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私はコレで煙草を辞めました?  作者: 白い黒猫
第二種接近遭遇
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近い未来への決意

 二件の企業を打ち合わせで回り、印刷会社を出たら二時近くになっていた。

 私は腹ペコのお腹を抱え、商店街の外れにあるキャロットという洋食屋さんに飛び込む。

 ランチタイムギリギリアウトだったのに関わらずマスターはお得なランチを勧めてくれた。

 私はこのお店の看板メニューであるらしいオムライスセットを注文する。落ち着いた所でスマフォを見つめ思わずニヤニヤが止まらない。

 Fourspaceというアプリによると清酒さんは今日ドゥーメチエというパン屋さんに行ったようだ。フォツカッチャとクルミパンと南瓜のナンチャラカンチャラというパンを買っている。その後ワゴン販売のカフェで珈琲を買い、桜丘公園で花を眺めながらランチを楽しんでいた。

 今日は天気もよくこの季節にしてはポカポカしているので、そういうランチも気持ち良かっただろう。

 最近はこのパン屋さんにはまっているようで、三日連続ここのパンをお昼にしている。私が今見ているのはスマフォのアプリでユーザーが立ち寄った所に足跡を残していくというモノ。

『自分の行動記録にもなるし、近くにある思いもしない面白いスポットを発見出来るんだよ』

 清酒さんに教えられて、私も使っているのだが、これはなかなか面白い。清酒さんのいう通り、自分の足跡が残せる。さらにスケジュール帳やEvermoreといったアプリ連動させる事で行動記録が自動で作れるのだ。


 小さい職場のため複数の企画に平行して携わり動かないといけない。それだけに自分がどう動いているかを客観的に見返せるというのは大助かりなのだ。後であの場所何処だったかというのも、地図で確認出来る。

 もう一つ楽しいのは、お友達登録した人の行動も覗けるという事。自分と好みの合いそうな人と結びつける事でより広く世界を楽しめるのだ。

 清酒さんともお友達申請をして登録した。すると、そこから清酒さんの日常や行動がボンヤリ見えてくる。

 朝車で出て、駅についているコンビニで買い物して、会社近くの喫茶店で珈琲飲んで職場に。お昼は時間ある時は、目についたお店に入り楽しみその写真と感想を残す。忙しい時はコンビニで何か買って過ごしているようだ。本当に珈琲が好きなので、隙あらば喫茶店やスタンドので珈琲を楽しんでいる。気に入ったと思われる所にはtipで情報を書き入れている。

 訪れている施設は喫茶店が多い。次によく夕飯を食べているらしい定食屋さん、近所にあるらしいクリーニング屋さんと続く。会社の近くのコンビニ・スーパー等々、何故か橋もあったりした。


 そんな情報を確認していたら、料理が運ばれてくる。湯気をホワホワ立てた、黄金色に輝くオムライス。絶妙に半熟で垂れた卵が何とも私の五感を刺激して、テンションも上がる。

 私はその神々しい料理に感動しながら、スマフォで撮影する。Fourspaceでこのお店にチェックイン。


 スプーンで大きめな一口サイズに切り口に入れる。卵の甘みとケチャップライスの酸味が混ざりあい、最高に素敵なハーモニーを奏でる。

 セットとしてついてきたスープが、コンソメに野菜とベーコンが浮いただけのモノなのに美味しい。こんな美味しさで千円切る価格であることが信じられない。

 聞いてみると、缶詰めとかでなくマスターのお手製だという。安く上げる為、骨付きで購入した肉の料理とし、その骨でダシをとっているとの事だった。

『余りもので作ったというと、そんなものお客様に出すなと怒られそうだね。でも骨は本当に良いダシが出るんだよ』

 マスターは、とハハハと笑う。

 私はそれはケチではなく、ランチにもう一品美味しいものを出そうというマスターの愛だと感じた。

 食後の珈琲を飲みながら、満足の溜め息をつき視線を上げると、壁に『大人気キャロット特製タンシチュー』という文字が目に入る。

(よし、次回はアレを食べよう)

 私は、そういう人生にとってさほど重要でないと思われる内容で、固い決意をした。


※注意 Foursquareは私も利用している面白いアプリです。しかしフォローは双方向性のものとなります。従って相手の行動も見えますが、同時に自分の行動も相手に晒している事を理解した上でお友達登録を行いましょう。また自分の行動を思いっきり晒してしまうアプリなので、自分のプライバシーをある程度守った形で利用される事をお薦めいたします。つまりこの物語においても、煙草さんは清酒さんに何処に行って何を食べたかという情報を全て晒している状態になっているのですが、まだ彼女はその事に気が付いていません。

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