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逆鱗のハルト  作者:
逆鱗のハルトⅡ

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迅雷は元気です。③

サンドワームは砂に潜ったまま口を広げ、獲物を待っている。

裏ハンターのゴードにも聞いたけど、そこに何か投げ込んで飛び出して来たところを叩くのがいいらしい。


爆発物があれば、最初からそれを投げ込めばいいみたいだけどな。


「ブレスに気を付けろよ」

そう言って、サルーヤさんが砂に刺した槍をすくい上げるように振り抜いた。


当然、砂の塊が飛んで、牙らしきものが描く円の中へと……落ちて……。


……ゴバアアァッ!!!


「きゃっ……!!」

ディティアが悲鳴を上げて飛び退く。

その動作が怯える小動物に見えた。


うん、やっぱり可愛い。


呑気なことを思っていたけど、目の前で鎌首をもたげる魔物は全く可愛くない。

太さはグラン2人分。

長さは……まだ砂に埋もれている部分があるけど、砂の上に出ている部分だけでも俺くらいあった。


段になった腹……というか、身体全体に、薄らと細い毛が生えている。

色は砂を少し薄くしたような感じで、大きく開いた赤くぬらぬらした口は中までびっしりと牙が。

そこから漂うのは、腐った肉のような悪臭だ。


ディティアは震えながら呟いた。


「全っ然龍に見えないです……!ゴード、イモムシに見えないって言ったのに……どう見ても肉食のイモムシです、ハルト君」

その、あまりにも硬い口調に、俺は思わず笑った。

「ははっ、本当に苦手なんだな!」

「よし、ティアは下がっててよ。俺達頑張っちゃうからさ」

ボーザックも近くに来て、白い大剣を構える。


「いいか、白薔薇。他の魔物はまだ砂の中。そいつらに喰われないよう気を付けて戦うことがサンドワーム討伐の第1歩だ」 

サルーヤさんがそう言って、俺はバフを広げた。


「反応速度アップ、肉体強化!」


既に体感調整バフがかけてあるから、2個まで。

砂漠を物ともせずスタスタと歩いてきたんだから、これくらいなら、探索専門というラーダさんとトーラムさんでも耐えられる……はず。


フェンの口にも投げ込んで、俺はボーザックの横で双剣を構えた。


「ふっ……!!」

気合ひとつ。

まずサルーヤさんが飛び出す。


長槍は迅雷のナーガの武器でもあるし、ダルマニ出身者はよく使うのかもしれない。

ちらりと日の光を反射させて、槍の先が煌めいた。


そのまま、一閃。


ズドシュッ!!


思いの外重たそうな音。

サンドワームは鳴くことはなかったけど、物凄い勢いでのたうち回った。


どん、ずどん、と、砂が崩れ、砂塵が舞い上がる。


「ハアァッ!」

そこを、背の高いムキムキ、ガルードさんが同じような槍でさらに薙ぎ払った。


ザバアァッ!!


勢いで砂が揺れたんだろう。

その後ろで、次々とサンドワームか飛び出してきた!


砂が舞って、視界が悪くなる。

悪臭が、むわりと濃くなった。


俺は肉体強化を肉体硬化に書き換えて、突然の攻撃に備えておく。


「ガルード、1匹頼む!グラン、お前も取りあえず1匹相手して耐えておけ!ボーザック、ファルーアで1匹、ハルト、ディティア、銀狼、お前らで1匹だ!俺も1匹やる!」

「わかった!」

サルーヤさんの指示に、グランが答える。

すぐにそれぞれが移動し、陣形が整った。


次の瞬間である。


バチバチバチ……!


俺とディティア、フェンが対峙するサンドワームが口を開くのと同時に、その中で蒼白い光が満ちた。


「来るぞ!!ブレスだ!!」


サルーヤさんの声。

明らかにこっちを見ているサンドワームに、俺はディティアを引っ張って後ろに下がった。

彼女は何とか剣を構えているが、やっぱり恐いんだろう。

なされるがままだ。


もちろん、サンドワームから眼は離さない。


カッ!!バチバチバチッ!!


放たれたブレスは俺達がいた場所で弾け飛ぶ。

すかさず、フェンがサンドワームに飛び掛かった。


「ディティア、離れてて。俺も行ってくる」

「……たっ、戦える、大丈夫、ハルト君。あれは、脚が無いからマシな気がするよ」

必死に取り繕うディティア。


「無理しなくてもいいよ、大丈夫だからさ」

ぽんと頭を撫で、俺は笑って見せた。


こういう時こそ、格好良くみせたいもんな!




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