国営って言ったよね?
宿屋に宿泊して一週間が経過した。
アイリスとの添い寝にも慣れてきたレイリーは今朝も優雅に部屋に運ばれた朝食を食べていた。
カーテンがふわりと揺れ、爽やかな風が舞い込み頬を撫でる。
眩しい日差しに目を細めながら外を眺める。
「装備……まだかいな。」
装備を買うのにこれ程時間が掛かるものなのかと、レイリーは疑問に思った。
鍛冶屋に発注しに行ったアイリス曰く、そんなに早く出来る訳ないです。ア○ゾンじゃないんですから。との事だったのでレイリーは大人しく宿屋に待機していた。なぜ知っている。
アイリスの不思議な能力について色々聞いたら、受肉する時に神から授けられたギフトの様なものだと説明された。内容は、
・変質
物の形を自由に変えられる
・創造
材料さえ有れば知識にある物が自由に作れる
・識別
未来や過去、物、人の詳細を見れる
・家事
料理、洗濯、掃除を完璧に行えるようになる
ざっくりとこの様なものだった。
大体分かってはいた事だけど、超すげーじゃん俺のスキル、とレイリーは鼻を高くする。
しかし、死亡した際は永久に消失してしまうらしいので、何としても護らなければ、とレイリーは決意を固くし、アイリスを見つめる。
「……いやん、そんなに見つめちゃ恥ずかしいわ。」
「あああ!?うちのスキルがバグった!!」
「先日隣の部屋で行われていた営みの一幕を真似てみました。」
「……止めておきなさい。」
何だか家族とエッチなシーンを見てしまった気分になったレイリーは、アイリスを軽く咎め、乾いた双眸を窓の外に向けた。
「取り敢えず働こう…」
アイリスにギルド庁舎はある事は聞いていたので、イゾルダのギルドに冒険者登録をする為に足を延ばす事にした。
▶︎▶︎
ギルド内部はウィールズのギルド庁舎に比べて質素な造りだった。
受付も依頼用と冒険者用の二つしかなく、閑古鳥が鳴いていた。
レイリーが冒険者用の受付の前に立つと、不思議な顔をされた。
「あの、ご依頼なら彼方のカウンターですよ?」
「いえ、彼女と冒険者登録をしに来ました。」
そう言って後ろのアイリスを指差すと、スカートの両端を摘み優雅に一礼する。
すぐに勘違いと分かった受付嬢は、謝罪すると二人を奥の部屋に案内する。
「本日ご案内をさせて頂きます、ミュティと申します。よろしくお願いしますね。こちらが注意事項となります。」
そう言って複数枚の書類を渡してくる受付嬢。
「先ずは冒険者というものについて軽く説明させて頂きます。」
そう言って受付嬢は、ウィールズのギルドで受けた説明と、ほぼ同じ内容の諸説明をした後、同意する二人に記入用紙を手渡す。
「其方に個人情報を書き込んで頂けますか?」
そう言われてレイリーはこの身体の持ち主の名前を書き込み、住所は不定と書き込む。
全大陸で情報は共有されています、という一言に、そういえば元の自分は死亡扱いになっているのでは?と思い咄嗟に変更した。
隣のアイリスの記入用紙を見ると、家名を合わせてアイリス・ファリクスと書いていた。
記入が終わり用紙を受付嬢に渡すと、一瞬固まり、少々お待ち下さい。と言われた。
どうしたんだろう?と思いながら受付嬢の背中を見送ると、隣に座っていたアイリスが声を掛けてきた。
「少し驚く事になるかも知れませんが、ご安心を。」
何だろう、誕生日はまだなんだけどなぁ、とサプライズの予感を感じたレイリーはソワソワとし始めた。
「無音の死神、レイリー・ファリクスだな?国から捜索依頼を出されている君がこんな所で何をやっているんだ?」
「OH…サプラァイズ…」
レイリーとアイリスはギルドマスターに連れられて城に強制連行させられた。




