第二話
キャラ増えます。
「だ~れだっ♪」
その声はとても聞き覚えのある声だった。というよりさっき教室でも聞いた声だった。
「・・・何してるんだ愛佳・・・・・・」
「あ~流石にすぐにばれちゃうか~」
「当たり前だろう、何時からの付き合いだよ。というか一体どうしたんだ?」
「ユウが私が来た事に気付かずに、ブツブツ言ってたから目隠しして驚かせてやろうと思いまして♪」
―――『紀野 愛佳』
俺が物心ついた時には隣の家に住んでおり、お隣さんという事で親同士も仲が良く、その影響で俺、妹、愛佳の三人で遊ぶ事も多くいまもそれなりの関係が続いている・・・要は世間一般で言うところの幼馴染である。
「はぁ・・分かったからとりあえず手をはなせ」
「は~い」
愛佳が手を離したことにより開けた視界に愛佳の姿を納める。
「んで、なんでここに?」
「ん~、ユウがHR終わってすぐにふらふらと教室出て行ったから、何かあったのかな?と思って」
部活に入れない・・・というのがその何かなのだが・・・流石にこれを正直に言うのは情けなさ過ぎる。
「実は今日の夕飯は、」
「うそでしょ♪」
「・・・何故分かる?・・・・」
「ふっふ~♪幼馴染を舐めちゃダメだよ、ユウ?」
幼馴染はエスパーにでもなれるのだろうか?
「幼馴染はエスパーにでもなれるのか?」
「付き合いが長いんだからこれ位当然だよ」
「そうか・・・?」
「そうそう♪」
当然の如く俺にはそんなエスパー機能は無いのだが・・・
「いやまぁ、愛佳も知ってると思うんだが俺って部活入って無いだろ?愛佳と違って俺にはお誘いすら来ないしな」
実はこの幼馴染も部活にはまだ所属していないのである。だが、俺とは状況がまったく違う。
愛佳の場合は、その性格や容姿故かクラスでも人気が高く、引く手数多なのだが、俺の場合は入りたい所も無ければお誘いも来ない。しかも俺自身、集団行動が苦手なので実質入れる部はかなり制限されているのである。
「ユウは集団行動とかダメだもんね~」
「そうなんだよなー、この時期は特に部内の結束が高まってるから新入生はともかく、二,三年は入りずらいんだよなー」
「でもちゃんと学園祭までには何処かに入らないとダメだよ?」
「分かってるよ。てか、これでも一応全部活を調べてはみたんだぜ?。・・・どこも入りたいとは思わなかったけど・・・・」
「じゃあどうするの?」
「それを考えるために屋上まで出て来たんだが・・・いい考えは何も思いつかず、だな」
「む~私も入りたい部とか何も無いしな~」
「お前はまだ良いだろうが、お誘いが来てるんだから」
「まぁそうなんだけどね~。ユウはお誘いすら来ないしね♪」
「うるせーよ」
だんだん唯の雑談になってきていた。今日は特に用事がある訳ではないが、これ以上話ていても良い案は出ないだろう。
「てかもうそろそろ帰ろうぜ?」
「そうだね~良い案も出そうに無いしね~」
「んじゃ、早く行こうぜ」
「うん」
「それじゃ、またね~」
「あーまた明日」
愛佳の家は俺の実家の隣なので現在一人暮らし中の俺とは途中で分かれることになる。
ガチャ
「ただいまー」
誰もいないのが分かってはいるのだが、つい癖で言ってしまうのである。
「今日は特に何も無いし、とっとと風呂入ってゲームでもして寝よう」
と、ほぼ何時も通りの行動を終えて寝ようとしていたころ。
プルルルルッ♪
「ん?こんな時間に電話?」
もう10時前である。こんな時間に掛けてくる相手と言えば・・・
ピッ♪
「もしもし」
「もしもし。夜分遅く申し訳ないです兄さん」
「あぁやっぱ桜か、まだ普通に起きてる時間だし問題もないよ」
―――『金ヶ崎 桜』
一つ下の妹で昔から良くなついてくれている可愛い妹である。最近は成長してきたのか、昔の様な天真爛漫さは無くなって来ており、大分大人しい性格である。今は俺が別居中なので、時々遊びに来たり、家事をやってくれたりもする。
「少しお話があったので放課後に一度見に行ったんですけど・・・もう帰ってましたので」
「あー悪い、ちょっと考え事があってな。屋上でたそがれてた」
「悩み事ですか?話し位なら聞きますが」
「いやなぁ、ほら二年になると絶対どっか部に入らないと行けなくなるだろ?それでちょっとなぁ」
「私は、兄さんが入る部に入ろうと思っているんですが・・・まだ決まってなかったんですか?」
桜も同じ部に入るって、責任重大じゃないか!
「ああ、まぁ何か適当に入れば良いんだろうが・・・どうもなぁ?」
「兄さんはそこらへん律儀ですからね」
「ははは・・・てか俺に話ってのは何なんだ?」
今更改まって言うようなお話とは一体なんなのだろうか?
「あぁそうでした。もしかしたら私がそっちに住むことになるかもしれません」