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異世界で帰還魔法を使ったら異世界に転送されました

作者: 鱈場蟹
掲載日:2026/04/11

「じゃあ、帰還魔法使いますね」


女神はそう言った。


「よし頼む」


俺は軽い気持ちで頷いた。


異世界転移して三日目。

魔王とか勇者とかはまだ出てないが、とりあえずスライムは倒した。あとゴブリンも倒した。もう普通にバイトみたいなノリになってきている。


で、今目の前にいるのは、いかにも神っぽい光る存在。


「では、元の世界へお戻しします」


「やっと帰れるのか……」


正直ちょっと嬉しい。

異世界、飯はまずいしWi-Fiないし、やることが戦闘しかない。


「帰還魔法、起動」


女神が手を振った。


光が溢れる。


体が軽くなる。


あ、これ帰れるやつだ。


――そう思った瞬間。


ブツン。


「……え?」


光が消えた。


何も起きてない。


「戻らないんかい!!!!」


思わず叫んだ。


女神も首をかしげている。


「おかしいですね……帰還先設定、完了しているはずですが……エラーです」


「エラーで片付けるな」


「確認しますね……」


女神は申し訳なさそうに言った。


「たぶん、上が設定ミスしました」


上のせいにするな。


「私はまだ女神研修3日目です」


結構新人だった。


「修正しますね」


「頼む、早くしてくれ」


女神が再度魔法を起動する。


今度はすごい光だ。


空間が歪むレベル。


お、今度こそいける。


そう思った瞬間。


ピロン。


謎の音が鳴った。


『※混雑しています』


「は????」


「なにこのメッセージ」


女神も困惑している。


「転送先の世界が現在満員で……」


「満員って何!?ホテルか!?」


「少々お待ちください」


「異世界に待機列あるの初めて聞いたぞ」


数秒後。


また光。


今度こそ。


本当に今度こそ。


――バチン!!


視界が真っ白になる。


やった。


帰れる。


やっと――


ドサッ。


地面に落ちた。


「……ん?」


土の匂い。草。空。


見覚えあるようで、ない。


「……どこだここ」


立ち上がる。


目の前に看板。


【異世界Bへようこそ】


「来てるぅぅぅぅ!!!!」


結局来てる。


普通に来てる。


帰還じゃないじゃん。


移動じゃん。


後ろを振り返ると、さっきの女神が汗だくで手を振っている。


「すみません!そこ経由でしか帰れませんでした!」


「ハブ空港かよ!!」


女神は叫んだ。


「次の帰還魔法で元の世界行けますので!」


「信用できるか!!」


とりあえず周囲を見る。


異世界Aとちょっと違う。


建物が少し近代的……いや、近代的すぎる。


看板がある。


【冒険者ギルド・サポートセンター(第3支部)】


「支部増えてんのかよ」


その瞬間。


横から声。


「新規転移者ですか?」


振り向くと、スーツ姿の男。


完全に会社員。


「はい、異世界B転移局の者です」


「役所!?異世界なのに役所あるの!?」


男は淡々と説明した。


「こちらの世界では、転移・帰還の流れを一括管理しています」


「管理されてるの初めて知ったわ」


「ちなみにあなた、今“中継点”です」


「中継点?」


「はい。帰還魔法は必ず異世界Bを経由します」


「女神が知らなかったじゃねぇか!!」


男はメモを見ながら続けた。


「ただし、最近アクセス集中で……」


「また混雑かよ!!」


その瞬間。


空に通知が出た。


『※帰還魔法待ち時間:残り48時間』


「長ぇよ!!!!」


結局俺は、異世界Bで2日待つことになった。


しかもここ、特に何もない。


コンビニみたいな店はあるけど、全部異世界仕様で微妙にまずい。


暇すぎる。


勇者もいない。


スライムもいない。


ただの待機所。


「これもう現代の空港だろ……」


そう呟いた時だった。


隣の席のやつが話しかけてきた。


「あなたも帰還待ちですか?」


「まあな」


「僕3週間目です」


「長っ!!!!!」


もう終わりだこの世界。


その時、また通知。


『※帰還魔法アップデートのお知らせ』


「何をアップデートしてんだよ!!」


内容を見る。


・転送速度向上

・異世界Bの滞在快適化

・広告表示機能追加


「最後いらねぇ!!!!」


空にバナーが出た。


【今なら異世界Bプレミアム会員で優先帰還!】


「どこまで課金制なんだよ!!!!」


俺は空を見上げた。


たぶん元の世界に戻るまでに、あと3回くらい異世界を挟む気がする。


その時だった。


また通知が鳴った。


『※帰還ルート更新のお知らせ』


「またかよ!!!!」


俺はもう驚く気力も薄れていた。


空に新しいウィンドウが開く。


『現在の最短帰還ルートを再計算しました』


女神が横から覗き込む。


「おっ、改善されたかもしれませんね!」


「そのセリフもう信用できねぇんだよ」


画面が切り替わる。


そこには――


『異世界B → 異世界C → 元の世界』


「増えてるぅぅぅぅぅ!!!!」


「え、C?」


その瞬間、スーツ男が走ってくる。


「すみません!緊急連絡です!」


「今度は何だよ!!」


男は息を切らしながら言った。


「異世界Cが……最近開通しました」


「開通って何!?道路じゃないんだぞ!?」


「新興異世界でして、現在テスト運用中です」


「テストに人間巻き込むな!!」


女神が焦りながらマニュアルをめくる。


「えーと……異世界Cは……」


「読むの遅い!!」


画面が再び点滅した。


『※強制転送まで残り10秒』


「は!?待て待て待て!!」


「仕様です!!あと私まだ研修中なので責任取れません!」


「さっきまでこんな仕様なかっただろ!」


俺、いつ帰れるんだよ!

ここまで読んでいただきありがとうございます。

異世界転移ものは数あれど、「帰るだけで異世界を増やされるタイプ」はあまり見ない気がします。

よろしければ感想・評価いただけると嬉しいです!


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