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逆鱗のハルト  作者:
逆鱗のハルトⅠ

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123/847

再会を願うもの。①

「わふっ」

街のギルドの入口から、銀色の風が飛び出してきた。


「フェン!……って、うおあ!?」

「がふ、がふっ」


珍しく、彼女は体当たりをかましてきて、俺が転げるとその上でごろごろしてきた。

「おい、おい……重いってフェン……こら!」

いや、待てよ。

これってもしかしてもっふもふにするチャンス?


俺は両腕をそっと持ち上げ、

「すきありっ!」

「がふっ……ふすー」

華麗に跳ねた彼女に避けられた。


ついでに言うと、跳ねた反動で押された肺に、咽せる。


「げっ、ごほ、ごほっ……くそ、ははっ、フェン!無事で良かった!」

怒ってみたけど、途中でおかしくなって笑う。


フェンの尻尾が揺れていた。


「やあ逆鱗の。随分ゆっくり寝ていたね。呑気なものだ」

そこに、ギルドの中から颯爽と現れる、やたらキラキラした男。

俺は身体を起こして、砂を払った。

「ふん、不本意だしお前の顔なんか見たくなかったけど、どうせ来るならもう少し早く来いよシュヴァリエ」

銀色の髪に海ような蒼い眼。

艶消しの金色の鎧に、真っ青なマント。


閃光のシュヴァリエが、爽やかな空気を纏って立っている。


俺的には大っ嫌いな奴だけど、今回は本当に助けられた。


「ははっ、閃光の、と付けてくれてもいいよ逆鱗の。これでも相当早く来たと思うがね?……ほら、挨拶を」

そして、その後ろ。

シュヴァリエに言われて出てきた同じ騎士の制服姿の男に、俺は苦笑した。


「良かった…お前も無事だったか、イルヴァリエ」


******


ディティアとラムアル、帝都民達を迎えに行くべく、馬と馬車を用意してもらった。


聞けば、俺は1日どころか3日も寝ていたらしい。

そういえば腹減ったなぁ、と思って、高栄養バーを囓っておく。


街道沿いのダルアークは散り散りに逃げ、何人かは拘束に成功したそうだ。


……フォルターは、やっぱりいなかったけど。


俺が3日寝ていたとしたら、ディティア達は1日飛ばせば合流出来るくらいの位置にいるかもしれないな。

早く安心させてあげないと。


俺はフェンに預けた名誉勲章をギルドから受け取って、出発した。

クロも無事に街に着いていて、俺に鼻をぐいぐいしてきたので、お礼を言ってまた乗せてもらった。


「賢い銀狼がギルドにやってきてね。丁度昼にフルリネの街に到着した僕達と出会った。イルヴァリエがすぐに気付いたんで出発したら、吹っ飛んだ君が見えてね、逆鱗の」

「うるせぇよ……」

馬を並べ、嬉しそうに語るシュヴァリエを半分以上無視しつつ、進む。


後ろにはグロリアスのメンバー、祝福のアイザック、爆炎のガルフ、迅雷のナーガが控えている。


彼等は自分の馬に跨がり、二頭の誰も乗せていない馬を従えていた。


さらにその後ろにはイルヴァリエとその愛馬、そして馬車が何台か連なっている。

フェンには馬車の馬を誘導してもらうことにした。


「とりあえず本題に入るから、黙っててくれシュヴァリエ」

「閃光の、と付けてくれてもいいよ逆鱗の」

「はあ……おい、アイザックー」

「わははっ、悪いな逆鱗の!俺には無理だ!」


はあー。


俺はため息交じりに、帝都で起きたことを一通り話した。


「あれがダルアークだったのか。もう少し追い掛けるべきだったか?」

アイザックが言うと、シュヴァリエが首を振る。

「逆鱗のがあの状態だったのもあって状況が不明瞭すぎた。深追いは得策じゃ無かったさ。それよりも、疾風のと帝国皇女が襲われていないかが重要だ」


…俺もそこは同意だ。

ダルアークはまだ底が知れないし、何よりもまずはディティアとラムアル率いる帝都民の安全確保をするべきである。


シュヴァリエと同じ考えなのは、何か不本意だけど。


丘陵地帯を抜け、疎らな畑地帯に入る。

日は傾いてきたけど、まだまだ暗くなるまでは時間があるはずだ。


俺達は、漂う草の匂いが満ちた街道をひた走る。


「それで、皇帝はゾンビ化。敵さんは魔力結晶の製造方法にご興味をお持ちって状態だろ?どうするシュヴァリエ」


アイザックが振ると、シュヴァリエは馬上で優雅に微笑んだ。


「まずは帝都民達をラナンクロスト側で受け入れ、ダルアークへの注意喚起と、皇帝の大規模討伐依頼を行う」

「まあそうなるじゃろうの」

ガルフが答えて、髭を触る。

馬上でも立派な髭は崩れない。


「しかし、あの武勲皇帝がゾンビ化とはのう」

「やっぱり武勲皇帝って有名なのか?」

聞くと、ガルフが笑った。

「ほっ、そりゃあ強かったからのう」

「そっか……魔力結晶……いや、血結晶のせいで、力もだいぶかさ増しされてると思う。グランとボーザック2人がかりでも怪しかった。人選が必要な大規模討伐かもしれない」

「そうなるじゃろうの」

「…………」

否が応でも、グラン達のことを考えた。

何の音沙汰も無く、かと言ってこっちからの連絡手段も無いし。


今頃、どうしてるんだろう。

ディティア達と合流しててくれるといいんだけど。


「とりあえず、逆鱗の。状況はわかった。しかしダルアークの目的がさっぱりわからないね」

「まあな……。魔力結晶を使って何かしようとしてるんだろうけど」

シュヴァリエに答えると、彼は頷いた。


「とりあえずは、皇女の話を聞くとしよう」



本日分の投稿です。

毎日更新しています!


21時から24時を目安にしてます。

が、今日は早めに投稿です。


皆様のおかげで200ポイント達成です!


本当にありがとうごぞいます。

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