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異世界の弱小クランを最強にしたい  作者: ピザチュウ
再出発編
43/53

拒絶

 


 目を覚ますと、こちらの顔を心配そうに覗き込む、いつもの旅の面々がそこにいた。


「あれ?ここは…」


 レイリーはボンヤリとした意識を徐々に覚醒させ、周囲を見回す。

 手に何か温かい感触を感じたので、スッと視線を下げると、全員から大事そうに手を握られていた。


「良かったでござる……心配したでござるよ…」


「ご主人様、肝を冷やしましたよ。」


「レイル、もう勝手にどこかに行かないで!」


 よく見ると、皆が涙を流しているのがわかった。

 泣き腫らした目で、レイリーを大事そうに見る一同。

 レイリーはそのままその手を握り返して、謝罪の言葉を吐き出す。


「ごめん……ごめん……!」



コンコン


ガチャ


「邪魔するぜ…」

「邪魔した後に言うものではないですよ。」



 部屋の入り口が開き、見知った顔が覗く。

 ガルファーと、アルフォンスだった。


「アル、ガルファー…」


「おや?私の略称まで真似るとは、中々の徹底ぶりですね。」


「な、何言ってんだよ…俺だよ…レイリーだよ。」


「かっ!こりゃあスゲェ!ダイスの旦那が言ってた通りの糞野郎だ!」


「へ…?」


 もしかしたら自分を心配して来てくれたのかもしれない、そんな微かな希望さえ打ち砕かれたレイリーは、力なく返事を返す。


「そりゃあお前、一年前に死んだ大事な人の名前を出されりゃ誰だって怒るだろ。あ゛ぁ?」


 眉間に皺を寄せ、怒りを顕にするガルファーの前に、カエデが立ち塞がる。


「ちょ、ちょっと!師匠はまだ体調が悪いでござるよ!ご退室願うでござる!」


「ご主人様に弓引く者は何人たりとも容赦しませんよ。」


 お互い臨戦態勢に入り、一触即発ムードの中、アルフォンスが深い溜息をつく。


「こちらは忠告に来たのです。もう我々の前に姿を現さないでいただきたい、と。」


「そ、そんな!レイルはこれまで皆に会うために頑張ってきたんだよ!そんなのあんまりだよ!!」


 アルフォンスの口から出た心無い言葉に激昂するエリス。

 まだ短い付き合いだが、自分を救ってくれた恩人に対する馬事雑言は、承服しかねるものだった。


「ならよぉ、証拠はあんのかよ?」


「私が証拠です。私はレイリー様のスキルで、神の声、と呼ばれたスキルです。」


 アイリスがガルファーの前に躍り出る。


「かぁー!スゲェなお前!意味不明だぜ!いいからすっこんでろや!」


 そう言ってガルファーの振った腕がアイリスの頬に当たる。

 そのまま倒れそうになるのをクーリアが慌てて支える。


「お前ら、死にたいのか?」


 突如レイリーから放たれる濃密な殺気。

 その様子を見て、唖然とする一同を尻目に、レイリーは以前と同じように詠唱を始める。


「【罪人を 拘束しろ 無慈悲な 無数の 氷の 鎖】」


 一瞬で拘束されたガルファーとアルフォンスは、激しい既視感(デジャヴ)に襲われる。

 自分達が犯した過去最大の過ち。

 パラダイムシフトでセシリアに拳を当ててしまった時、今は亡きレイリーが発動した拘束魔法。


 寸分違わず再現されたその鎖に唖然としていた、その時。


「私の仲間に何するの。」


 ガルファーとアルフォンスを拘束していた鎖が、一瞬で断ち切られる。

 そこに姿を現したのは、セシリアだった。


「中々帰ってこないと思ったら、やっぱりこの人に会いに来てたのね。」


「姉御…これにゃ訳があって…」


 言い訳を始めるガルファーと、咳き込むアルフォンスを無視してレイリーの前まで歩み出るセシリア。


「ねぇ、私の前でレイリーの真似止めてもらえるかな?反吐が出るんだけど。」


「ち、ちが!違う!俺は本物だ!春人(はると)だよ!」


「どこで調べたのそれ?気持ち悪い…もういいわ、話にならない。行きましょう。」


 レイリーの話を途中で遮り、ガルファーとアルフォンスに声を掛けて退室するセシリア。

 ガルファーとアルフォンスは、そのままセシリアの後を追って退室した。

 扉を閉める瞬間、ガルファーがこちらを見ていたような気がしたレイリーだったが、決定的な決別に、再び気分が悪くなる。


「お、ぉが……ゴプッ!」


ビシャビャビャ!


 胃液を吐き出し、再び意識を失ったレイリーを泣きながら抱きしめるアイリスは、何かを決心したような顔をしていた。


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