくんのいう事を良く聞くようにね?」


「分かったでござる!」

「承知しました。」

「御主人様と一緒…ふふふ。」

「わーい!レイルと一緒だね!」

「あ、ああ…」


「遊びじゃないんだからね?しっかり気を引き締めて挑むように。」


 パーティー編成を聞いてはしゃぐ一同を叱責して、セシリアが号令をかける。


「それじゃあパラダイムシフト、今日も無事に帰りましょう!」


「「「「「おー!」」」」」


 こうしてレイリー達のダンジョン攻略が始まった。

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