表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/26

崩壊



ずっと沈黙したままの私を不審に思ったのか、

ふとリンがこちらを向き、何か言おうとした、その時。


「リン様? お客様がおみえです」

看護婦のひとりが声をかけてきた。

「誰だ…?」

訝しげに訊ねたリンに彼女が答える間もなく、

甲冑を付けた衛兵が一人、彼女の後ろから勢いよく歩み出た。

「リン! 遅くなってすまない!」

まだ若いその衛兵はリンと顔なじみのようだ。

その手には、鞘に収まった剣が握られていた。

「これを、届けに来た」

そう言って彼は剣をリンに差し出した。

リンは軽く目を見張った。

「あぁ… すっかり忘れてたよ。わざわざすまない。ありがとう」

そして嬉しそうに受け取った。

「気にすんなって。 それで、マーク様のことだが……」

ここで彼は声を落とした。

リンの表情が硬くなる。

「助かるかどうかは、まだ…」

「あぁ。それは俺も聞いた…。 ……それで、実はな…」

ここで衛兵は、眉間にしわを寄せ、言いづらそうに俯いた。

「どうした…?」

不安そうなリンの問いに、彼はぎこちなく言葉を続けた。

「ラウル隊長が奮闘なさってはいるんだが……

もう、衛兵隊は崩壊しているといっても過言じゃない」

「……それは、マークを襲った衛兵のような裏切者が、隊内にはびこっている、

ということか…?」

「…そうだ。 もう、誰が味方でだれが敵なのか…

衛兵同士で、疑い合ってるんだよ…」

「………」



私は、その会話を耳に入れまいとしていた。


それが、自分の命に関わることだと、分かってはいた。

でも、だからこそ、知りたくなかった。

考えたくなかった。聞きたくなかった。


けれど。

私の本能は、その会話を聞こうともがく。

それに抗えない、無力な私。



悶々とした感情が、体の中を駆け巡っていた。

これまで、何度も、何度も経験してきた感覚………



しかし。


突如として、私の中に、

今まで見たこともない人々と風景の映像が

怒涛のように、なだれ込んできた。


その量の多さに、押しつぶされそうになる。



あなたたちは、誰…?

そこは、どこ…?




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ