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逆鱗のハルト  作者:
逆鱗のハルトⅢ 魔法大国ドーン王国
704/845

遺跡調査は難航ですか①

******


 そんなわけで翌日――昼前。


 巨大なキノコのあいだを抜けて進んだ俺たちは『遺跡』に到着した。


 国境の町アルジャマの支部長ロロカルさんから貰った地図には目印として『二頭キノコ』なる記載があったけど、実際に柄の半分くらいから枝分かれした巨大なキノコが遺跡の向こうに聳えている。


 肝心の遺跡はというと……聞いていたとおりで焼け果てたキノコの残骸のなかにあったんだ。


 そう大きくもない四角い箱みたいな入口部分が地面から突き出している造り。


 つまり……遺跡は『地下』へと続いていたのである。


「私たち、なんだか最近地下ばっかりな気がするね」


 ディティアが苦笑するけど……気持ちはなんとなくわかる。


 まあ――一番最近は森のなかでの岩龍討伐戦だけどな。


「もっと古代の建物群ーって感じの遺跡を想像してたんだけどなー」


 ボーザックも言いながら辺りを見回す。


 焼け焦げた地面からは未だに据えたような匂いがして、遺跡を中心にぐるりと空間が開けていた。


 この焼け野原を造り上げたのが魔法だとしたら確かに大規模だったろう。


「『五感アップ』はかけてあるけど……未知の魔物とかジェシカたちの両親っぽい気配は感じないな。支部長ロロカルさんが話してた魔法陣の罠みたいなのもなさそうだ」


 俺が言うとグランが顎髭を擦りながら唸る。


「遺跡に入って確かめるしかねぇだろうな――各自ランプの準備はいいか?」


「……そうだわ。相談なのだけれどグラン。あれ、いくつか拝借してもいいかしら」


「あ?」


 そこに応えたのはファルーアだ。


 彼女は訝しげなグランの前で白い腕をすっと伸ばし――『淡い水色に光るキノコ』を指す。


「ランプよりも明るそうだし視界の確保に役立つかと思って。いざとなればあれを敵にぶつけて魔法を撃つわ。――当然、撃たれる危険性もあるけれど」


「おお、なるほどな……わかった。俺が持ってやる」


「助かるわ」


「ふむ、面白そうだ。俺も持とう」


 そこで〈爆風〉が話に加わり、ボーザックが意気揚々と「俺もー」なんて声を上げる。


 俺は腰に手を当てて眺めていたんだけど。


 隣のディティアが不思議そうに聞いてきたのはそのときだ。


「……ハルト君は持たないの?」


「そういうディティアは持たないのか?」


「えぇっ? ……わ、私は、その……む……虫がいそうだなって……」


「ははっ、可愛い理由だなあ。……俺はグランやボーザックと違って盾にできるものがないし〈爆風〉みたいに躱すのも難しいだろ……魔法を撃たれたら一番に爆ぜるなぁって思ってさ」


 情けない限りだけど間違いない。


 俺は自分の頼りなさを噛み締めつつディティアの頭をぽんぽんと撫でる。


 ディティアは眉根を寄せると頬を赤くして唇を尖らせた。


「あの、ハルト君……何度も何度も言うけど、軽々しくひとの頭を撫でたら駄目なんだからね……⁉」


「別に誰でもやるわけじゃないぞ」


「えっ……⁉ え……えぇっ⁉」


「ジェシカにはしてもファルーアやグランにはやってないだろ?」


「ジェシカちゃん⁉ ふぁ、ファルーアと……グランさん……。あ、あぁ、うん……そうだね……」


 何故かディティアは肩を落とすと、頬を両手で覆った。


「子供……子供ってこと……?」


「……?」


「ハルトってばまたティアに変なこと言って……はい、ハルトのキノコ」


 そこにボーザックが光るキノコを一本差し出した。


「……は? 俺、なんか変なこと言ったか? っていうか俺はキノコ持つつもりはないぞ……」


「なに言ってんのさ。ハルトが持ってくれないと後ろが暗くなっちゃうよ?」


「……んん? あー。殿(しんがり)が俺ってことか……?」


「そう。いま話してたところ。前から俺、グランとファルーア、ハルトだってさ。ティアと〈爆風のガイルディア〉は遊撃手みたい。……中が狭くないといいんだけど」


 いつのまにか並び順が決められていたらしい。


 グランは前後どちらからの攻撃でもファルーアを守れる位置……ってことだろう。


 勿論ランプはあるけど……たしかにこのキノコのほうが明るそうだ。


 俺がキノコを持たない場合、後方からの攻撃に気付きにくくなる可能性はある。


 万が一遺跡内部が入り組んでいたらその確率も上がるしな。


 俺は仕方なくベルトにキノコを括り付けた。


「後ろからなにか来たら迷わず投げるぞ……俺は魔法を捌けないし」


「……そう? 俺は――っていうか皆ハルトなら避けられると思ってるよ。だからこの順番なんだし」


 ボーザックはそこでにっと笑って俺の左肩にコツンと拳を当てる。


 その言葉と行為が唐突で……少しだけグッときた俺は思わず口元を腕で擦った。


「――努力はするけど」


 するとなにかから立ち直ったらしいディティアが下から俺を覗き込むようにして微笑んだ。


「ハルト君、褒められて照れてる?」


「……! べ、別にそんなことは……」


「ふふー。仕返しです!」


「仕返しって……俺はなにもしていない気がするんだけどなぁ」


 苦笑を返すと――グランの号令が耳朶を打った。


「よし、それじゃ入るぞお前ら! 目的はジェシカたちの両親を捜すこと、未知の魔物の発見と討伐だ。いいな?」


『いいね』ありがとうございました!

ほうほう、こんな感じで見えるのですね✨✨

皆様からは見えないのかな。

評価とも違うようですし、これは私のモチベーション用でしょうかね……?

ともあれとても感謝です。

引き続きよろしくお願いします!

(更新遅れてすみません!)

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― 新着の感想 ―
[一言] 他の作者さんでいいねの数で読者が好きなシチュエーションを探ってる人もいましたよ〜
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