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逆鱗のハルト  作者:
逆鱗のハルトⅠ

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138/847

新皇帝の誕生なので。①

「配給の準備が整いました、兄上」

調度イルヴァリエがやって来て、グランの話は終わった。


「イルヴァリエ、申し訳ないが僕達の分を運んでくれるかい?」

「申し訳ないなどと!兄上のご用命とあらば!」

「うわあ……ブラコンなんてちょっと引くわ」

ラムアルが言うので、

「いや、お前シスコンだろ」

思わず突っ込んだ。


とにかく、食事を取りに飛び出していったイルヴァリエを見送って、俺はグラン達に聞いた。

「それで、俺達がヴァイセンと戦ってる時に合流に遅れた理由は?」

思いっきり、笑顔で。


すると、3人ともバツが悪そうな顔をする。


「いや、このひと月、夜に活動してたんだよね」

ボーザックがあはは、と苦笑する。


「そうだな。ダルアークが昼間様子を見に来るかもしれねぇってのもあって。なあ、シャルアル」

グランも鬚をいつも以上に撫でる。


「そう。だから、3人とも私が異変を察知した時に、すぐ起きられなかった」

シャルアルが続けて…って。

「は?寝坊ってこと??」

「正直、こんな早く戻ってくると思わないじゃない?だから、ちょっと気が緩んでたのよ。だから、最初は何があったかわからないから様子見しましょうってなったのもあるわ」

ファルーアが眼を逸らしながら言う。

「そう。そしたら、ギルドにね、その、フェンがね……」

「ワフッ」

ボーザックが足元のフェンに、気まずそうに話しかける。

フェンは、呆れたような声で鳴いた。


なるほど。

それでフェンがいなかったわけか。


「俺の心配返せよな!!」


言いながら、俺は笑ってしまった。


呑気な奴等だ。


******


無事食事が運ばれてきて。


俺達がどうしていたかも話し終え、今夜はゆっくりと休むことになった。

俺が襲われたことは簡単に説明したけど、細かいところは伏せておく。

まずは、情報共有が先。

そう判断したんだ。


その頃には俺も動けるようになって、自分の足で歩けた。


待機させていた馬達も、ギルドの馬小屋にちゃんと連れてきてある。


ダルアークについてシャルアルが調べたことも、明日改めて共有することになっていて、俺はクロに挨拶を済ませて、あてがわれた部屋に戻った。


ちなみに、シュヴァリエの白馬が何故か隣に繋がれていたから、クロには「ま、仲良くな」と声をかけておく。


俺とシュヴァリエは仲良くなれないけどな。



未だ帝都は暗闇の中だけど、ギルドだけは煌々とした灯りが点いていて、感慨深い。


しばらくは新しい皇帝、ラムアルが皇帝を継承した発表をするために、帝都の復旧に協力することになる。


早馬を飛ばしてくれているカルヴィエ率いる騎馬隊は、帝都民達をここまで誘導してきてくれることになってたし、帝都の東にある宿場町カタルーペで足留めされている人達への使いも、既に出発しているそうだ。


久しぶりに、穏やかな気持ちで眠れるな。


部屋の中では、ディティアとファルーアがゆっくりとお茶をしていて、グランとボーザック、フェンは横になっていた。


……全員いるな。


思わず、頬が緩む。


それを目聡く見ていたグランが笑った。

「おうハルト、たまには隣で寝てやろうか?」

「は、はあ!?やめろよ気持ち悪い……!」

「あ、俺でもいいよーハルト」

「ボーザック……お前なぁ……」


俺はふんと視線を逸らし……ファルーアとディティアと眼が合った。


「……消し炭になりたいの?」

「ええ……ハルト君……」

冷ややかな視線。


「ちょっ、違う!違うって!不可抗力!!」


ぶはっ、とグランが笑い出し、ファルーアも笑った。


嬉しい気持ちが、正直抑えられなくて。

俺も笑った。


******


翌日。

集まったのは昨日のメンバーだ。


今度はシャルアルがダルアークについてを話してくれた。


曰く。


「魔力結晶を集めているらしいことは知ってた。初めは恐らく珍しい魔物を狩って売ることを生業にしていた集団。そのお金がだいぶ余るようになった頃、魔力結晶を集め始めたと私は思っている。……それが最近は、魔力結晶を集めるために魔物を狩るようになってた。いろんなところで情報を集めたけど、ここ1年くらいは狩った魔物をどんどん輸送していたみたい」


そういえば、ハイルデンからヴァイス帝国への入国の時、乗った船には商品と覚しき魔物が積み込まれていた。


船長も、ここ1年くらい~とか言ってた気がする。


「人体実験まがいのことも、結構やっていたと思う。魔力結晶に血を吸わせてから、粉にして飲ませていた」


「逆鱗のから聞いていたが、そんな実験を他にもしていたのかい?」

シュヴァリエが落ち着き払った声で聞き返す。


シャルアルは短いオレンジの髪の先を指先で摘まんだり離したりしながら、頷いた。


「ボスっぽいのが何人かいる。そいつらが、狩り、調達、実験を分担してたんだと思う。根城もひとつだけ見付けた。……けど、そこまで。他に情報は無い」


「……」

そこまで聞いて、俺は白を混ぜたような薄い金髪で、明るい鳶色の眼をした若い男を思い返す。


「ダルアークの、フォルター。心当たりは?」


シャルアルが、つ、と眼を細める。

「ボスのひとり。狩り担当」


俺は、今更になって、背中に冷や汗をかいた。


本日分の投稿です。

毎日更新しています!


通常21時から24時を目安にしてますが、

連休中は少し不定期かもしれません。


毎日更新するつもりでいます。


ブックマークしてくれる人が60人を超えました!

皆様本当にありがとうございます。


ダルアーク編へと入りたいと思います。

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