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瞳の奥
医務室でベッドに左手をつって寝かしつけられた私は。
リンと、たくさん話をした。
というより、私の話をリンにひたすら聞いてもらった、というのが正しい。
私が考えてきたこと、思ってきたことを、できるだけ詳しく話そうとした。
私のことを、知ってほしかった。
リンは隣のベッドに寝そべって、私の話を聞いていた。
時々相槌を打つ以外、なにも喋らずに。
話し終わった私は、リンがじっとこちらを見つめていることに気付いた。
「…?」
私がその視線を受け止めると、リンは静かに言った。
「その瞳」
「え?」
「ずっと、その瞳の奥に、お前は何かを隠してる気がしてた」
エメラルド色の瞳がゆらめく。
沈黙が二人を包んだが、不思議と居心地の悪さは感じなかった。
「あのな」
しばらく続いた沈黙を破って、リンが言った。
「生きるのが面倒だってことは、俺も同感だ」
「リン…」
共感してもらえたことに、私は驚いた。
「だけど…っ」
ここでリンは天井へと視線を移した。
「だけど?」
「……いや、とにかく、その、
話してくれて、ありがとな」
その頬が少し赤く見えたのは、窓から差し込む夕日のせいだろうか…?




