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7(ク)


寝そべってたら、いつの間にか寝ていた。


軽く背伸びして体を起こすと、

女の子が大勢が俺の隣りで休んでる。


女の子の群れはこっちで休んでる一方。

男たちは散らばって、

何人かで遊んでる奴、出口を探してる奴。


けれど女の子のように大勢で群がっていない。


立ち上がって体を見ると、髪型がなくなった。

髪留めが抜けたかも


髪留め髪留め、、、、あった


隣りの赤髪の女の子に咥えられてた。


ごくりと、手を伸ばして、取った!

ふうー何をしようかな


昔アニメで見た人妻テールは面白そうだ。

ゆるく束ねて、髪の尾の方で軽く留めて、肩の上に載せようかな


さっそくーーー

って違うわ。遊ぶときじゃないや!


と言っても、まだ逃げ道が見つからないよな


どうしよ。

白い空間に続けると精神を狂うという話が聞いたことある、拷問とかにつかうとか。

これが試験なら結構酷だな。


「むにゃむにゃ」


おい、お前!髪くうな!


赤髪の女の子が俺の髪を口に入れた


ムシャムシャと俺の髪をーー


だから、食うなって!汚いだろう!



髪を強く引っ張ると、何本か髪が千切った


いっだっー!!!


俺の声に、赤髪は目を覚ます。


「うん?

ここは?あたしは、、、たしか、、グルス学園にいって、試験にーーー。

そうだ。

あたし、、、、、、閉じ込められちゃった、、、、」


起きて早々、赤髪の女の子はいきなり泣いた。


「どうして、あたしがこんな目に、、う"ううう、うぐ、、」


ぽろぽろと涙が落ちてきて、見るに耐えなかった。

何も言えない俺はポリポリと頬を掻いた。


「パパ、、、ママ、、、」


ひくひくと鼻水が垂れ始めた。


俺は、ただ聞いてるしかない。

助ける言葉も、慰める才能も、今の俺にはなかった。


どうしようか悩んでると、突然髪が掴まれ、そのまま ーーー


ちーーーん


彼女は、俺の髪で、鼻をかんだ。

俺の髪で、鼻をーーー


事を終えて、鼻水まみれの髪が、ぐったりと地面に落ちていた。

ぬめっと広がって、まるで別の生き物みたいに。


俺は動けなかった。

呼吸だけがゆっくりしている。


「出してよ、あたしを出して、、、」


本人はなおも泣きつづけていた。


まったく謝ってくれる気配がない。

ハア、、怒れないわ。

このままこの娘の周りにいると被害が被りそうなので、一旦退避。


ウへぇ、、、鼻水触りたくない、、、切るか。


タキシードのポケットからラテスが護身用でくれたハサミを取り出し、

鼻水をかかった髪を切る。部分的に切っても埒が明かない。

スパッと全部切っちゃうか。



あ、やり過ぎた。

腰まであった髪がいつの間にか胸辺りまでカットしちまった。

これはこれでなかなかサッパリで、結構いい感じだけど、

ラテスが怒るかもな。

でも、今回はしょうがない。だって、事故としか言えないし


目的もなくふらふらと散歩してたら、騒いでる。



いったい何を、、、、?


、、、、ふむふむ、

動物は危険に陥ると本能的になるって言われるが、

まだ何も起きてないのに、本能剥き出しは良くないと思う

特に、もしこれが試験だったら、失格になるかも知れないのに

良くない、実に良くない


具体的に何をやってると言うと、

カップルの受験者がキスをしてて、

周りに男の子の受験者がそれをみて騒いでた。


ーーーあの男の子、

確かこの空間が記録の魔法とか言った奴じゃない?

コイツもニヤニヤな顔でカップルを見てる、、、


しかし、記録の魔法か。

脱出のヒントになりそうにないな


散歩してると、誰かに触られたような感触があった。

誰だろうって周り見渡しても、近くには誰もいない。




ーーーやはり端っこへ歩けない。

歩いても歩いても、元の場所に戻される。


ハサミを地面に置く。

北へ進み、150歩、地面にハサミがあらわれた。

西へ歩いて190歩、またハサミが現れた。

南に向かって百歩、ハサミが現れた。

東に向かって140歩、元に戻る。


微妙にズレがある。

特に意味はないが、そのことをみんなに言ったら


「それ意味あるの?」って聞かれた


言った瞬間、空気が冷えたのがわかった。

計算して、意味がなくて、でも黙ってるよりマシだと思ったのに。


……まあ、知ってたけど。



赤髪の娘は落ち着いたのか、俺に近づき、頭を下げた


「あ、ごめんなさい、パニックになったとは言え、

大事な髪に...本当にごめんなさい!」


もういいですよ。


「そうですか、何か私にできるものなら何でも言ってください」


食い物はある?


「ええ、えっと、な、ないです...」


そっか


俺は悲しげに自分のお腹を摩る。腹が減った。


更に二時間くらいが経過して、腹が減って鳴き叫んだ

『食いもの、食い物をーーー!』と言う感じ


「腹が減りましたね」


ですね。

俺は答える。


赤髪の娘はポナリと言う、商人の娘。

将来は政治家の息子と結婚する予定らしい。


その為にこの学校に通わなければならないとか、

中世なんて人は道具。現代もそうだが、婚姻で互いを繋ぐのは変な嫌悪が感じる。

やはり俺も現代人だけあって、倫理観は捨てられない。


更に一時間。目がクラクラする。

目の前の赤い肉、美味しそう.....はぁ!


その肉を齧ろうとしたとき、急に目を覚ます。

ポナリは困惑した顔で「どうしたんです?」と聞く。


俺は自分の状態についてようやく確認できた。

そろそろ限界である。



倒れそうになった時、


「あ"ーー!

間違えた、コイツ似た他人だったわ!」


という声が聞こえ、

目の前が光に包まれた。


直後、俺と受験者たちはホールの中にいた。

ホールの中心に、巨大な球体の水晶が一つ置かれてる。


水晶のすぐそばに、髪色が紫よりのピンクの娘がイライラした顔で俺に指差す


「おい、そこの偽者!このリリア様をよく騙してくれるわ!

テメェが神の申し子と同じ髪のせいで誤解させてしまったじゃん!」


うん?どういう.....!!!


まさか、俺を、噂の神の申し子と間違って監禁したっていうのか!?


「そのまさかだ!

あたしも何故コイツ脱出して勝負を仕掛けてこないか、

まさか油断させて、このあたしを負かそうってのかってヒヤヒヤしてたのに、

まさかただのポンコツの凡人だと思わなかった!!

大体何で白髪なんだよ!数年に一度しか見たことないわよ!」


.....閉じ込んでおいて、逆恨みかよ

ていうか、俺だけ閉じ込めばいいだろう!!何で他の受験生まで!?


「万が一暴れられたら、人質として使うつもりだったわ、

何が文句でも?」


何か話そうとした、だが彼女の体から膨大な何かを噴出した。

恐ろしい何かが襲ってきた。


俺は怯えて後ずさる。


代わりにポナリが俺の前に立ち、腰にぶら下がる剣を抜いた。

...手が震えながら


「も、も、も、もしかして、あなた、が、か、、かの有名な魔女、

リリアなんですか?」


「ほう、知ってる娘かい?そうだ、あたしがリリアだ、

知ってるならそこを退け、イラついたんで、ここでコイツをバラバラに殺しますわ!」


こ、殺す?

ひ、ひえええ!!


逃げなきゃと思った。

でも、足が……いや、体が固まって動かなかった。



「く、クライス様、早く逃げてください!」

ポナリが叫ぶ。


「「ま、魔女リリアだーー!!!

みんな逃げろうーーー!!」」


その声を皮切りに、全ての受験生が一斉にホールから逃げ出した。



魔女?なんだそれは?

魔法少女の成れの果て?


「ちがーー早く逃げて!!」


ポナリが言い終えると、魔女は彼女の前に瞬間移動し、腹パンを食らわせた。


「邪魔な小娘、でも殺さないわ

可愛い女の子は殺したくない」


一撃、たったの一撃で、ポナリは何かを吐き出し、気絶した。


「さあ、君はこっちに」

ポナリに気を取られ、突然背後から声がした。


あ、死ぬ

ふと思ったのがそれだった。


その思いに俺はパンツを濡らし、臭いを漏した


「チビったのかい?

あの小娘よりビビりじゃない。

....情けない奴だ、適当に魔物の餌にでもなりな!


ーーー『テレポート』」



ふわりと何かに包まれて、意識が飛んじゃう。

激しい揺れと侵食感に、俺は吐きそうになった。


ぼんやりにラテスの顔が見えたような気がする。

「ラテス」と、俺は手を伸ばした。


幻だった。

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