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苛立ち


リンは医務室のベッドに、頭の後ろに両手を組んで寝転がっていた。

まだ朝も早く、人の気配はまばらで、

聞こえる音と言えば、窓の外にいる鳥のさえずりくらいだった。



出会ってから今までのアイツの色々な姿が、頭の中を駆け巡っていた。


助けてやったのに、突然俺の腕の中で子供のように泣きじゃくったアイツ。

王家の血を継いでいることを聞かされたときの驚いて呆けた顔。

読書に没頭しているときの活き活きとした表情。

俺の怪我を心配して、顔をぐちゃぐちゃにして泣いていたアイツ。

周りの人々に傅かれて戸惑った顔をしていたアイツ。

安心しきったあどけない寝顔。


そして時折見せる、儚く悲しげな微笑み………




ぐるぐると変わる表情の陰に、アイツは何かを隠している気がする。

時々俺は、アイツの薄いすみれ色の瞳に、吸い込まれそうになる。

その奥に、何かとてつもなく、暗くて深いものがあるような気がして。


アイツは、何を隠しているのだろう。

いや、隠しているのではなく、俺に見えないだけなのか…?




「ちっ」

リンは舌打ちをして思考を断ち切った。


何で、俺がアイツのために悩まなくちゃならないんだ………!

リンはぶすっとした顔で、いつものように容体を確認しに来た医師を迎えた。


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