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逆鱗のハルト  作者:
逆鱗のハルトⅠ

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216/847

有名になるので。⑥

式典が終わり、宴が開かれることになっていた。

それまでの時間に、俺達は久しぶりに各国の王達と話す機会を得る。


「元気そうじゃないか白薔薇!グラン!相変わらずいい盾じゃないか。また撫でさせてくれるかい?」

まずはノクティアのアナスタ王が物凄い勢いで走ってきた。


グランは若干仰け反りながら、渋い顔をして背負っていた盾を前に降ろす。


「ああぁ!このすべすべ感、うむ、よく磨かれているな。余は満足しているぞグラン」

「ったく…あんまり手垢付けんなよ?」

「そういえば、菓子白薔薇。大分売れているぞ。ナンデスカットでは他国への輸出にも大忙しらしいな。ところでどうだ、2つ名持ちパーティーになった気分は?」


グランをさっぱり無視して大盾を激しく撫で回しながら、アナスタ王は恍惚の表情で言った。

さすが商業大国の王、こんな時にも取り敢えず商売の報告が先なんだな。


「ま、最高だろ」

グランは苦笑交じりに、言い切る。

思わず、アナスタ王も苦笑いした。


「ハルト!」

「お…マルベル!酷いよなー、マルベルが紹介してくれると思ったのに!」

次にやってきたのはハイルデン王マルベル。

奴隷制度が無くなったハイルデンの話は、さっき少しだけ側近であるガイアスから聞いていた。

「あははっ悪かったと頭を下げただろう?そう怒るな。……白薔薇の活躍、しかと聞いている。……それから、そうだ。フォルターはどうした?」

「フォルター?……ああ、そうか。マルベルに派遣したんだったな。……あいつ、ラナンクロストで冒険者になったんだ!」

「ほう、そうか!良かった……聞けば、今回のことで解散されたダルアークは奴隷から逃げた末に辿り着いた者も多いそうだ。身寄りが居なくなってしまった者も多いだろうな。……心配していたんだ」

マルベルはそう言って、ほっと息をついた。

「希望者をハイルデンで雇うことも可能だ。どうかフォルターに会ったら、身寄りの無い者でハイルデンに住みたいと言う人がいたら、まずギルドに寄るように話してくれと伝えてほしい」

俺は頷いた。

どうやら、ギルドとも上手く関係を築けているようだ。

それで豊かに暮らせるのであれば、そうしてほしいと切に願う。

マルベルは満足そうに頷いて、俺と拳を突き合わせた。


「さて、疾風のディティア!相変わらず可愛らしいな。元気にしていたか?」

「えっ、ええっ!?」

そして矛先はディティアへ。

真っ赤になって首を振る彼女に、マルベルはにこにこと歩みよって手を取った。

「此度の功績、共に祝わせてくれ」

「と、と、とんでもなっ、とんでもないです!」

慌てふためくディティアに、マルベルは相変わらず小動物みたいだと上機嫌。


そこに、今度は炎のようなオレンジ頭がやってきた。

「ちょっと!連絡もしてこないであんた達!結構心配してたんだから!」

真っ赤なドレスに編み上げられた長い髪のラムアルは、動きにくそうだ。

そういえば、特にハトや伝達龍を飛ばしたわけじゃなかったなぁ。

「ラムアル、今日はすっごい赤いねー強そうだよ」

ボーザックが言うと、ラムアルは眼をぱちぱちする。

「え…そ、そう?……そうかしら」

「いや、そこ照れるところじゃないって」

思わず突っ込むと、ラムアルはふんと鼻を鳴らして腕を組む。

「ハルト、あたしは強いって言われるのが最高の褒め言葉なのよ!」

「えぇ、それどうなんだ……?」


そうこうしていると、侍女が宴の準備が整ったことを報せにやってきた。


俺達は今日は特別席に座らされて、貴族や冒険者、騎士、一般国民と交流するらしい。

…何話したらいいんだろう。


なんか、有名になるって大変なんだな…。


******


「ぶっはあ!あー、しんどー!」

今夜は城に泊めてもらえるらしく、ボーザックはこれでもかと言うほど柔らかなベッドに突っ伏した。

「せめてシャワーくらいしたらどうだ?」

グランも言いながら、ぐったりとソファにもたれている。


うん、かく言う俺も、床に座り込んでたりする。


……それが、来るわ来るわ大量の人。

特に、どういうわけか俺達は貴婦人に囲まれ、冒険者の女性に囲まれ、果てはパーティーに入れてくれとか言われて散々であった。


一応、騎士が護衛のような感じでついてくれるんだけど、中々諦めずにそばで話す女性も多くて。


逆に、ディティアとファルーアは男性陣に囲まれていたようだけど…大丈夫だったかなぁと思っていたところにファルーアの氷の雨が降ったので、大丈夫なんだろう。


とにかく、解放された頃には、すっかり疲れていたってわけ。

「バフ掛けて貰えば良かったな」

グランがぽつりとつぶやく。

「確かに、ここまでしんどいとなると…」


話していると、遠慮がちなノックが聞こえた。


「はーい?」

ボーザックが答えて、身体を起こす。


「ちょっと、開けてくれるかしら?」


「あれ、ファルーア?」

俺はのろのろ立ち上がって、ドアを開けた。

そこには、ファルーアとディティアが、お酒とつまみを持って立っている。

足元のフェンは、グラスを載せたトレーを器用に背中に乗せていた。


「まだ、私達で祝ってなかったから」

ファルーアは妖艶な笑みをいつものようにこぼして、勝手に部屋に入っていく。

「お邪魔します~」

ディティアも、上機嫌。

ちょっと酔ってるようだ。

宴の時に少しは飲んだはずだからなあ。


俺達は部屋にあるテーブルではなく、バルコニーに出た。

満天の星空が、見下ろしている。


何処からか花の香りを運ぶ風が心地よい。


それぞれのグラスに少し発泡したさっぱりした風味のお酒を注ぎ、グランを見る。


「……悪くねぇ夜だ、俺達は、まだまだ有名になる」

皆を見回して、グランはにやりと笑い杯を掲げた。


「俺達、白薔薇のこれからに、乾杯」

『乾杯!!』

「がう!」


うん、本当に。

最高の夜だった。



本日分の投稿です。

白薔薇もここまできました。


皆様のおかげです。


ありがとうございます!


なんと投稿ボタンの押し忘れという致命的なミスしました。

日付変わっちゃってがっかりです(>_<)

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