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逆鱗のハルト  作者:
逆鱗のハルトⅠ

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88/847

温泉は好きですか。①

農業大国、ヴァイス帝国。

皇帝(偉そうだという)ヴァイセンが治める、東西に長い領土を持つ大国。


その、見渡す限りの農作物は、日の光を一身に浴びてすくすく育ち、時には濃い草の香りを広げていた。


俺達はフェンを先頭に、街道をひたすら馬で駆ける。

途中に、農作業用の道具を入れたり、簡易的に寝泊まりが出来るよう造られた小屋もいくつかあって、利用させてもらったり。


移動に馬が多用されているので馬小屋も用意してあるから、思ったよりは快適だった。


そうして、1週間が過ぎる頃、畑の向こうに街が見え始めた。


「次の街は大きそうだな?」

グランが馬の背でぐるりと腕を回す。

「そろそろ身体が軋んでくるよねー」

ボーザックも伸びをした。


見えてきた街は、どうやら柵で囲まれているようだ。


まだはっきりはわからないんだけど、広そうに見える。


「ゆっくりした雰囲気の街だったな。でかい風呂があったぞ」

イルヴァリエが言うので、女性陣がぱあーっと笑顔になった。


「温泉?」

「いいわね、露天?」


「いや。私は入っていないのでな…」

「ええー!?どうして?」

ディティアが心底驚いたとでも言いたげな声で聞く。

「勿体ないわね」

ファルーアも残念なものを見るような眼。

イルヴァリエは困った顔をして頭をかいた。

「いや、どうしてと言われても…別に風呂など入らずとも」

『…!?』

女性陣が固まる。


「野宿の時は最悪、拭くだけで我慢するわ…でも、ねぇ?」

「う、うん…街にいるのにそれはちょっと」


「そうか?そんなこともなかろう。なあ、逆鱗のハルト」

「それ、俺に言うなよ。風呂は入るぞ」

「なんだと……」


そっか、風呂があるのか。

ちょっと楽しみだな。


「あったまりながらストレッチすると効率的だからねーイルヴァリエ」

「そうなのか?」

「わかんないけどねー」

「そ、そうなのか」


「そういうことじゃないのよ!」

「もー、ボーザックもそうじゃなーーい」

「全く……お前らは風呂の嗜みも知らねぇのか」


グランまで参戦して、俺達はわいわいと街に向かった。


******


「はあ?どういうことだ?」

「何で!お風呂が閉鎖って!?」


グランとディティアが詰め寄ったので、かわいそうに、ギルド員は後退った。


……宿場街カタルーペ。


思ってたよりもさらに大きいその街は、ヴァイス帝国の東西を結ぶ街道の休憩拠点だった。

もちろん、温泉もある。


柵でぐるりと囲まれた街は至る所に湯気が立ち上り、温泉特有の匂いがする。

たっぷりの野菜で育った鶏の卵が温泉の源泉で温められて、とろりとした半熟になった『温泉卵』なるものが人気らしい。


後で食べなきゃな。


「……じ、実は、魔物が源泉のあたりで見つかって……」

「魔物!?」


そんなカタルーペのギルドで、温泉に入りたい俺達は早速お風呂の場所を聞いた。

そして返ってきた言葉が「今は閉鎖中」だったのである。


「おい、姉ちゃん」

「はっ、はいっ」

いかついグランに詰め寄られ、ギルド員は涙目。


「そいつ、討伐依頼は出てんだろうな?」

「あっ、は、はい……に、認証カード持ちの依頼なんですが」

「ほらよっ、すぐ寄越せ!」

名誉勲章を引っ張りだし、グランは鼻息荒く言う。

ディティアとファルーアもめちゃくちゃ真剣だ。


久しぶりの依頼だしなー、身体が鈍らないようにしないとならないし、たまには戦っておかないと。 


俺達はすぐに出発することになった。




11日分の投稿です。

毎日更新していますが、遅れてしまいました。


しかも!

データが消えてしまうという悲しい現実に遭遇しました。


すみません、ほんとにお読みくださってありがとうございます!

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