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逆鱗のハルト  作者:
逆鱗のハルトⅠ

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186/847

炎の華なので。③

「…五感アップ、速度アップ!」

五感アップをボーザックに。

速度アップを全員に。


俺達はフォルター達の陣へ急いだ。


程なくして、ボーザックが大剣を構え、フェンが鳴いた。


「ウォウッ」

「魔物の群れだ!襲われてる!……ハルト!」

「おう!速度アップ!」


俺はすぐにバフを広げて、草がまばらに生えた土を蹴り、さらにスピードを上げて走った。



黒い波が冒険者達に襲いかかっているのがはっきりわかる。


そいつ等は、トカゲのような形で二足歩行の魔物だった。

…かなりの数だ。


「蹴散らすぞ!」

「はいっ!」

グランに応えたディティアは、フェンと一緒にスピードを上げた。

ボーザックがそれに続く。



魔物達は俺達の存在に気付いて、数頭がこっちに向き直る。


キンッ……バシィッ!


先に戦闘に入っていたメイジ達の鮮やかな連携。

氷の塊が魔物達に襲いかかった。


そこに雨のように矢が降り注ぎ、魔物達に混乱が生じる。


最前線で指揮を執っていたフォルターが、こっちに気が付いて手を上げた。

「お兄さん!お願い!」

「任せとけ!」

俺達は魔物の群れに飛び込んで、片っ端から斬り伏せていく。


「うーっりゃーあ!!」

ボーザックがぐるりと大剣を振り回す。

その合間を縫って、ディティアとフェンが攻撃を繰り出した。


グランは手近な敵を殴り飛ばし、時には短剣で突いて、数を減らしていく。

「ハルト!」

「大丈夫っ……はあっ!」

気合一閃。

俺は魔物を蹴り飛ばした。


その瞬間に、より強く蹴るべく、脚力アップをかける。


派手に吹き飛んだ魔物に、フォルター達から歓声が上がった。


「お兄さんやるぅ!」


「へへっ」

フォルターに褒められて思わず笑っていると、すぐ真横で黒い影が斬り伏せられた。

「うわっ!?」

思わず飛び退くと…ひらりと小柄な影。

「もうハルト君!調子乗らないの!」

……魔物を倒し、さらに警戒しながらディティアが隣にやって来る。

危なかった…。

「はは、ごめん……」

「あははっ、お兄さんかっこ悪~!」

「フォルターも!早く倒しちゃうよ!」

ディティアに怒られて、フォルターは何故かぱあっと目を輝かせ、ますます笑顔になった。

「疾風のディティアのご命令とあらば!……じゃあ皆、仕上げといこう!」

それを聞いたボーザックとフェン、グランが、さっさとこっちに集まってくる。

「やれるなら最初からやれよな…」

グランの声は……聞こえてなさそうだな。



フォルターが左手を上げると、弓部隊がキリキリッと弓を引き絞った。


左手はそのままに、今度は右手を開いて前に出す。

同時に、メイジ達が杖を構えた。


「1隊!!」


『やぁー!!』


フォルターの掛け声に合わせ、氷が、魔物達を囲むように弾ける。


「2隊!!」


『はぁっ!!』


氷を逃れて真ん中に寄り、固まった魔物達を、さらに土壁が隔てる。


「3隊!!」


『おおおっ!』


ごおっ!!


土壁の中で炎が踊った。


「こりゃ、大分統率取れてんな」

グランが囲いから漏れた魔物をぶん殴って、感心した声を上げる。


「弓、てぇー!!」


ヒュバババッ!!


続いて振り下ろされる左手。

同時に、弓部隊が囲いの内側へ矢の雨を降らせた。


ギャオオオウ!!と、激しい断末魔が幾重にもなって響く。


しかし、フォルターの右手はまだ翳されている。

俺は、息を呑んだ。


「突け!!」


ゴッ――!!!


ぎゅっ、と。

握られた右手。


その瞬間……!


囲いの中。

前後左右の土壁が、内側に向けた何本もの針となって突き出される。



……文字通り、魔物達は沈黙した。



「よーっし、残りもやるよ!!」

意気揚々と声を上げるフォルター。

ダルアークの狩り部隊の士気は高く、まだまだ残っていた魔物達が、逃げ出そうとする。



…………しかし。

あっという間に、魔物達は殲滅された。



*****



「あれだけいると、1度じゃ囲いきれなくてさ。お兄さん達来てくれて助かったよ!」

笑うフォルター。


確かに、数は多かった。


どうやら魔物達は災厄の黒龍アドラノードのブレスと同時に現れたらしい。


山脈から逃げる途中だったのか、もしくは餌となる魔物達が既に山脈から逃げた後で、獲物を探していたのかもしれない。

……フォルターはそう言って、屠った魔物達を一瞥した。




「さてと。それじゃあ炎の球投げてー!他の陣に安全だって合図送らないとね。日も暮れてきたし……ねぇお兄さん達、どうすんのかな、このまま移動は無し?」


また黒龍アドラノードが動いてブレスが吐かれたら対処出来ないかもしれない。

確かに、下がるって手もあるんだよな…。


フォルターの意見を聞いて、考える。


けれど、俺は首を振った。


「まだ移動の話は出てないよ。……ブレスは、口の奥が光った後に、放たれるまで少し時間がある。それから、そんなに広範囲じゃなかった。首を横に振られない限り、逃げられる可能性は高いと思う。注意して」


「そっか、わかった。じゃあ、何かあったら連絡してよ」

高く上がった炎の球を見上げながら、フォルターは少しだけ笑った。


「ブレスが吐かれても無事だし、やっぱお兄さん達ついてるね」


毎日更新予定!

と言いながら、やはり日付が代わったりしてしまうという……申し訳ないです。


皆様いつもありがとうございます。

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