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逆鱗のハルト  作者:
逆鱗のハルトⅠ

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152/847

地面が揺れるのですか。③

「……さてと。それじゃあ僕達は1度ラナンクロストに戻るとするよ」


唐突にシュヴァリエが言った。

俺達はこれから2カ月どうしようか?と話を始めたところで、1発目にこれだ。


「ええっ、戻るの?どうして!?」

ラムアルは紅い眼を見開く。

シュヴァリエは爽やかな空気を滲ませて、口元で手を組んで笑った。

「流石に、ラナンクロストに1度報告に上がる必要があるよ、ラムアル皇帝」

「お前、ナーガどうすんの?」

思わず、根城に残っている女性の名を出す。

「大丈夫、彼女は忠実だ」

「俺の聞きたい答えの斜め上なんだけど…」

ため息をこぼすと、シュヴァリエはふふっと笑った。

「迅雷のナーガを心配してくれるとは、成長したね、嬉しいよ逆鱗の」

「……それ嫌味だよな?」


そんな話をしていると、腕を組んだグランがゆっくり口を開いた。


「そうだな、書簡は届けた。俺達も1度報告に戻るべきじゃねぇか?」

「そうね。1度身軽になってからにしたいわね、この依頼」

ファルーアも同意する。


「え、ええ…でも、2カ月したらシャルが戻るわ?」

「それなんだが、こいつを使えないかと思うんだが?」

アイザックが、不安そうにするラムアルに何かを差し出した。

麻袋のようなもので…中には。

「プキュイ?」

「えええ!?何この子かわいい!」

手のひらほどのサイズの、龍のような小さな生き物が入っていた。


形は飛龍タイラントに似た翼のあるタイプ。

色は茶褐色で、ディティアの髪色を少し薄くしたような感じだ。

後ろ脚に枷がついていて、紐で繋がれていた。


「ほう、実用化したのか?」

オドールが感心したように声をあげる。


首を傾げると、ディティアが答えてくれた。


「伝達龍って言ってね、ハトよりもずーっと速いの。これを連絡用に実用化しようって、ギルドで飼育していたんだけど、まだ出来てなかったんだ」

「へえ、そうなんだ!よく知ってるなディティア」

「うん……教科書に載っていたからね、ハルト君…」

「お、おう…そうなんだ」


あはは、と笑うと、グランとボーザックも笑った。

2人も忘れてたんじゃないかな。

ファルーアだけは、馬鹿にしたように鼻を鳴らしていたけど。


「一応まだ数頭しかいないんだ。今回はラナンクロスト王都のギルド長が特別に貸してくれたんだぞ」

「ムルジャか」

アイザックに、オドールが頷く。

俺の脳裏には、紳士のような出で立ちでくるくるとペンを回していたギルド長の姿が浮かぶ。

アグレッシブなギルド長だった。


「それで?どれ位で伝達出来るの?」

ラムアルは、手の上に伝達龍を乗せて、恐る恐る触りながら聞く。

とうの伝達龍は馴れたもんで、大人しくしていた。


「帝都からラナンクロスト王都まで、おそらく3日程度だろう」

「みっ、3日!?速ぇな!?」

シュヴァリエの言葉に、グランが眼を丸くする。

そりゃそうだ、馬を飛ばしても俺達だと一月半…2カ月くらいはかかるんだぞ。


「ハトでも1週間から2週間はかかるからな。こいつらはすげーぞ」

アイザックが、何故か自慢気に言う。

「わかったらすぐに連絡をお願いするよラムアル皇帝。幸い、アジトは国境にあるそうだし、丁度良いだろう」

シュヴァリエの言葉に、ラムアルはため息をついた。


「こんなの用意されてたら文句も言えないわね。……ところで、このこ名前は?餌は?」


******


そんなわけで、俺達はグロリアスと一緒にラナンクロスト王都へ戻ることになった。

今日は休んで、明日は旅のための買い出し。

出発は明後日だ。


ボーザックとアイザックはやたら楽しそうだし、結局2つ名登録は見送ったファルーアも、ガルフと熱心に話している。


何だかんだ、グロリアスとの付き合いも長いよな。

ぼんやり思ってると、隣に紅髪紅眼の厳つい男が並んだ。


「しばらくは賑やかになりそうだな」

グランが苦笑するので、頷く。


その隣にいたディティアも、頷きながら微笑んだ。

「でも、グランさんやボーザック、ファルーアと一緒は嬉しいです」

「…お、おお……いや、なんだ。お前、ハルトが移ったか?」

面と向かって言われたのが照れくさいのか、グランは髭を擦りながら視線を逸らした。

「ははっ、照れてるのかグラン?」

俺が笑うと、うるせぇと怒られる。

しかし、ディティアは全然別のことを思ったらしい。

「ハルト君が移った……そ、そんなことないです!」

「えっ、そんな否定するところ!?」

「ハルト君のは本当にデリカシー無いの!グランさん、酷いです!」

「俺に対して酷いですディティア…」


******


そして、出発の日。


「それじゃあまたな、ギルド長」

グランが挨拶すると、オドールはゆっくり頷いた。


「帝都復興への支援、感謝する。白薔薇」


ラムアルも来てくれて、俺達は馬車、グロリアスは馬で移動を開始する。

ちなみに、身体に堪えるとのことで爆炎のガルフも馬車にしてもらって、ボーザックを馬に変えた。


座りながら、ご老体を気遣ったら、ほっほっと笑われる。

「いや、馬でも問題はないんじゃが。座っとるだけの方が楽だしのう」


あ、そうなんだ。


こうして、我等が故郷、ラナンクロストへの旅が始まった。


本日分の投稿です!


章の変わり目というか、戦闘もなく平和が続いているので、そろそろ戦いたいですね。


そしてそして!

ユニークがなんと10,000人をこえました!


これも皆様のおかげ。

本当にありがたいです!


21時から24時を目安に毎日更新予定です。

よろしくお願いします!

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