第六話 戦いと試験
「ど、どうにかしないと...!」
マヤを助けるべく、アーリアは前へ飛び出した。そしてナトに魔法を発動しようとした瞬間、後ろから声とともに矢が飛んできた。
「アーリアちゃん避けて!」
アーリアが振り向くとそこには赤髪ポニーテールの少女が弓を構えていた。
「サルベスちゃん!?」
マヤが叫んだ。その時、サルベスが宝石を掲げて呪文を唱えた。
「栄光の炎よ、この手に燃え盛れ!」
そしてサルベスの弓矢に炎が宿りナト達に向けた。弓を引くその手は美しく、凛々しい顔をして立ちふさがった。
「ちょっとナトさん一回帰ろぉー...!」
どうやら金髪の少年はナミールというらしい。ナミールが無理矢理ナトの手を引いて帰ってしまった。呆然と立ち尽くすマヤとサルベスとアーリア。嵐のように去ってしまった二人を見送りながら三人は不思議に思いながら図書館に戻った。
アーリアはマヤにサルベスについて訊いた。サルベスはこのグランダリア国立魔法学校の二年生で炎の使いだそうだ。弓が主な武器で宝石で炎を宿せるらしい。
「大丈夫でしたか!?」
ヘレナが事件を聞きつけて戻ってきた。相当焦っていたのか持ってきた本を落としてしまった。ヘレナとサルベスは知り合いのようで二人は会った瞬間話し始めた。マヤはアーリアにこっそり耳打ちをした。
「サルベスちゃん、ヘレナちゃんとは入学時からの友達らしいわよ!あはっ、まあこんなことは置いといて試験勉強よ!」
勉強に熱すぎるマヤだった。
席についた二人はあんな事がありながらも試験勉強を始めた。今回は試験本の最終回だ。アーリアは前回までの復習をしながら最終問題に取り組んだ。
そしてついに試験当日の朝、アーリアはマヤの家に泊まらせてもらっているので家にはサルベスとヘレナとリザが迎えてくれた。
「アーリアちゃん、試験頑張ってね...!」
そしてリザが一つのお守りをくれた。
応援するようにみんながアーリアの手を握ってくれた。アーリアは決心し、魔法学校の入口へと進んだ。正門には新入生と見られる子たちがぞろぞろと登校する。マヤがいない不安に駆られながらもアーリアは一歩踏み出した。
試験場に案内されると机にはたくさんの問題が配られていた。アーリアと受験生たちは席につき、白髪ツインテールの試験官が教卓の前にたった。
「私はアリーシェル。この学校の魔法科担当よ。皆さん、今回は試験がんばってくださいね」
アリーシェル先生が指示をすると一斉に試験がスタートした。アーリアはマヤと学んだあれこれを思い出しながらリザからもらったお守りを握りしめた。
魔法を発動するために必要なのは...?宝石...!
アーリアはスラスラ解いていき、無事筆記試験は終わった。次は特に頑張った実技試験だ。召喚士になるための技術と魔法、マヤたちと遺跡へ訓練に行ったこと、召喚獣パチェとの訓練、アーリアは順番が来るまで目をつぶってみんなとの訓練を思い出していた。
[続いて千六百十七番、アーリア・エイフェーノ!]
アーリアは驚いて言葉に詰まりながらも勢いよく返事をした。みんなの思い、受け継ぎます...!
次回、第七話 決勝