プロローグ
―――私立花乃宮学園――――
創立してまだ間もないが、制服のデザインが可愛い事や付近に学校が少ない等の理由があり、生徒の人数は多く人気の高い学園である。
学園側が部活動に力を入れている事もあり部活動の人気は凄まじく、部活動の数もかなり多い。
運動部は大会に、文化部はコンクールなどに数多く出場、出展しており、そのどれもが入賞という良い結果を残している。
そのため部活動の数が多いにも関わらず、ほとんどの部の人数が2桁に乗っている。――だが、部活動がどれだけ多かろうが、どれだけ人数が居ようが無限に出ない物がある。・・・そう、『部費』である。
なら、その部費はどうやって決めるのか?その答えが、この学園の最大の特徴であり学園の人気をさらに上げている理由でもある。
人数が多いから部費が多い訳ではない。数多く入賞しているから部費が多い訳ではない。ならどうするのか?。
どの部が多く部費を手にするのか?つまりどの部が多く部費を使用するのに相応しいのか。・・・生徒に決めさせれば良い。
つまりは、生徒間での競争―――だが様々な部がある以上どの部が一番優れているかなど決めるのはかなり難しいと言える。ならどうするか・・・その結果となったのが、学園祭での『人気投票』である。学園祭で各部は何かしらの出し物をやり、最後に生徒からどの部が一番よかったのかを投票を取る。
どんな部活動でも部費が多いに越したことは無い。ならば部費の量が決まる学園祭において手を抜くわけには行かない。つまり皆が皆真剣に取り組み毎年かなり高いクオリティの出し物が出され、学園祭は一般の方々も混ざりかなり盛り上がるのである。
―――2017年5月2日―――
今年も例年にもれることなく学園祭二ヶ月前である今日、花乃宮高校はかなりの盛り上がりを見せていた。
・・・そして、この物語の主人公である少年『金ヶ崎 優斗』は―――
「もう・・・・・・帰りたい・・・」
―――屋上で一人たそがれていた・・・。