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6(ク)


午後二時が試験の時間、俺は復習などしてもしなくても同じだから寝た。

朝ごはんを食ってからひたすら寝た。

そしたら鼻が変な匂いを嗅いだ


今何時?


目が開ける前に、ふと顔に違和感があった。

具体的に言うと、温い(ぬるい)鼻の息が、顔にかかってるのを、感じる。


「よい寝顔ですね」


耳元で囁くその声が、俺の体を震わせる。


ああ、夢だ、これは


俺は現実逃避に走り、また深い眠りにーーー

とそのとき、髪が愛でられる感触があった。


鳥肌が立った。


流石に現実逃避は駄目だとすぐにわかった。

髪を愛でる手を握り、目を思いっきり開ける。


そこにはにこやかなラテスの顔があった。


人が昼寝してんのに、

というか、寝てないのか?

俺が添い寝してやるなら寝る、

そう言ったのはお前だろう?


「寝てましたよ?二時間ほど。

クライスのいびきがうるさいのが悪いよ」


そうなのか、、、、、そんなにうるさいのか

ごめんな気づかなくて、じゃあ今後は別の部屋で寝ることにするよ


「え、あいやいやいや、、冗談、冗談だよ、いびきなんてないよ!」


うん?じゃあ何でウソを?


「いや、クライスの可愛い寝顔を見るためにーーー」


あははっ!気色悪いこと言うなよ?

はーーやっぱ部屋変えるか、、、


「あ、ごめん、いや、違うんだ!、、、実は、あの、勉強! そう、試験のために復習したんだ!」


復習?ほんとかよ?

証拠は?


あ、、、確かに本が枕の上に乱雑に置かれてる、ならウソじゃないか。

じゃあ何で俺を起こした?

もう時間なんか?


「そうだよ、一時になったんだ」


はあ、、、もうかよ

いかなきゃいけないのか、、、

一回死んだのに、まだ試験にとらわれるとかマジかよ


まだ頭が少しぼんやりしていた。

体を起こすと、少し緊張し始めた。


「クライス、水飲む? 

寝起きは喉乾くでしょう」


ラテスが勝手にコップを差し出してくる。


ありがとーー


「あ、うん、嫌いなら別のにーーー」


どうでもいいよそんなの


受け取って飲むと、ひんやりした水が胸の奥まで落ちていって、けどまだぼんやりする。

昼は寝るに適してないな。


はあ、、、試験か、嫌だわ


「そんなに試験のこと嫌なん?」


ラテスがそんなことを聞いてくるから、俺は思わずむせそうになった。


試験戦争の敗者にそう聞くな、

悲しくなる、、、


「クライスは敗者じゃないよ」


それなりに真面目に勉強したのに、一向に成績が伸びない奴が敗者じゃないなら、誰だってチャンピオンだよ。そこは慰めなくていい


「クライスの前世って、あ、いや、ちょっと気になるんだけどーーー。

どうしてそんなに、誰もが勉強するのかなって」


そりゃ、、、、あれ?えっと、企業に入るためには、高学歴が必要なわけだから、そのーー


一生懸命に言葉を紡ぐ俺に、

ラテスは「大体理解した」と声を発した


「つまり、金が稼ぐために勉強してるんだね?」


まあ、うん、そうだね、

そうしなければ、食っていけないしな

俺も、金がなかったから病院へ通えなくなり、

ひとりぼっちで家で死んじゃった


「今は大丈夫だよ、僕にはそこそこの資産がある 。 加えてイグネットはパトロンになってくれてる。金の問題はない」


ラテスは俺の手を握った。


うん、感謝してるよ

学校は通いたくないが、いろいろと感謝してる


ところで、顔、近いだけど、そろそろ離してくれないかな?



「もう少しで」


何が?


靴を履きながら窓を見ると、王都の街路が陽光に照らされて白く輝いていた。

二時試験に向かう子どもたちの姿がもうぽつぽつと街道に現れた。


結構淘汰されたはずなのに、残った奴こんなにいんのか


ドアを開けると、何故かドアの前に、お嬢様とメイドのカリナさんがそこに立ってた。


お嬢さま?


「あ、あらら、奇遇ですね」


奇遇ですね?

ところで、もしかして先程のこと、全部聞こえました?


「いええ、"もう少しで"しか聞こえてませんわよ?」


ああ、なるほど。

ふう、良かった、転生者のくだり聞かれてないのか、、、



俺は馬車に乗ったとき、お嬢様はまだラテスと外で話してた。


「ありがとう、ラテス様、素晴らしいシチュを見せてもらって」


どういうことなの?



試験会場に着いた、各々の魔力のレベルに応じて会場に行くらしい。


俺はランク4。

ラテスはランク7、お嬢様はランク9。

ランク9は無条件に最上位クラスに行けるらしい。魔力チェックで6割免除、試験に出て、能力相応の成績なら免除額も破格の8割。

それでも天才と比べて弱いけれど。


今年新入生の中、天才と呼ばれる子供は四人、神の申し子は一人。

かなり恵まれた年らしい。

前の神の申し子は二十六年前だったから。




ついでに、ラテスとは別々の試験会場だから、

これら全て試験会場であった人

ーーープラフさんに教えてもらった。

プラフさん曰く、神の申し子は俺と同じく白髪で、モノを創造する力を持ってるらしい。


魔力チェックの場で、一滴の血で測定装置がバグり、彼女は能力を発動し、ミノタウロスを作って、会場を混乱させたらしい。



凄いな、ミノタウロスって




ランク16の魔術師が十数人がかりでも死なず、最終的に神の申し子自身の命令で、ミノタウロスが消滅。


聞けば聞くほどチートキャラだ。


自分なんて、ただの農民の子。


「まあ、気にするな、イグネット様に支援させられるなんてとんだラッキーだ。

オレなんて三割でも免除額稼げないなら通えないんだからな、

実の親に『ポンコツに魔法を学ばせるなんて、時間の無駄だ』って言われたぞ?」


俺のラッキーは幼馴染がすごい人だ、じゃないとお嬢様とコネなんて持てるわけない


「そう自分の卑下するな、クライスも十分凄いよ、

農民の半数は無魔力者の家系だから。

いわば突然変異?

まあ、つまりだ、クライスは恵まれた人だ。

たとえクライスは認めなくても、

君は十分すごいよ、オレはそうお思う」



そうか、ありがとう、、、プラフさん


「"さん"は止せ、同い年だぞ?」


え?同い年?


「オレ、十二歳だけど、クライスは違うのか?」


プラフ"さん"、俺の弟より高身長だけど、、、

これで、じゅ、十二歳?


「そうだぞ、もしかして、そう見えないの?

家の両親は兵士と図書館の受け付けだから、

遺伝子に恵まれたかもな」



こんな巨人が、俺と、同年代、、、

てっきり去年落ちて今年受けにきた人とばかりに、、、そういえばこの世界にも浪人っているのかな、、?



「あ、ほら、行くぞ、時間だ」


ベルが鳴った。本当だ。

プラフにいわれ、人の流れについていき、

歩いた先には、大きな光で目が遮られ、周りからパニックの声が聞こえる


どうした?プラフ?


俺が目を開けて見ると、

目の前は、大きな白い部屋が広がってた。


その部屋には、俺と十人いるかってくらいの受験生しかいない。隣りにいるはずのプラフもいなかった。


「おい!?どういうことだ!

試験はどうした!」

受験生の一人が怒鳴る、しかしその声はすぐに掻き消された。誰からも返事がこない。

静かな部屋、歩いた音でさえ大きく感じる。


さすがに怖いかったのか、女の子が何人か群がっていて、一斉に泣いてる。


俺は目的もなくあちこちに歩いて回ったが、

何もなかった。


俺は地面掘ろうと奮起したが、手が痛い。

端っこに歩こうと頑張ったが、辿り着けない。

二時間が経ち。


俺は地面に寝そべって、ぼうっと天井を眺めたら、小さいカメラがあった。

俺たち、観察されてるのか?


そんなときに、群れの中のある女の子が立ち上がる、そしてこう宣言する


「これは試験だ。

私たちがどう対応するかの試験!そうでなければ、誰かが来て、私たちに要求やらなにかを突きつけてくるはず!それがないなら、試験として見るべきじゃないか!」


俺は立ち上がり、彼女に歩み寄る。


上に変なものがある


カメラに指さすと、受験生全員、彼処を見た。


「お、俺知ってるぞ!これは記録の魔法!

俺たち、記録の空間に閉じ込められたんだ!」

一人の受験生が叫ぶ。


「それ、出る方法とか、あるの?」

もう一人の女子が聞く


「いええ、そこまでは知りません、、、、」

受験生が答える


結果は魔法に閉じ込められたことを知れて、けどその先は未知のままだった。


俺は地面に寝そべって、またぼうっとしはじめた。

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