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逆鱗のハルト  作者:
逆鱗のハルトⅠ

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地面が揺れるのですか。④

「しっかし、考えてみりゃ確かに多かったよな、地震」

出発して3日目、グランがふと口にした。


平坦な道のりだから精神安定バフもいらない。

空は晴れ渡り、ゆったりと大きな雲が流れていく。

畑の作物は、遅れを取り戻すために収穫が進められていて、ところどころに農夫が見える。


俺達はラナンクロストからノクティア、ハイルデン、そしてヴァイス帝国での旅をグロリアスに話していた。


「そういえばそうだよねー、最初は…」

ボーザックが考えようとすると、ファルーアがすぱっと言い切った。

「飛龍タイラント発見の時ね。ハルトが落ちたやつだわ」

「うぐっ、ファルーア、もう少し言い方ないのか?」

それを荷台の外で聞いていたシュヴァリエが爽やかな空気を撒き散らしながら笑った。

「どうやって見付けたのかと思っていたが、なるほど、落ちた先が偶然タイラントの巣だったのかい?逆鱗の」

「う、うるさいな……否定はしないけどさあ」

それを聞いて、皆が笑う。


「次は何処だったかな」

ひとしきり笑い終えて、ボーザックが涙目になりながら聞く。

「たぶん、ラナンクロスト王都で古代遺跡が見つかったやつじゃないかな?」

「ああ、ありゃ大事だったなあ」

今度はアイザックが拾って、話す。

「ザラスと魔力結晶の情報が見付かったやつだな」

グランも頷く。


思えば、その遺跡調査から各国を回ることになったんだよな。

感慨深いもんだなあ。


「あとは……ハイルデン王都の手前でもあったね」

ディティアが言う。

「ああ、落石で道が塞がれたんだったな。確かにあった」

俺が頷くと、グランが続けた。

「帝都でもあったし、そう思うと多いな」

「ほっほ、あながち、ダルアークのドリアドとやらが揺らしているのは本当かもしれんな」

爆炎のガルフが白い髭を揺らしながら笑うので、俺も考えてしまった。


頻度としては、それなりに間があいている。

何かの実験だとして、資金や実験のための材料……たぶん魔力結晶だろうな……を集めて、その度に行ってるとすれば、確かに充分な日数なのかも。


「地面が揺れるって、どんな実験なんだろうね」

ボーザックは窓から外を見ながら不思議そうに呟いた。


……ちなみに、フェンは馬を先導してくれている。


「そうね……魔力結晶を使ってとしたら、魔力結晶で動くものなんでしょうけど…」

ファルーアが金の髪を弄ぶ。


その時。


「おっと……話の途中だが、お客のようだよ」

シュヴァリエが話をぶった切った。


俺はディティアと顔を見合わせる。


この道は、帝国兵と戦った場所だから。

もう違うだろうとは思うのに、何となく身体が強張った。


ガラガラ……


馬車もゆっくりと速度を落とし、止まる。


俺達は各々が武器を構え、街道に出た。


……すると。


前方からやって来るのは馬車だった。

しかし、その後ろをトカゲのような魔物が群れで追い掛けているのである。


「なんだありゃ……」

グランが呟く。

魔物が馬車を追うにしても、街道沿いでは珍しい光景だ。

普通なら、魔物のテリトリーになりやすい山道とかなんだけど…。


どんどん近付いてくる馬車に、やがて俺達は眉をひそめることになる。


「ああっ、そこの、そこの人達!どいて!どいてください!……ああっ、いえ、違います!助けてくださーーーい!」


「うーん、俺、見たことある気がするんだけどー」

ボーザックが手でひさしを作りながら、呑気に言った。


「なんだ、知り合いか?」

アイザックがとげとげしい杖を地面に突き立てて、落ち着き払った声で答える。

「あれは……そういえば王都で見かけたね。そうか、逆鱗の。君の友人なら君が助けてあげるといい」

シュヴァリエが優雅になすりつけてくるので、俺は肩を竦めた。

「いや、国の客人を助けるのは騎士団の仕事だろ?」


「ちょっ、ちょっと!聞こえてますか-!!」


叫び声はどんどん近付いてくる。


「おいハルト、あいつ止まれると思うか?」

グランが半笑いで言うので、首を振る。

「微妙だよなー。フェン、ちょっと避けといてくれるか?」

「がう」

フェンはすたすたと馬を誘導し、道の半分がすっかり開いた。

凄まじい勢いで迫ってくる馬車と魔物に、俺達は生温い笑みを送る。


「えっ、なんで避け……って、うわああ!?…ってーーー白薔薇の皆さん!?何で!?覚えてますよね!?」


そいつも、やっと認識してくれたようだ。

俺は、笑って手を振った。


「よお!元気そうだなナンデスト!相変わらず絶望的な疫病神やってるな!」

「ふっ、ふざけないでください!あなたっ、この状況見えてますよね――!?」


ノクティア王国、王家御用達の菓子屋ナンデスカット。

俺達をモデルにした菓子白薔薇の創作者は、凄まじい勢いで俺達の馬車とすれ違っていった。



本日分の投稿です。

21時から24時を目安に毎日更新しています!


皆様のおかげでユニークが10,000人を越え、

ポイントも250をこえました。


ブックマーク、感想、評価、本当にありがとうございます!

これから少し戦闘に入りたいと思います。

よろしくお願いします。

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