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異世界の弱小クランを最強にしたい  作者: ピザチュウ
転生編
31/53

港町ミリムアージュ



 製鉄都市イゾルダを出立して早一ヶ月、レイリー達は馬車を乗り継いで、順調に港町へ向けて旅を続けていた。

 途中に点在している街や村を中継しながら着実に港町ミリムアージュへと近付いていた。


 道中カエデに旅の事情を話したら、

「師匠が居るなら何処でもついて行くで御座るよ!」と嬉しい事を言ってくれるので、思わず頭を撫でてしまった。

「子供扱いはやめるで御座るよー!」

 そういってポカポカ叩いてくるカエデに思わずほっこりしたレイリー。それを見ていたアイリスも頭を撫でようとしたが、やめるで御座る。と真顔で手を弾かれたので、何とも言えない顔をしていた。


 道中遭遇した盗賊に向かってカエデが飛んでいく一幕があった。

 人間を殺すのに一切の躊躇はなく、急所だけを的確に狙って、一撃で命を刈り取っていた。

 盗賊を全て片付けたカエデが短刀の血を拭き取っていると、アイリスが死体をストックする場面を目撃して目を丸くしていたので、慌ててスキルのお陰だよ、と言い訳をした。

 その時にふと気になった事を聞いてみる。


「そういえばカエデのスキルって何だっけ?」


「そういえば師匠は記憶が無かったで御座るね。拙者は虫の知らせ、という察知系のスキルで御座る!常時発動型のスキルで、拙者や大切な人などに危機が迫ると、耳元でピコンピコンと音が鳴って、危機の発生が近い場合はその箇所が赤く光るで御座るよ。」


「へぇ…警報機みたいなもんか。」


「よく分からんで御座るが、師匠の攻撃を察知したのもこのスキルのお陰で御座るよ!」


 そう言うとえっへんと言いながら胸を張るカエデ。あの黒装束の下に、サラシに巻かれた怪物(モンスター)が潜んでいるのかと思うと、目を逸らさずにはいられないレイリーだった。






▶︎▶︎






 暫くしてミリムアージュが見えて来た。

 海岸には所狭しと建物が並んでいて、大型船が港に何隻も停泊している光景は圧巻の一言だった。

 潮風の匂いが漂い、懐かしい日々の一幕を思い出したレイリーは、少し寂しい気分になった。


 はしゃぐカエデに手を引かれ、街中へ進むと、市場へ出る。

 活気にあふれた露店は、新鮮な魚介やジャム、加工された食品や貝殻のアクセサリーなど様々な物が売られていた。

 二人に貝殻のイヤリングを上げると、カエデは頬を膨らまし、アイリスは指輪を要求してきた。


「一応私達恋人という設定なので。」


 というアイリスの説得に負けて、アイリスには指輪を、カエデにはレイリーとお揃いのネックレスを買ってあげた。

 二人共嬉しそうな表情でアクセサリーを眺めて歩いていたので、前を見ないとぶつかるよ、と注意する。

 恥ずかしそうに前を向き歩き始める二人を見て思わず笑みが零れるレイリーだった。





▶︎▶︎





 大陸を渡る船が出るのは明日だと言われ、渋々引き返し宿屋に宿泊する一行。

 宿屋の部屋は全員一緒の部屋にして貰う。


 アイリスはレイリーの体調管理の為と言い、カエデはレイリーを守る為だという。


 夕食を終えて風呂にも入り、ベッドで川の字になって寝ていると、カエデが一瞬ビクッと体を震わせた。


「ん?どうしたの?寒い?」


「い、いえ。何でもないで御座るよ。」


 そういって再び寝息を立て始めるカエデ。



 夜中、カエデとアイリスに挟まれていつもの様に寝たふりをしていると、カエデがモゾモゾと布団から這い出し、二人を起こさない様に部屋を出るのが見えた。


 不思議に思ったレイリーはアイリスに事情を説明して、朧を使ってカエデの後をつけてみる。

 すると、海の方に走っていくカエデが見えたので尾行する。


 カエデは風のように夜の路地を駆け抜けやがて大型船が幾つも停泊している港に到着した。

 海の向こうをジッと見つめて微動だにしない彼女は、既に短刀に手を掛け、戦闘態勢に入っている。


「ここで御座るね…」


 カエデが横に居るレイリーに気付かずにポツリと独り言を漏らす。

 やはり寝る前にカエデが一瞬見せた挙動は虫の知らせによるものだったのかと、レイリーは確信する。



ザァァァァ……




 暫く海を見つめていると、月に照らされた海面が上がってくるのが見えた。

 見る見るうちに上昇する海面から姿を現したのは、山の様に大きなタコだった。

 カエデでは明らかに分の悪い勝負になりそうだったが、遠くに出現したタコの巨大さを、よく把握できてないカエデは蛮勇を振るう。


「こ、この街は師匠が居る…速やかに切り身になって貰うで御座るよッ!」


 そういって短刀を構えるカエデを止めるレイリー。

 唐突に現れたレイリーに驚き目を丸くするカエデ。


「え、あれ?師匠!?何故ここに。」


「水臭いな、漁するなら俺も誘ってよ。」


 そういってカエデの肩を掴み後ろに下がらせて、極大魔法の詠唱を始める。


「【海面を 尽く 凍らせろ 絶対零度の 突風】!」




 弟子に大きな背中を見せる為に、港町ミリムアージュで人知れず、怪獣大戦争が幕をあげた。

 

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