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異世界の弱小クランを最強にしたい  作者: ピザチュウ
中央大陸帰還編
38/53

エルフの里の神



 大樹の街サルマトリアで、クーリアにスキルを授けて貰うために、神の像の元にやってきたレイリー達の前に現れたのは、少しおっちょこちょいな神様だった。


「それで、何故私を呼び出したのでしょうか?」


「はい。彼女にスキルを授けていただきたく思いまして。」


 女神は慈愛に満ちた表情で、クーリアを一瞥すると、一つ頷く。


「え、宣誓の言葉とかは必要無いの…?」


 レイリー達は皆顔を見合わせて不思議な顔をする。


「あれは人間が勝手に創り出した儀式です。本来十二歳を超えていなくとも、神に祈ればスキルは貰えます。それはレイリー様が誰よりご存知のはずです。」


 レイリーは、忘れもしない恥ずかしい記憶の蓋を開くと、頭を抱えて悶絶する。

 その様子を見て女神がくすりと微笑む。


「どうやら彼女が言っていた面白い少年、とは彼のことで間違いないようですね。」


「ファルネア様から既に伝わってましたか。」


 慈愛に満ちた表情で、レイリーを見つめる女神の言葉に違和感を覚え、ファルネアについて言及する。


「ファルネア様…?って誰なの?」


「神の一柱、創造を司る女神の名ですよ。」


「レイリー様に私を授けた方です。」


 レイリーは、宣誓の時に聴こえてきた声の主を想像した。今の様に姿は見せていなかったが、陽気な神だった印象がある。


「ああ!あの愉快な神様か。…失礼かもしれませんが、貴方のお名前は?」


「ふふふ、私はシュエルピカリュンテュテューティスです。」


 自然な流れで聞いた名前が、予想より長い名前だった為焦るレイリー。

 宣誓の言葉も覚えられない様な男に、こんな長い名前覚えられるわけないだろ。と心の中で悪態を吐く。


「え?あ、えっと…」


「シュエルピカリュンテュテューティスですよ。」


「ジュエルピカリン…デュエルデス…」


「シュエルピカリュンテュテューティスですと何度も申してますよね。」


「しゅ、シュエルピカリン…」


 全く覚えられないで居ると後方に待機していたクーリアが助け舟を出す。


「ご主人様、略称で呼ばれては如何でしょうか?」

「あ!いいね、ピカリンでいこう。」

「それ可愛いでござる!拙者も覚えられなかったので助かったでござるよ。」


「ぴ、ピカリン…ちょっと可愛い…」


 不敬かと思ったが、どうやら女神の琴線に触れた様だ。頬を紅潮させて喜んでいる。


「コホン、そろそろ本題に入りましょうか…クーリアよ。」


 名前を呼ばれたクーリアが、短い返事を返し、神の前に跪く。


「貴方は……ん、辛い人生を歩んできたようですね。細やかな慈悲ですが、闇魔法のスキルを授けましょう。」


「それは一体…」


「全てを闇に飲み込む汎用系スキルと、移動系スキルを取得出来ます。使い方は自然と判るようにしておきますね。貴方の歩む人生に幸福があらん事を…」


「勿体なきお言葉…感謝します。」


 クーリアの体を妖しい光が包み、ゆっくりと収まる。自分の両手を広げたり閉じたりしながら、新しい力の実感を得ていた。


「では人の子らよ、幸福あれ…」


 クーリアにスキルを授けた神は、光の粒子となって空気に溶けていった。

 暫く余韻を感じていたレイリー達の元に、エルフの青年が声をかける。


「食事の準備が出来ましたので、長の屋敷にお越しください。」


 レイリー達は大樹の神像に一礼して、マルスの屋敷に戻った。





▶︎▶︎





「どうでしたか、スキル取得の方は。」


 野菜や木の実が中心のヘルシーな料理に舌鼓を打っていると、何処かに出掛けていたマルスが入室して、上座の空いた椅子に腰掛ける。


「お陰様で概ね良好でした。」


「それはそれは…と、私もいただこうかな。」


 マルスはアイリスの返答を淡々と受け取り、食事を摂り始めた。

 ある程度の未来が見えるので、聞く必要はないが一応、といった雰囲気が伝わる。


「そういえば姿が見えませんでしたが、どちらへ?」


「ああ、貴方方に合わせたい人物が居まして…実はもうそちらの扉の前まで連れてきてます。部屋に招き入れたいのですが、宜しいですか?」


「えっ?」


 レイリー達は驚愕に目を見開くが、アイリスだけは真顔のままだった。

 断るとは微塵に思ってない、といったマルスの表情が鼻につくが、いつまでも扉の前に立たせるのは失礼だろうと思い、頷き肯定の意思を示す。


 それを見たマルスが満足そうに頷き、近くに待機していた青年に耳打ちをする。


 指示を受けた青年が部屋の扉を開け放ち、客人を招き入れる。


「あの……その……」


 扉の先には、エルフの少女が立っていた。


 

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