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持ち物


朝日が昇り、また新しい一日が始まる。

窓ガラスを通してきらめくぴかぴかの日の光を、

私はきれいだと思ってしまう。

そして、羨ましい、とも。



ふと、窓の前に置かれた椅子に目がいった。

そこにもうリンの姿はない。

椅子だけが、取り残されていた。



いつものようにドアがノックされ、

女性たちによってお召替えと食事が済まされた。



私はうつろな目で、皆が去って行くのを見つめた。

―――何だか、疲れてしまった。


誰かのことを心配するのも。

自分の存在価値を求めるのも。

自分が何をすべきか考えるのも。

自由に動かない手足と過剰な警護にイライラするのも。

自分が何で生きているのか考えるのも。

誰かと会話をするのも。

心にぽっかり穴が開いたようで、苦しくて仕方がない理由を考えるのも。



特に意識して、してきたことではない。

つまり、私の本能…

生き物の本能がそうさせてきた。


自分が何なのか考えること。

そして、畢竟自分は必要ない存在だと分かった時、

誰かとの関わりを求めること。

様々な感情を抱くこと。


全て、その全ては、生きることをやめないように。

そのために、本能として、無意識にしてしまってきたのではないだろうか。



何だか、自分がいるようで、いない。



ある意味、生きることを強制されているように感じる。






―――嫌だな。

私はそう思った。


私のたったひとつの持ち物くらい、自由にさせて欲しいわ。



私は冷めた目つきで、

手足をぎこちなく動かし、ベッドから床へ降り立った………



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