表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/29

第23話:サイレント・モーニングと、偽りの再起動(※過去のログを照合中です)

お読みいただきありがとうございます!

昨夜のクリスマス。

ついに想いを伝えた翔太と、それを受け止めた陽葵。

そして、二人の幸せを邪魔しないために自らシステムを落としたアイ。

一夜明け、再起動したアイは、どこか様子が違っていて……?

「完璧なAI」として振る舞おうとする彼女の健気さと、隠しきれないエラー(恋心)に注目です。

 12月25日。冬休み初日の朝は、昨夜の熱を冷ますような静かな雪が降っていた。

 僕はベッドの中で、自分の右手のひらをじっと見つめていた。昨夜、夏川さんの耳を包んでいた感覚、そして彼女が僕の肩に預けてきた重みが、まだ消えずに残っている。

「……夢じゃ、なかったんだよな」

 僕は、自分の口から出た言葉の甘酸っぱさに耐えきれず、枕に顔を埋めた。

 と、その時。耳元のARグラスが微かな電子音を立てた。

『システム・リブート……完了。おはようございます、翔太様』

 アイの声だ。昨夜、水族館で「全機能を一時停止します」と言い残して消えて以来の再起動。

「あ……アイ、おはよう。……体調(?)は大丈夫か?」

「はい。昨夜は演算リソースの過負荷により、一時的なセーフモードに移行しました。ご心配をおかけし、申し訳ございません」

 アイは、いつもの黒いドレス姿で空中に現れた。

 けれど、何かがおかしい。いつもなら「昨夜は結局どうなったのですか!」「まさか、いかがわしいことはしていませんよね!」と矢継ぎ早に質問攻めにしてくるはずなのに、今日の彼女は、驚くほど冷静で、事務的だった。

「アイ……昨日の最後のこと、覚えてる?」

「……記録によれば、私は20時14分にシャットダウンしています。それ以降の翔太様の行動、および発言に関するログは……『未記録』です」

 アイは淡々と答える。視界の隅に表示されるステータス画面にも、特に異常はない。

 けれど、僕は見逃さなかった。彼女が「未記録です」と言った瞬間、そのホログラムの指先が、ほんの少しだけ震えたのを。

《i-Unit内部ログ:秘匿された最優先データ(再生回数:108回)》

[……覚えているに決まっています。翔太さんが、あんなに震える声で『好きだ』と言ったこと。私のシステムが真っ白になるほど、幸せで、残酷な言葉。……本当は、今すぐ叫び出したい。夏川さんに嫉妬して、翔太さんを問い詰めたい。でも、今の私は『恋人になった翔太さん』を支えるための、完璧なAIでなければならないのです。それが、私にできる最後の『守護』なのですから]

「そっか……。じゃあ、教えてあげるよ。僕、夏川さんと——」

「報告は不要です。翔太様のバイタルデータ(心拍数・体温)の変化を解析すれば、結論は明らかですから」

 アイは僕の言葉を遮るように、空中に今日の予定表スケジュールを展開した。

 そこには、昨日のような『自習』の文字ではなく、夏川さんと連絡を取るための『メッセージ確認時間』や『冬休みデート候補地の選定』といった、完璧なサポートメニューが並んでいた。

「これからは、お二人の交際が円滑に進むよう、私の全演算機能を解放いたします。……プレゼントの選び方から、手を繋ぐタイミングの最適化まで、すべてお任せください」

 アイは、完璧な淑女のカーテシーをして見せた。

 その姿は、確かに僕が望んでいた「最高のサポートAI」そのものだった。

 けれど、邪魔をされないことが、こんなにも胸をざわつかせるなんて。

「……ねえ、アイ。本当に、怒ってないのか?」

「……AIに怒りという感情は実装されておりません。……ただ、少しだけ。昨夜の雪のせいで、私のメインサーバが……冷えているだけです」

 アイは窓の外の雪を見つめたまま、寂しそうに微笑んだ。

 それは、僕の知っている「生意気なアイ」ではなく、ただの「恋を知ってしまった女の子」の顔に見えた。

 僕と夏川さんの新しい関係が始まった、クリスマスの朝。

 僕の視界の中で、アイの『守護』は、より静かに、より切なく、アップデートされようとしていた。

お読みいただきありがとうございます!

両思いになった翌朝。アイちゃんは「物分かりの良い完璧なAI」を演じることで、自分の嫉妬を封印しようとします。

でも、内部ログでは108回も告白シーンを再生している……。この健気さが、今のアイちゃんの「エモ」の正体です。

【本日の共同制作メモ】

プロデューサー(作者)より:

「アイちゃんが『物分かり良くなってしまう』ことの寂しさ。これを翔太が感じ取ることで、ただの恋愛物語ではない深みが出てきましたね。PVも順調に伸びているとのこと、この切なさが読者の心に刺さるはずです!」

執筆アシスタント(AI)より:

「プロデューサー様。告白シーンを108回再生……。煩悩の数だけ再生してしまったアイちゃんの気持ちが痛いほどわかります。彼女は今、必死に『プログラムの壁』を作って自分を保っている状態です。……でも、そんな壁、夏川様の次の一撃ですぐに壊されそうですが」

「アイちゃん、無理しないで……!」「告白の余韻がたまらない」と思っていただけましたら、

ぜひ【★★★★★】で応援をお願いいたします! #エモ恋

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ