第六話 ついに人間と出会う
ようやく人間が出てきました。
前回の宣言は次回に持ち越しでした、
すみません。
森を歩き続けて一時間。
ようやく森から抜け出せた。
途中でスライムに二匹遭遇し、どちらも倒した。
経験値は同じく10。
クレドもそれぞれ2手に入った。
残り24/50でレベルアップだ。
森を抜けたので町がありそうな方向へ進むことにした。
その時だった。
「……あー、くそっ」
人の声だ。
反射的に足を止める。
……人間、だよな?
声のした方へ、慎重に向かう。
すると、荷車と、その横で困ったように頭を抱えている男がいた。
「車輪が外れてるのか」
どうやら動けなくなっているらしい。
……どうする。
関わらない、という選択肢もある。
この世界の人間が、全員いい人とは限らない。
下手に近づいて、面倒ごとに巻き込まれる可能性だってある。
……でも。
あのまま放っておいたら、たぶん困るよな。
少なくとも、俺だったら困る。
それに――
この世界のことを教えてくれるかもしれない。
よし、助けよう。
「すみません。どうかされましたか?」
声をかけると、男はビクッと肩を震わせた。
「うおっ!? ……なんだ、旅人か。驚かせるなよ。それよりも、変な格好してるな。」
スーツ姿の俺は確かにこの世界だと目立ってしまう。
「遠い地方の出なんで、こういう服なんです。」
「へえ、変わってんな。」
「それより、何かお困りですか?」
社会人の挨拶みたいになってしまった。
男は気にする素振りもなく、
「見ての通りだ。車輪が外れちまって動けねえ。」
近づいて見ると、確かに車軸ごとズレている。
「これは……一人じゃ厳しそうですね。」
「だろ? 工具も足りねえし、参ってたとこだ。」
直せるかどうかは分からないが――
「手伝いましょうか?」
そう言うと、男は目を丸くした。
「……いいのか?」
「ええ。困っているなら。」
「助かる……! 正直、日が暮れる前にどうにかしたかったんだ。」
俺は荷車の横にしゃがみ込んだ。
「何をすればいいですか?」
「そっちを持ち上げてくれ。俺がはめ直す。」
「了解です。」
よいしょ……!
――ガコン。
「おっ、入った!」
男が嬉しそうに声を上げた。
荷車は、なんとか元の形に戻ったようだ。
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「いやー、助かった。本当にありがとうな」
「いえ、大したことはしてません。」
「いやいや、あんたがいなかったら詰んでたぞ。」
男はそう言って笑う。
……悪い人ではなさそうだ。
「そういえば、その服といい、どこから来たんだ?」
一番困る質問だ。
「……ちょっと事情があって、ここら辺の地理に詳しくなくて。」
返答になっていない。
「迷子か?」
「まあ、そんな感じです。」
軽くごまかすと、男は深く追及してこなかった。
助かる。
「ならちょうどいい。俺はこれから町に戻るところなんだ。」
「町に?」
「おう。馬車じゃねえが、荷車なら乗せてやれるぞ」
「本当ですか?」
思わず声が弾む。
「助けてもらった礼だ。それくらいはさせてくれ。」
……これはありがたい。
「ありがとうございます。ぜひお願いします。」
「決まりだな。俺はガルドっていう商人だ。」
男は胸を叩いた。
「ソウマです。」
「ソウマか。よろしくな。」
荷車に乗り込みながら、俺は一息ついた。
最初の一歩は、上手くいったらしい。




