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逆鱗のハルト  作者:
逆鱗のハルトⅠ

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139/847

新皇帝の誕生なので。②

「戦った、フォルターと」

シャルアルが繰り返す。

珍しく眉間にしわを寄せている(ように見える)。


淡々とした話し方や、表情があまり動かないことから、ラムアルが言っていたひんやり対応とやらがこれか?と思った。


「ハルト君、戦ったのは聞いてたけど……」

ディティアがじろりと見てくる。

俺は慌てて手を振った。


「いや、結果的にはなんとかなったしさ」

「ははは、逆鱗の。僕達が行かなかったら死んでいたよ?」

「わ、わかってるよ!いちいちうるさいぞ、シュヴァリエ」

「閃光の、と付けてくれてもいいよ、逆鱗の」

「もー!お前疲れる-!」


グラン達も笑っていたけど、さすがに苦笑だった。


「信じてはいたが…お前本当についてるなハルト」

「グラン、それ全く褒めてないからな?」

ふんと鼻を鳴らすと、いかつい男はもっと笑った。


「今回見付けたのは、実験担当のドーアの根城。帝都がこんな風になったけど、数日前はまだ活動してた」

「さすがシャルね!ずっと監視してるなんて!」

ラムアルがシャルアルにくっついて頬をすり寄せる。

「らむある……今は、大人しくしていて」

「むぎゅ」

右手で頬を剥がされたラムアルが、変な声をあげた。

その後、ラムアルは乱れた髪を手櫛で直しながら、ふんと鼻を鳴らした。

「とりあえず、あたしは帝国を立て直すのが先ね。けど、ダルアークは潰すわ」

「威勢が良いのは構わないが…どうやって潰すつもりだい?」

シュヴァリエが面白そうに問いかける。

ラムアルはにやりと笑った。


「国宝を売ってお金にする。まだ何個かあるわ。……それで帝都の復旧と、大規模討伐依頼の報酬を支払う。そのあまりで、もう一度大規模討伐依頼を出すわ!」


「国宝……って、魔力結晶か?」

グランが眉をひそめる。

ラムアルは頷いてから、続けた。


「あれは毒。でも、ダルアークに渡すわけにはいかないわ。そうすると、帝国で所持するよりもお金にすべき。……今なら買い手がつくわ。そうでしょう?」

彼女らの言葉に、俺は唸った。

確かに……ギルドで魔力結晶を集めているはずだ。

皇帝の背中にあったサイズの魔力結晶がごろごろあるのであれば…それは間違いなく回収しておきたいだろう…と思う。


「なるほどね……けれど、君の国にはいざという時の宝が無くなってしまうことになる」

「そんなのいいのよ。あたしが全て立て直す」

「そんな軽く決めて大丈夫なの?」

ボーザックが眼をぱちぱちした。

「正直、復興にいくら掛かるかわからない。けど決断は早いほうがいいわ。まずは帝都民達が戻ってきたら、ギルドの依頼として東の魔物を駆逐してもらう。内部は職人達に修復箇所を競りで落札させて、国からの事業として依頼する。……その前に、あたしの即位式がいるわね!」


へぇー。

ラムアルが考えていることに、ちょっと驚く。

ちゃんと考えてたんだなあ。


しかし、それを見ていたシュヴァリエはイラッとするほど爽やかな笑顔で言い放った。


「値段は誰につけてもらうんだい?まさか相場を知らないなんてことはないだろうね、ラムアル皇女」


ラムアルは石像よろしく、動きを止めた。


「国宝ほどの結晶だ。おいそれとは買い取れないよ」

「そ、それはっ……」

「それを買ってくれる人が、各地にどれほどいるかな」

「むむ……」


そうか、お金のある奴じゃないと買えないだろうな。

ギルドって財源はどれ位あるんだ?


俺が首を傾げていると、ファルーアが笑った。


「そこまで言っておいて、その先のヒントは出さないのね貴方」


シュヴァリエは、ふふっと笑う。


「グラン、どうするのかしら?」

「仕方ねぇなあ…ハルト」

「えっ?俺?」

「そこの新皇帝に、俺達の交友関係、自慢してやったらどうだ?」

「は?…自慢って……あー、そうか」


いるじゃないか。

俺達には、国の宝を買えそうな知り合い達が。


総じて、魔力結晶についての秘密を少しだけ共有しているが故に、購入を余儀なくされる、頼もしい味方達が。


「ノクティア王アナスタ、ハイルデン王マルベル。ラナンクロストはそこの奴に任せたら?」

顎でシュヴァリエを指しながら言うと、ラムアルは眼を見開いた。


「あ、ああー!!なるほどね!じゃあ帝国にもひとつだけ残すわ。……ギルドにも買わせようかしら」


そのラムアルの言葉に、ディティアが首を振る。


「それは、各国でダルアークに狙われるリスクを共有する為に使うべきだよラムアル。ギルドには、私達が大量に預けた魔力結晶があるから。……そうですよね、閃光のシュヴァリエ?」

「うんうん、やはり疾風の。君はグロリアスに来るべきだね」

「え?意味がわかりませんけど…」

シュヴァリエの言葉にディティアが返す。


そのディティアを、影のようにシュヴァリエの後ろに控えていたナーガの眼が光り、睨み付けていた。


「………」

ディティアが、そーっとグランの後ろにフェードアウトする。


「んじゃまあ、これで当面の活動は決まりだな!白薔薇!ハイルデンとノクティアに手紙書いとけ、今日飛ばす」

祝福のアイザックがまとめて、お開きとなった。


意外にもまだ昼。

俺達は、皇帝達を弔いに行くというラムアルとシャルアルを手伝うため、城へと向かった。


本日分の投稿です。

21時から24時を目安に毎日更新しています。


が、連休中はまちまちになるかもしれません。


出来るだけ時間に沿うようにします!


よろしくお願いします。

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