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同じ人
私はリンの左腕を、右手でそっと掴んだ。
「リン、剣を収めて。必要ないわ」
「…?」
リンが腑に落ちないという顔でこちらを見る。
私はリンに軽く微笑むと、リーダーの男の方へと顔を向けた。
「あなたたちを動かしている人の所へ、連れて行って」
男は一瞬驚いた顔をしたが、すぐにその表情を消した。
「…言われなくても、そのつもりだ」
数分後。
私はリーダーの男に抱えられ、敵の本部へと向かっていた。
その隣にはリンが付き添い、周りは黒衣の男たちに囲まれている。
初めは自分で歩こうとしたのだが、
全身に走る痛みに耐えながらぎこちなく歩く私を見かねて、
男が抱えあげたのだった。
「…ありがとう」
微笑んで礼を言うと、男は黙って眉間にしわを寄せた。
リンが同行するのを許可してくれたことにも礼を言いたかったが、
この人は、言わなくても感謝の気持ちを感じてくれている…
むしろ、礼を言われると居心地が悪くなる…
そんな気がしたので、やめておいた。
別に、悪い人じゃない。
だけど…
たぶん、国王を殺したのは、この人の采配によるもの。
そう思うと、ただひたすらに… 悲しかった。




