絶体絶命
出入り口の方へと歩いてゆくアイツに、俺は何も声を掛けられなかった。
触れてはいけない…
触れることなどできないオーラに、気圧されてしまった。
医師も衛兵も、目を見開いて黙ったまま、アイツを見つめている。
作業をしていた看護婦たちが、慌てて道を譲る。
そして、出入り口まであと数メートルになった…
その時。
ドアがひとりでに開き、お馴染みの男たちが入ってきた………!
アイツが危ない…!!!
そう思った途端、
硬直していたリンの身体は、それが嘘のように動き出した。
アイツを取り囲む黒衣の男たちの頭の上を飛び越え、
自分の身体の後ろにアイツを庇うと、剣を鞘から抜いて威嚇する。
おやおや、と言うかのように、
捕らえられて牢に入れられていたはずのリーダーの男が、リンを見下ろした。
「またお前か。せっかくこの前は王女様に助けてもらったんだから、
もっと自分の命を大切にしたらどうだ???」
男たちの間から笑い声があがった。
「黙れ。今度は、俺が守る」
リンは怯まずに睨み返した。
「その心意気は立派だが、ひとりでどうしようってんだ?」
男も余裕を崩さない。
「二人だ!」
そう叫ぶと、衛兵がこちらへ駆けてくるのが分かった。
だが、男たちの人数の多さに阻まれ、とてもリン達のところへは来れそうにない。
くそっ…
リンは心の中で毒づいた。
このままじゃ、埒があかねぇ…
どうすれば…




