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逆鱗のハルト  作者:
逆鱗のハルトⅠ

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143/847

何故活動してるのですか。②

投稿再開です!

連休中はまちまちになりそうですが、

投稿はいたしますのでまたお読みくださるとうれしいです!

翌日。

太陽が昇り、帝都にも活気が出てきた頃。


俺達白薔薇は宿で朝食を済ませて、ギルドへと向かった。


「ふあぁ」

かみ殺すこともせず、盛大に欠伸をすると、少し前にいたディティアが首を竦めた。

「うう、やっぱり眠いよね?」

振り返るその表情は、申し訳なさそうだ。

ハの字になった眉毛の下、エメラルドグリーンの眼が潤みそうなほどだった。


俺は昨夜のことを思い返す。


…………

……


「まだ、ここが濁ってる」

「はい」


「こっちはちゃんと磨けてるね!こっちはどう見える?」

「はい、もう一回やってみます」


ディティアの徹底っぷりときたら、夜中まで続いた。


「先に寝るからなー」

グラン達はさっさと寝ちゃうし、恨めしいような顔して見たけどボーザックに笑顔で頑張れハルトー!と言われて諦めたのだ。


……

…………


こうして、ようやくディティアの合格を頂戴して眠る頃には、夜はとっぷりと更け、フェンでさえすっかり寝入っていたのである。


「でもほら!双剣のメンテナンスは完璧だから!」

意気込むディティアに、頷きながらまた欠伸を返すと、彼女は肩を落とすのだった。


******


「それじゃあ出発するわ!」

白い革鎧に、大きな弓矢を背負い、腰の辺りに細身の剣を下げたラムアルが声をあげる。


集まった面々は思わず突っ込んだ。


「おいおい、皇帝自ら行くのはちょっとどうなんだ」

「ラムアルに何かあったらどうするの!?私に任せてラムアルは待っててね」

「言っても聞かないとは思うが、大人しくしてはもらえないのかなラムアル皇帝?」


ラムアルは紅い眼をぎゅっと細めて、不満いっぱいの顔になる。

眉間にひどいシワが寄っているくらいだ。


「嫌よ、何であたしが置いていかれるわけ?やられないわ、皇帝とだってやりあったのよ?」


いや、ごもっともだとは思う。

思うけど……。


「だってさあ、お前、もう皇帝だよな?皇帝に何かあったら、今度こそヴァイス帝国が続かないけどどうするんだよ」


俺も呆れて言う。

ラムアルはぐっ、と潰れたような声を上げて、いやいや、と首を振った。


「そ、それでも!あたしは、自分で何かしたいの!武勲皇帝だってそうしてたわ?」


だよなあ。

聞くわけ無いよなあ。


すると、黙っていたひんやり系のシャルアルが、ラムアルと同じ炎色の髪の毛をふわふわさせながら言った。


「ラムアルが死んだら帝国はラナンクロストに降る」


「あらあら、物騒なこと言うわねえ」


ファルーアが思わずといった感じで笑うと、アイザックも苦笑する。

「大した補佐官だな」

「まあね!あたしの自慢の妹だからね!」


うん、褒めてないけどね。


結局、ラムアルも行くことで決まった。

メンバーはラムアル、シャルアル、グロリアスと俺達白薔薇。


ちなみに、迅雷のナーガはシュヴァリエの横でぎらぎらと眼を光らせるだけだ。

喋らないからなあ…余計に恐いんだよなあ。

まあ、考えてることはわかるんだけど。


ぎらぎらした視線が向かうのはラムアルとディティアだからな。

ファルーアだけは興味無さそうだからか対象外らしい。


そうこうしてる間に、出発の見送りのためにギルド前までギルド長のオドールと、ジャスティが出てきた。


……どうもジャスティは、オドールが近くで見ているらしい。


「おお、そうじゃ。オドール」

「何だ、爆炎のガルフ」

「この戦いで娘ッ子の成長を見るのでな。2つ名の登録準備を頼むぞ」

「……っえ!?そこまで話進んでたのか!?」

思わず突っ込んだら、白髭をゆったり撫でてガルフが笑った。

「ほっほ、あの武勲皇帝も倒したことだしの。至極当然、必然じゃよ逆鱗の」

「あら、随分高評価ね。まあ、期待は裏切らないわ」

さらっと言うファルーアは、ローブの裾を揺らしてふふっと妖艶な笑みをこぼす。


「ほー、これで白薔薇も2つ名パーティーになるな」

アイザックがにやりとする。

グランはちらりと俺を見て、笑った。

「そうだな、ひとりを除いてまともな名付け親ってのがついた」

「グラン…」

俺が肩を落とすと、シュヴァリエがやたらキラキラしながら言い放った。

「僕ほどの者から名前を付けられたんだ、誇ると良いよ逆鱗の」

「ふん」


あははと笑い声があがったところで、俺達は歩き出した。


******


海岸線は切り立った崖になっていた。

その下に砂浜が広がっているのが見える。


崖沿いに進むとやがて低くなり砂浜まで降りることが出来て、砂浜沿いに折り返すと、この崖の下にある洞窟が根城になっているそうだ。


「ここからは、身を隠す。付いてきて」

シャルアルが先導し、俺達は防砂林を隠れながら進む。


「洞窟まで水が入ることは無いのか?」

聞いたら、シャルアルが答えた。

「水が増えたら砂浜が隠れる事がある。洞窟は広いから、中にも船が用意されてるし、食糧も用意してあった」


そっか。

そこまで調べてあるなら安心か。


「あいつ等は実験ばっかりで外にあまり出てこない。見張りも少ないから、楽」


俺は念のために音も立てずに進んでいく彼女を含め、全員に五感アップをかけておく。

波の音がはっきりと聞こえてきた。


「なんか、海ってさー。飛龍タイラントを思い出すね」

ボーザックはそう言うと、小さくよし、と言って集中したようだ。


俺も、

「そうだな。今回も大仕事だよなあ」

と答えて、気合いを入れ直した。


ダルアーク討伐…。

長くなるであろう戦いが始まった。



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