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逆鱗のハルト  作者:
逆鱗のハルトⅡ

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287/847

珍しい魔物です。①

******


俺達は、シュヴァリエ率いるグロリアスのこと、そのメンバーのこと、アイシャでの自分達のことなどを話した。


サルーヤさんがつるつるの顎を撫でながら、唸る。

「まさか、お前達がそんなにすごい冒険者だったとは……」

その視線の先には、彼等に見せるために出した名誉勲章。

それから、飛龍タイラントの鱗で造ったナイフがあった。


「そうだね、それにそんな素晴らしい方と共にうちのナーガがいると思うと僕は感無量だよ」

ナーラさんはとにかくナーガの話をしたくて仕方ないようだ。

……シュヴァリエが素晴らしいかどうかは別だけどな。


グランは髭を擦りながら、彼等に質問を投げる。

「……砂漠の街ザングリの協会支部では、爆風のガイルディアは1年くらい前にここに来たと聞いたが。さっきの手紙からすると最近目撃されてるみてぇだな?こっから北に何かあったのか?」


それを聞いたナーラさんはにこにこしながら、グランに頷いて見せる。


「うん、爆風のガイルディアさんは西のカーマンって都市から、どうやら北東に進んで山脈を越えたみたいだね。僕は彼の動向は知らなかったけれど、確かに珍しい魔物の話はあるんだ」


俺は香辛料がたっぷり利いた、辛味と酸味が丁度良い味付けの肉を口に放り込む。

一緒に出て来たのは平たい丸パンみたいなもので、これと一緒に肉を食べると中々に旨い。

新鮮な野菜とかあったら一緒に挟んでもいいかも……。


「へえ、どんな魔物なの?」

俺が舌鼓を打っている間に、さっぱりした風味のお茶で肉を流し込んだボーザックが話を引き継ぐ。


ナーラさんはにこにこしたまま、話を続けてくれた。


「うん、それがね、普段は山脈の奥地にいるらしい魔物が平野に下りてきてるんだ。たぶん話にあがってるのはガリラヤって魔物だね。ガリラヤは大きな兎で、毛皮がこの上なく高く売れる」


「……毛皮……。そうすると乱獲されたりするのね?」

ファルーアが話に加わる。


「その通りだよ。ガリラヤは警戒心が強くて滅多に見付からない。それなのに山脈から出て来ちゃってるから、そりゃあもうトレージャーハンター達はこぞって狩りに参加する。……つまり、それだけ裏切りも多いはずだよね」

ナーラさんの眼が、ギラリと光った気がした。


「成る程な、裏ハンターが動くってわけか」

それに反応したのはサルーヤさんだ。


俺達は別段裏ハンターだとか名乗ることも無かったんで、目配せだけして聞き役に徹することにした。


「爆風のガイルディアは裏ハンターだって聞いたから、きっとそこで事態の収拾に当たってるんじゃないかな」

ナーラさんはそれだけ言って、意味深に俺達を見回す。

サルーヤさんはそれを聞いて頷いた。


「つまり、ナーガの主はその情報を手に入れるだけの情報網があるということか」

「そうだね。さすが、ナーガが認めた主だけあるよね」


俺は出していたタイラントの鱗で造ったナイフと名誉勲章をしまい、少し考える。


確かにシュヴァリエはそれなりの地位だろうから、トールシャにも知り合いだか密偵だかがいるのかもしれない。


ただ、今回はたぶん……。


ちら、とディティアを見る。

彼女は俺と眼が合うと、にこっとして小首を傾げた。


疾風のディティア。

彼女のために、彼奴が情報を集めたんだろうな、と。

何となく思った。


******


とりあえず爆風のガイルディアがいそうな場所の情報はもらった。

話は砂漠の地下にある遺跡の話に移る。


意外なことに、食い付いたのはナーラさんではなく、ナーガの母親のシャーラさんだった。


「本当に?遺跡が??」

迅雷のナーガによく似たキリリとした眉と眼。

……何となく強そうに見える。


「そう。白薔薇がアーラと一緒に見付けたんだってさ」

探索専門のトレージャーハンター、ころころしたお腹のラーダさんがお茶を飲みながら頷く。


シャーラさんはそれにも驚いたみたいだ。

「まあ!アーラが?」

眼を丸くする彼女に、サルーヤさんが俺達に教えてくれる。

「シャーラの妹の子だ、ゴードとアーラは」

「えっ、そうなの!?」

ボーザックが驚きの声を上げる。


ナーラさんは楽しそうに言った。

「いいねいいね、皆お友達だね」


「……ああ、私も調べに行こうかしら……」

「それもいいかもしれん。報酬が見込めそうだ」

シャーラさんの言葉にサルーヤさんが言って、俺達は顔を見合わせた。

「あれ……?俺達、仕事の固定報酬貰ってないぞ」

思わず言葉にすると、それを聞いていたサルーヤさんが顔を顰め、呆れた声で応えてくれる。

「お前達……それじゃただの慈善活動じゃないか……」

……はい、ご尤もです……。


何て言うか、生きて戻れたことにすっかり安心していたみたいだ。


「あらあら、しっかりしないとね、リーダーさん?」

シャーラさんの言葉に、普段はしっかりと財布を握ってくれるグランも、ばつが悪そうな顔をした。



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