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異世界の弱小クランを最強にしたい  作者: ピザチュウ
クラン入団編
12/53

動き始めた弱小



 セシリアが(かえで)だと知ったレイリーは日本での日々を思い返して、懐かしさからかセシリアと色々な話をした。



 なぜ自分の事を好きになったのか、自分の所為で死んでしまった事を後悔してないか、やりたい事が有ったんじゃないか、など。


「春人を好きになったのは、私が小学一年生の頃周りに馴染めなくて一人で教室にいた時サッカーに誘ってくれたよね?幼馴染っていうのもあったから気になり始めて、それから何度も一緒に遊んだり、話したり内に好きになっちゃって…一緒の高校を選んだのも実は離れたくなかったからなんだ。」


「そうだったんだ…でも俺の所為で死んじゃったね、ごめん。」


「ううん、本当は助かってたけど春人(はると)が死んじゃうって思ったら居ても立っても居られなくて、春人(はると)に覆い被さって守ろうとしちゃった…死んじゃったけどね、ふふふ。」


「あの時の感触はやっぱり…俺なんかの為に…」


「でも今は凄く充実してる。優しくてお節介で恥ずかしがり屋の幼馴染がまさか春人(はると)だったなんて…ふふふ、こういう事言うと不謹慎かもだけど、死んでよかったかも。今は幸せだよ。」


 そう言ってレイリーの肩に頭を乗せるセシリア。一度失った筈の温もりを感じて頬を緩ませる。レイリーは二度と失わない様にそっと腰に手を伸ばす。


「俺もだよ…」


春人(はると)…いや、もうレイルって呼んだ方が良いのかな。」


「はははっ、そうだね、セシリア…」



 お互い見つめ合って何度目かになるキスを交わそうとした時ギルド事務所の扉が勢いよく開かれクランメンバー達が雪崩れ込んでくる。


 重なりそうになった唇を急いで離し音の方を見ると、羞恥心からか顔を耳まで真っ赤にしたセシリアが俯いてしまう。


 大事な所で邪魔されたレイリーはお冠だった。


 怒った様子で腕を組み自分達の前に仁王立ちしているレイリーを見たクランメンバーはお互いに顔を見合わせ微笑むとスッと立ち上がり全力で逃げ出す。






「【捕らえろ 追尾する 土の 鎖】!」





 逃 げ ら れ な い !







▶︎▶︎







「一体何回覗けば気が済むんだアンタ達は…」


「僕は親心で…ははっ」

「俺は間違いが起こらない様に…」

「アタシ達は単なる興味心で!ねー?」

「「「ねー!」」」


「ねー!やあるかあほんだらぁ!」



 捕まったメンバー達は一時間に及ぶ説教を受けていたが、まるで反省の様子が見られなかった。これは再犯の可能性があるな、とレイリーは溜息をつき頭を抱える。


「まぁまぁ、皆きっと心配してくれてたんだよ…」


「……しょうがないなぁ。」


 セシリアの一言で鎖の拘束を解くレイリー。クランメンバー達は安心してホッと胸を撫で下ろすが、次にレイリーの口から飛び出す言葉で死ぬ程苦労する事になる。



「まぁ今回皆さんにこの話はそもそも過去と決別する為じゃなく、このクランを想っての事です。」


「ん?どうゆう事だい?」


 よく分からないといった様子のクランメンバー達が顔を見合わせ首を傾げる。その様子を見たレイリーはメンバーに対して辛辣な言葉を放つ。


「全員まるでダメなので、鍛え直そうと思いまして。」


「鍛え直すって、何をだ…」


 オルタスが分かりきっている事を聞くが、本人達はまるで分かっていない様子だった。セシリアに目配せをするとレイリーの横に並んで今日の攻略の反省点をつらつらと並べていく。


「先ずはダイスさん。的確な指示は良いんだけど、弓での援護がまるでなっていないの。標的は止まった的じゃ無いから、アレじゃ唯の威嚇射撃になってしまって返ってパーティーが戦い難くなってるよ。」


「ははは…手厳しいね。でもうん、その通りだね…」


 セシリアにダメ出しをされたダイスが思い当たる節があり過ぎる、といった表情で肩を落とし納得する。


「次にパパ。盾を持っているのに直剣を両手に持って戦って、しかも比較的動きの速いダークウルフには攻撃を避けられてたよね。本来盾で受けて、引きつけたところに一撃を加えるスタンスの方がパパには合ってると思うし、周りのメンバーの安全度が遥かに高まるよ。」


「お、おう…そうだったのか……」


 身振り手振りで癖を指摘され情けない顔をするオルタス。クランに入りたての娘に致命的な欠点を修正されてどんどん小さくなっていく。


「次にエリリア。双剣辞めて双短剣にした方がいいよ。」


「えー!?なんでー!?」


「剣に振り回されて全然魔物に攻撃当たらないし、双剣の最大のメリットである攻防一体の連撃が全く見られないの。籠手を装備して、双短剣を使った方が理想の形に近付けると思うの。」


「成る程!一理あるわね!」


 セシリアの説得にそう言って掌を打つエリリア。一理どころか十割だろ、と思っても口には出さないレイリー。


「次にウィドラルク。回復魔法は良いけど、その他が全くダメだよ。先ずアームクロスボウだけど、小型の敵にしかダメージが通らない上に射撃性能も悪い、もう武器変えましょう。」


「何を使えばいいかなぁ?」


「そうね…例えばレイルみたいにメイスを使うか、フレイルとかも良いかもね。」


「それだとぉ遠くから攻撃出来ないじゃないかぁ。」


「いや、傷付いた仲間に回復魔法かけるのに魔物が寄って来た時の保険くらいで考えてた方がいいよ。アームクロスボウで近くに接近した魔物とどうやって戦う気なの?」


「それはぁ…そうだねぇ。」



 ウィドラルクは武器の改善だけで劇的に変わりそうな気がする。貴重なスキルの回復魔法持ちらしいし、長所を最大限に生かすのがいいだろう。


「ビルとダリルは…武器は良いけどレイルから魔法の指南を受けた方がいいね。」


「そうね…」

「了解っす!」


 各々の取り敢えずの課題や特訓メニューを組んでダンジョンで修行する事を決めたクランメンバーは、今から始まる地獄のような日々を想像する事ができず、未来の自分の姿に胸を膨らませた。


「俺は今まで育ててくれた父さんや母さんが好きだし、そんな父さんのクランを弱小のまま終わらせたく無い…」


「レイル…」


 皆の顔をゆっくりと見回すと皆決意に燃えた目をしていた。これならいける、とレイリーは確信に近い手応えを感じた。両親の為、クランの為に一歩を踏み出したレイリーとセシリア。最終目標を高らかに宣言して皆を鼓舞しようとした。



「じゃあ目指すはクランフェス優勝って事で!」



 そう言うレイリーを全員が口を開けて見ていた。

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