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逆鱗のハルト  作者:
逆鱗のハルトⅡ

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227/847

まずは情報です。②

俺達はおどおどした青年に連れられて、ギルドにやって来ていた。

「ごめんねー、屈強じゃなくて!」

ボーザックが明るくからから笑うから、青年は余計申し訳なさそうだ。

たぶん、人と話すのは苦手なタイプなんだろうな。

聞いたところ、迎えに行くように頼まれただけで、事情は知らないらしく、どんどん可哀想になった。


トールシャのギルド……正確には、トレージャーハンター協会。

ここは、そのライバッハ支部である。


アイシャのギルドと協力関係で、主要都市にはギルドとしての機能が整っているらしい。

聞いたところ、なんとギルド預金も、倉庫も使えるそうな。


宝箱に短剣を重ねた看板が掛かっていて、恐らくあれがトレージャーハンター協会のマークなんだろう。


他の建物とそう変わらない、薄い橙色の四角い建物で、広かった。


「少し、待っていてください」

青年は『ようこそ白薔薇』の看板を脇に抱えて、足早に奥へと消えていく。


入口をくぐると、広いロビー。

たくさんの人達が行き交っていて、活気がある。


……依頼掲示板みたいなのは無さそうだな。


とりあえず、トレージャーハンター協会とやらの情報も、トールシャでの情報も、全然足りてない。

まずはそこからだ、とグランが言った。


「それにしても……何だか、装備がちょっと違うね」

ディティアが物珍しそうに言うと、ファルーアが頷いた。

「そうね、武器は持っているけれど、戦うよりも探索に特化してそうだわ」


行き交う人達は、各々武器や防具を装備してはいる。

けれど、ロープみたいなのや、あれ何だ?スコップ?……そういう物を持っている人も多い。


「宝物探してる人達なんだよね、トレージャーハンターって」

「あぁ。そうすると、魔物退治はあんまりやらねぇのかもなぁ」

ボーザックとグランもそう言いながら、色々な場所に眼を向ける。



「お待たせしました」

そこに、はきはきとした明るい声が聞こえて、視線を前に戻した。

「ようこそ、白薔薇の皆さん!!お待ちしていました!」


ツンツンした紅い髪、切れ長の赤い眼……華奢な青年がそこに……あれっ?

「わあ!双子だったんですね」

ディティアが、俺より先に歓声をあげる。


そう。

はきはきした青年の後ろに、さっきのおどおどした青年が、立っていたのであった。


…………

……


「僕はナチ、弟はヤチです。この支部で、ギルド業務を兼務してます」

通されたのは、俺達全員が入るとぎゅうぎゅうになる小さな部屋。

入口側にナチとヤチ、奥側に俺達白薔薇が座り、はきはきした青年の方……どうやら兄らしいナチが何やら書類を広げる。


「……えっと、ナチ。俺達白薔薇のことはどこから聞いたんだ?」

ずっと気になってたから聞いてみると、ナチは笑った。

「へへ、それは秘密です。とりあえず、アイシャから連絡があったとだけ伝えますね」

「えぇ……気になる!!じゃあ当てたらいい?……よし、当たったらちゃんと教え……いたっ、痛い、ファルーア!!」

ボーザックが食いついたところを、ファルーアが澄ました顔で踏み付けている。


ヒールは痛いんだよな……。

本当に……。


「とりあえず先に進めてくれ。聞きたいこともある」

グランも慣れたもんで、さっさと話を進めた。


「わかりました、ヤチ」

「うん。……まず、これを」

双子もさらりと話に戻る。


俺は、それを見て息を呑んだ。


差し出されたのは、少し厚みのある三角形の……栞のようなもの。

何かの革のようで、黒地に、濃い緑色の模様があった。


……見たことがある。


「こいつは……」

グランが、荷物をごそごそやって、それを引っ張り出す。

「ロディウルから預かった物だったかしら?」

実際手元にこいつが渡された時には昏睡状態だったファルーアが言う。


それを見て、双子は顔を見合わせた。

「あれ……もうお持ちでしたか?」

「いや、お持ちでしたかというか……預かったというか……これ何だ?」

聞き返すと、ナチはああ、と頷く。


「これ……トールシャでの『認証カード』なんですよ。普通は一定の実績があるハンターに渡されるんですが、皆さんは免除されてます。これを見せて、各支部で仕事を斡旋してもらう仕組みです」

「認証カード……トレージャーハンターも同じ仕組みなのか?」

「はい。アイシャと違うのは、各パーティーに1個ってところでしょうか。冒険者さんによく聞かれるんですけど、トレージャーハンターの仕事は大きく分けて2つです。1つ目は未開の地や遺跡の探索、そして、2つ目が危険の排除です」

「1つ目は何となく想像つくけど……2つ目は?」

ナチはヤチに目配せして、資料をひとつ差し出した。


書かれているのは、魔物の討伐依頼のようだ。

それ以外にも、何か条件みたいなのがいくつかあるらしい。


「簡単に言うと、未開の地までの道のりで魔物を排除したり、探索専門のハンター達の護衛をしたりすることです」

「……アイシャの冒険者は、殆どこっちの仕事をする」

ナチが答えて、ヤチが付け足してくれた。


そうすると、探索専門のトレージャーハンターってあんまり戦えないのか?

疑問に思っていると、ナチがにやりと笑った。


「百聞は一見にしかず、皆さんにはこの仕事を斡旋します」


それを聞いて、全員が「え?」という顔をした、と思う。


あれ?なんか拒否権が無さそうな雰囲気だぞ……。



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