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逆鱗のハルト  作者:
逆鱗のハルトⅡ

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嘘みたいな本当です。②

戻った俺達をファルーアは妖艶な笑みで迎え入れ、言った。

「あら、仲直り出来たようね?」

「いや、仲直りって程のことじゃないような……」

「出来た!ありがとうファルーア」

「えぇ……違うよな……?」

俺はディティアの言葉にファルーアを見る。

「ま、ハルトはハルトってことよ」

彼女は、妖艶な笑みを崩さなかった。


……しかも、なんだよその答え……むしろ答えにすらなってないってーの!


それを見て、ディティアがふふっと笑う。

……まあ、笑ってくれるんならいいんだけどさ。


******


次の日、恐らく朝だろうという時間。

俺達は朝食を済ませて装備を確認し、必要なさそうな荷物を砂牛達と一緒にその場に残して遺跡探索へと乗り出した。


光る岩、流れる水、それが機能するように造られた宮殿。

それは俺達の想像よりも遥かに長い間、ここで眠っていたのだろう。


そう言えば、この蒼く光る岩は水で光るんじゃなく、魔力で光るんだよな。

つまり、ずっと光ってるのは、ここの水が魔力をたっぷりと含んでいるからってことになる。

ちなみに、水に魔力がたっぷり入っていることは皆にも話してあった。


確かにクリスタルも魔力を込めるとうっすら光るんだけど、この岩はそれよりは遥かに明るい。

魔力を込めると光る血結晶……あれよりは灯りとしていいんじゃないかな?


「アーラ、この岩ってトールシャにはよく有るのか?」

そう思ってふと聞いたら、アーラは首を傾げた。

「……さあ?砂漠ではたまにあるけど……どうして?」

「いや、魔力込めたら光るんだから、何かこう、欠片とかをこの水と一緒にでもして使えばランプとかになるんじゃないか?……欠片だけ使ってもメイジとかヒーラーなら光らせることが出来るだろうし」

うんうん、そうだよな。

水と一緒に出来るなら、火を使わない灯りがメイジがいなくても手に入る。

冒険する身からすると、ファルーアが居ない時の灯り確保は中々面倒だしな。


まあ、俺には浄化バフがあるわけだけど……。


「それはどうかしらね、この岩って、すぐに込めた魔力が出て行っちゃうのよ。だからここの入口を開けるのは結構疲れるわ。ずっと光らせるのは難しい。……ここの水と一緒にしても、水がどの位の間魔力を保っていられるか疑問はあるわね。まあ、そこが上手くいけば……」

そこに、ファルーアが参加。

アーラはへえ、と言って、さらに首を傾げた。

「じゃあ、ランプみたいな入れ物に水と欠片を入れて、蓋でもすればいい?」

「いえ、魔力は蓋するぐらいじゃ……」

「つーか、そもそもこの岩、相当硬そうだぞ。欠片だけ採るのはキツそうだがな」

今度はグランが入ってきて、ボーザックがさらに食い付いた。

「えー?でもグラン、階段にある砂牛の像、それを彫ったんだよね?削れるんだからいけるでしょー」


「はいはーい、そこまでです!……とりあえず進みながらにしましょう!誰か待ってたらどうするんですか!」

「わふぅん」

そこで、パンパンと手を叩いてディティアが言う。

フェンが呆れたように鳴いた。


「おお……悪ぃな。……行くぞー」

グランがそう言って、大階段へ進み出す。


俺とアーラは眼を合わせた。

するとアーラは腕組みをし、俺を見上げて話し出す。

「……逆鱗のお兄さん。それってもしかして、ザングリの街での特産品とかに出来るかもって話だよ、いい?そういう考えは、まず仲間と話すことをお勧めするよ?でないと、また宝物取られちゃうんだからね?わかる??」


……え、そんな話か?これ。


俺は思わずぼやいた。

「……トレージャーハンターって面倒だなぁ」


そもそも宝を取られたことも無いし。


「うわ!お兄さんそれ言う!?失礼、失礼だよね!?」


「ほら!そこのふたりも早くー。はぐれちゃうよ!」

……またディティアに急かされた。

俺は憤慨するアーラに笑って、はいはいと階段を上るのだった。


******


五感アップでも気配らしいものは無く、ボーザックに言われて俺はボーザックとディティアだけ五感アップを2重にしている。


遺跡の中は、圧倒される景色だった。


宮殿と思われたのは只の入口……つまり門のような所で、奥は確かに広い。

なんと、中に入ると天井はより高くなって、建物がたくさん建っていたのである。


ひとつひとつもかなり広くて、街なんてもんじゃなく、国そのものがここにあったことを彷彿とさせた。


ひんやりした空気は、外よりも少し肌寒いかもしれない。


「とりあえず進むぞ」

グランが言って、歩き出す。


中にも蒼い光が所々にあり、水路がしっかりと整備されていることが窺える。

……これは……すごいな……。


「結構砂があるね」

「崩落している所もありそうです」

ボーザックとディティアがそれぞれ言いながら、辺りを見回す。

本当ならここでは魔力感知も使いたいんだけど、これだけ水路があるってことは、まず間違いなく眩しいだろう。


「……ねぇ、ボーザック」

「うん、ティアも思う?」

「……うん」


少ししたところで、突然ディティアとボーザックが武器を構えた。

後ろの俺たちも、思わず身構える。

「どうした」

グランに、振り返らずにボーザックが答える。


「この先、何かいるみたい」


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