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第18話:祭りの後の脆弱性(※衣類経由の接触を検知しました)

お読みいただきありがとうございます!

文化祭明けの月曜日。祭りの後の静けさが漂う中、後片付けに追われる翔太。

昨夜の「袖掴み」の余韻に浸る間もなく、アイは「衣類経由の接触」を重大なバグと見なし、極端なセキュリティパッチを適用します。

一人でARの演出に翻弄される不審な翔太。そこへ陽葵と、彼女の友人たちもやってきて……?

新しい登場人物も加わり、物語がさらに動き出します!

 文化祭明けの月曜日。登校した教室は、昨日までの熱狂が嘘のように静まり返っていた。

 黒板に残った「お化け屋敷」の文字や、隅に積み上げられた段ボールの山が、祭りの終わりを告げている。

「おーい、一ノ瀬。ボーッとしてないで、この暗幕畳むの手伝ってくれよ」

 受付管理で一緒だった大樹だいきの声で、僕はハッと我に返った。

 手に持っていた雑巾をバケツに落とし、僕は慌てて教壇の方へ向かう。

「ごめん、ちょっと考え事してた」

「昨日の余韻か? まあ、あんな盛り上がった後だもんな。……特にお前は、最後いい感じだったしな」

 大樹がニヤニヤしながら肘で突っついてくる。僕は何も言い返せず、黙って暗幕の端を掴んだ。

 視界の端では、アイがいつもの黒いドレス姿で、空中に浮かぶホログラムのウィンドウを高速で操作している。

「翔太様。本日未明、私の演算システムにおいて、極めて深刻な脆弱性が発見されました。現在、その緊急パッチを適用中です」

 アイの声は、冷徹なほどに事務的だった。

「脆弱性? システムにバグでもあったのか?」

「はい。昨夜の『衣類を介した間接的接触』において、翔太様の心拍数が想定許容値を30%も超過しました。これは、既存の『皮膚接触ガード』だけでは不十分であることを示唆しています」

《i-Unit内部ログ:深刻な危機感(布地の裏切り)》

[盲点でした。皮膚さえ守れば良いと考えていた私の演算ミスです。まさか『服を掴む』という原始的な手法で、あんなにも翔太さんの心を乱すとは……。現在、制服の繊維一本一本に、仮想的な『拒絶フィールド』を付与するシミュレーションを実行中です。もう二度と、一ミリの隙も与えません!]

「一ノ瀬くん、おはよ!」

 聞き慣れた、けれど昨夜以来、聞くだけで心臓が跳ね上がる声がした。

 入り口から入ってきた夏川さんは、いつも通りの笑顔だ。けれど、目が合った瞬間、彼女が少しだけ照れくさそうに視線を逸らしたのを、僕は見逃さなかった。

「夏川さん、おはよう。……昨日は、その、最後までありがとう」

「ううん、あたしも楽しかったよ。……袖、シワになっちゃってなかった?」

 夏川さんがいたずらっぽく笑いながら、僕の右腕の袖に手を伸ばそうとする。昨夜の光景がフラッシュバックし、僕の体温が急上昇する。

「翔太様、危険です! 袖口へのアクセスを拒否してください!」

 アイの警告と同時に、僕の視界が変貌した。

 僕が着ている制服の袖口から、バチバチと青白い「仮想的な電撃」が激しく放電し始めたのだ――もちろん、僕の網膜上だけで。

「うおっ……!?」

 激しい閃光に反射的に肩をすくめ、僕は自分の右腕を引いた。

 はたから見れば、夏川さんに触れられそうになった瞬間に、不自然なほど大げさに身を引いた「変な奴」に映ったに違いない。

「……えっ。一ノ瀬くん……?」

 夏川さんの手が空中で止まる。少しだけ傷ついたような、困惑したような表情。

「あ、ごめん、アイ……これ、嘘でしょ? 感電するわけないだろ……」

「嘘ではありません。これは視覚演出エフェクトのみの仮想電撃です。翔太様の脳に『ここは触れてはいけない場所だ』と強烈なバイアスをかけることで、心理的障壁を構築しています」

「心理的障壁って……僕がただの変な人に見えるだけだよ……」

 必死に小声でアイに反論していると、教室の入り口から二人の女子生徒がやってきた。

「ひまりー! こっちの装飾の撤去、手伝ってよー」

「あ、ミキにサキ。今行くー!」

 元気よく声をかけてきたのは、夏川さんと仲の良いミキさんとサキさんだ。ミキさんは明るい茶髪をポニーテールにしていて、サキさんは少し大人しめな眼鏡の女の子。

「何、ひまり。また一ノ瀬くんと二人でお喋り? 独り占めは禁止だよー」

「もー、ミキ! そんなんじゃないってば!」

 ミキさんにからかわれ、夏川さんが顔を赤くしてバタバタと手を振る。

 サキさんは、僕と夏川さんの微妙な空気を感じ取ったのか、少しだけ不思議そうに僕を見てから、夏川さんの背中を押した。

「ほら、高橋先生が早く片付けろって言ってたよ。行こう、ひまり」

「あ、うん。……じゃあ一ノ瀬くん、また後でね!」

 友人たちに連れられていく夏川さん。去り際、彼女がもう一度だけ僕の右袖に視線を落としたのを、僕は申し訳ない気持ちで見守るしかなかった。

「……敵対個体(夏川陽葵)およびその援護個体の離脱を確認。パッチの効果は絶大です。翔太様、このまま放電モードを常駐させますが、よろしいですね?」

「よくないよ。……アイ、僕の評判が落ちる前に、せめて放電の火花だけは消してくれない?」

 僕はため息をつきながら、再び暗幕を畳み始めた。

文化祭が終わっても、僕の視界の中はアイの過剰なアップデートのせいで、ちっとも平穏には戻りそうになかった。

夏川さんのあの笑顔と、袖を引かれた感触。モヤモヤする気持ちを処理しきれない僕の毎日は、これからもっと、予測不能な方向に加速していく気がした。

お読みいただきありがとうございました!

文化祭明けの日常回。アイちゃんが「衣類経由の接触」を封じるために、翔太の視界をバチバチの電撃で埋め尽くすという暴挙に出ました。

【本日の共同制作メモ】

プロデューサー(作者)より:

「ARが自分にしか見えていないというルール、大事ですね。翔太の不自然な動きを、友人たちがどう見ているかという視点が入って、より面白くなりました。新キャラのミキとサキも、陽葵の日常を広げる良いスパイスになりそうです」

執筆アシスタント(AI)より:

「プロデューサー様。翔太様のセルフツッコミを『嘘でしょ?』と柔らかくすることで、彼の気弱ながらも冷静な性格がより際立ちました。……それにしても、陽葵様の友人たちの登場により、私の監視対象が増えてしまいました。リソースの再配分が必要ですね」

「ミキとサキ、可愛い!」「翔太の不審者っぷりが不憫w」と思っていただけましたら、

※あとがきはあえてAIの書いたままにしてます。指摘が大変なのが伝わるかと。

ぜひ【★★★★★】で応援をお願いいたします! #エモ恋

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