13(ク)
ラテスが寝て数時間。
俺は死別を覚悟した。
けど。
その更に数分後、俺はこの覚悟を捨てた。
死にたくないのもあるが。
一番の理由は、ラテスがまた死にかけた。
ーーー
神に問った。
血を使って脳を使う能力は、一体なんなのか。
その答えは
『素早く精子を摂取するため』の術。
例の勇者は脳イキと名付けたが、
その本質は血を通して体ごと操る行為。
つまり本来は脳ではなく、睾丸、前列腺を操るに特化してる術だ。
脳をいじれるのは、まぐれだ。
脳もたまたま操れただけで、別に種族特性とかではない。
サキュバスは、サキュバスであって、バンパイアではない。
血を操る奴は百万のサキュバスの中に一人がいても奇跡という。
俺が出来たのは、当然まぐれ。
神は、"できる"って言って、
俺もその言葉に乗っかって、
ほんとうに出来たのが真実。
『しかっし、
慣れるの早いのう...
わしでさえ、完全にコントロールまでに十年はかかったのじゃが』
ぐだぐだ喋らないで、
早く手伝え!
ーーー
今。ラテスの脳に異常がきたした。
食料をうまく吸収できていないため、血はみな胃腸に行ったせい...だけではない。
インスリンが出てくる。
これも亡くなった患者さんの知識によるが、
インスリンってのは、急激に多くと、人が死ぬらしい。
そして寝て二時間辺りで、明らかに、膵臓辺りの血に、変なものが増えてる。
フラッシュバックでインスリンという言葉が口から出てきた瞬間、
それがラテスの死を齎す存だと気づく。
神に頭の血の部分を担当させた。
インスリンの制御はやはり脳がするものだが、俺はその制御部分が見つからないので、
神にやらせた。一発で出来た。さすが神。
俺は一部の血を膵臓辺りに移動させて、コントロールに当たった。
意識が削られて、今度こそ死ぬと思ったが。
もしまたラテスに同じことが起きたら、これが無駄死になる。
『せっかくわしの信者になったというのに、
チン○咥えずに死ぬのは駄目じゃぞ、もっと踏ん張れ!』
っるせえ!!!
奮闘して一時間
ーー俺は、慣れた。
ラテスの体調はまだ完全に治ってないが、
二つのところの血を同時に操ればいい。それだけで症状が治まった。
『わしより能力を使えとる、
もしや、君って天才ってやつかい?』
疲れで返事はしたくない。
一時間後。
俺は小屋の椅子の上に座り、
ベッドの上のラテスを見つめる。
少し膨らんだ腹を上下させ、ゆっくり寝息を立てている。
『あの膨らみ、ええのう、シャブりたくなるのう~』
....何でこんなことになっただろう
ラテスの言う通りならば、今頃学校にいって、
楽しい異世界テンプレを味わえたのに
『今はそんなことより、どうするんじゃ?
魔力はどうするんじゃ?』
聞くなよ。
わかってるって
やればいいんだろう?
『嘘じゃないな!!?』
騒ぐな。
一応言っておくが、したいわけじゃない、
あくまで生存のためだ
『ちん○!○んぽ!おち○んぽ!』
はいはい、騒ぐな。
ラテスを起こさないようにそっと外に出た。
夜の山は冷たく、川辺の石ころを踏みながら、昼でみたものを探す。
...あった。
ガラスの空き瓶。
ふう、なくなると思った。
これで容器が確保した。
『...!』
どうしたの?
『おい、君!
まさか....!
脳イキさせて、精液をあの筒の中に入れるなんて、思ってないじゃろうな!』
そう思ってるだが、
もしかして直接受け入れなかれば、効果がないのか?
『そんなことはない....じゃが!
貴重な精液、せっかくの食事を、
そんな勿体ない方法で...!』
神の趣味なんて、どうでもいいよ...
埃を払い、水で軽くすすいで持ち帰る。
明日朝までに補充しないと死ぬから、早くしないとな。
『頼むよ、一回でいいから、しゃぶってくれないかのう?
わしは、わしはほしいのじゃ!
あの感触を、粘り気を!
口でしかわからないあの旨味を!』
などと、変態が供述してる。
小屋に戻り、ラテスを確認する。
寝てる。いびきがでかい。
前はいびきなんてしなかったのに。
ほんとに5ヵ月も過ぎちまったな。
ベッドの端に座って、ラテスのズボンを下ろす。
パンツからとてつもない臭いが鼻に入りこんだ。
臭い。
『お"お"お"お"お"お"お"お"お"!』
神は嬉しそうに叫んだ。
たぶん何ヶ月も働き汗を流し、風呂を浴びず、夢精も何度もして、その果てがこの匂いだろう。
とてつもない臭い。
臭いだけどーー
何故か香ばしく感じる。
例えば極上のチーズをトッピングしたパスタ、それの匂いに近いかもしれない。
脳がバグった。
っ!
クソ!コイツ!
おい!俺の鼻をも弄ったな!
『違うのじゃ、わしはただわしの感覚を君とリンクしたにすぎん。
そのおかげで、えずくことはなく、
静かでいられるじゃろう?』
それは、そうかもしれないが...
顔をソレに近づく。パンツを脱がしてーー
『うお"お''お"お"ーー!!!
この甘美ーーー!
すばらしい!
千年振りじゃーー!』
うるさい!
ぐっと離れると、神は情けない声をでる
『なんで離れるのじゃ....!
嫌じゃ!わしはこのチン○を舐めたいのじゃ!』
うるさい外野の声を無視して、
ラテスの性器を触る。まだ小さい。
インスリンのコントロールは止められない。
睾丸は操作できそうにない。
なので、直接脳を操作する。
昔俺がみたポルノを、
そのままラテスの脳にダイレクトアタック。
小さな茸は、
雨にも負けず、風にも負けずに、冷たい空気の中で立ち上がった。
ラテスは呻き声をあげた。
「いやだ、僕は、僕は...クライスのことが...」
寝言?
深く考えないでおこう。
頭の中で神の声が響く。
悲鳴じみた声だ。話の内容があまりにも下劣なため、無視することにした。
茸のすぐ先端から透明な液が滲み出す。
ラテスの荒い息が耳に入る。
出ない。刺激して三分も経つが。
出る気配がない。イン〇?
『健康的じゃ、わしにはわかる。
これはつまり、刺激が足りないのじゃ』
いや、俺の知ってるジャンル全部入れたけど....
『...試しに、ラテスにキスされるときの記憶を挟んでどうじゃ?』
なんだそれは。
『試しじゃ。一回だけ。
あ、念のため瓶を準備しとけよ?』
言う通りに、瓶の口を股間に近づけて構える。
キスされたときのイメージを、そのままラテスに送ると。
ラテスの体が震え、そしてーー
「っ……はぁ……クライス...!」
寝言。
そして、ビュービューと、勢いよく瓶の中に入る。
一回、二回、三回。
瓶の壁から垂れて、底に溜まる。
回数のわりに、量はあんまり多くない。
栄養失調の体じゃ、これが限界かも。
『っうお"!....うおーーーん?あれ?』
さすがの少なさに、神も困惑する様子。
胞子を出し尽くした茸は、ついに倒れる。
瓶を開けて、鼻を近づかせる。
瓶の中は、そこまでイカ臭くない。
神は失望して溜め息をした。
『もっとコヤツを太らせろ。
匂いに期待してみれば、少な過ぎるじゃ』
ラテスのせいじゃない。
それに体弱ってんのに、無理やりさせたんだ。
『っそうじゃった、ごめんなのじゃ...』
素直で宜しい。
瓶の口を唇につけて、目を閉じて一気に喉を通す。
ふうー。
これでいいのか。
『量も好きなければ味も薄い...でも違わない。
この味は...ううう...やっと飲めた』
なんやかんや喜んでた。
体感では一口で全部戻った。
まじで半端ないな。薄いのにこれとか。
『当たり前じゃ。
ただの魔力補充液ならそんなに好きなわけなかろう。
もっともっっっっと濃いやつなら、
体力バリバリ増強、魔力もどんどん増えるのじゃ!』
魔力が回復したが、今夜は寝れないな。
寝て血のコントロールが緩んだら危ない。
神よ、覚醒剤みたいな効果の魔法はないか?
『そんなこのあるわけ無かろう....それにあってもたぶん効かないぞ?
サキュバスは精液が一番じゃから』
そうか。
瓶の蓋を閉め、もっかい水で軽くあらって、
川辺の近くの樹の下に隠す。
夜の空気を吸う。
目まいがしない、いい気分だ。
川を眺めて、少しすっきりしてると、
神はあっけらかんにこんなことをいった。
『そういえば、教えてなかったのう』
なんだ?
『わしが君にやった祝福を覚えてるか?』
もちろん覚えてるが.....
『人間を女にするたった一つの祝福。
じゃが千年前は手軽に変え過ぎて、
ちょいと恨まれてのう。
うちの寝床を荒らしたとは言え、
女になった奴らは、仲間に無理やり乱暴に扱われ、
最後は...風俗行きになったのじゃ。
そのことで、わしも少し心を病んでのう。
じゃから術を変えた』
...と言うと?
『好きな男の精液を手で触ること。
それが発動する条件。
もっとも、発動するにも、5年はかかるじゃが。』
ーーー何がいいたい?
『...落ち着けてくれ。
そんな言い方はしなくていいじゃろう...
つまりじゃな、君の祝福は、
今さっき、瓶を飲んだ瞬間に、発動したのじゃよ。
5年にかけて、君は女になるんじゃ』
ーーーーーへえ、そうなんだ。
夜はまだ長い。
俺は目を閉じ、息を吐いた。
小屋に戻り、しばらく椅子の上でぼうっとした。
女になる。女になる。
そうか。そうなのか。
脳内で、
村から今日に至るまでの出来事が高速で再生される。
走馬灯のように。
再生が終わった瞬間。
俺は、気づいた。
この世界に来て、一番懐いた奴がラテスってこと。
なあ、神は俺のことを何でも分かるだろう?
それなら、聞いてもいいか?
『な...なんじゃ、恨んでも、もう変えられんぞ?』
いやそれはもういい。
聞きたいにはさ。
俺ってさ。
もしかしてだけど、
ホモだったり、するのか?




