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夜の帳が下りる



つらつらと世迷い言垂れる苦学生風の青年を横目に、ゆきはある場所を目指していた。

今は、彼女の隣を我が物顔で陣取る彼もいないため、気を抜ける唯一の時間と言ってもいい。

しかし、隣に人がいないのはいないで不安が募るものだから、ゆきの足は自然と速くなって行った。


夜の街は、賑わいとは別に一種の媚薬のような、麻薬のような、そんな妖しさを含んでいる。

この街の全ての人がそれを黙認し、それを楽しんでもいて、それを利用してもいたのだ。

早い話、ここは犯罪の巣窟ということだ。


しかし、不思議とゆきはその犯罪とやらの一切に巻き込まれないのだ。


緑と黒を融け合わせたような色の大きな瞳、細くしなやかな両手両足、薄く桃色ののった控えめな唇、艶やかで長い黒髪。

語調を強めて言うならば、『惹かれないわけがない』のだ。

その謎の真相は、誰も知ることはない。


「…っはぁ…」


急ぎすぎて、堪えていた息が漏れた。


息は吐けば吸わなければいけなくなる。

ゆきはそのことを他の誰よりも知っていた。

だから、息を吐くという行為が大嫌いだった。

けれど人間の体の不条理というものか、走る彼女に息を吐かないという術はないに等しいのだ。



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