第五話 図書館の住人
図書館に戻ってきた二人は早速魔法科過去問を広げた。過去問にはまず魔力が千ほど必要であると書いてある。一応現状では千以上あるが実力はまた別だ。マヤは早く入学させてあげたいそうだが、この厳しい魔法世界となると今の実力では少し難しいだろう。魔法化試験は筆記試験と実技試験があり、筆記試験では魔法の主な知識、魔物の知識、ダンジョンの知識が必要である。実技試験では立ち回り、技術が必要である。まずは筆記試験対策だ。知識系は勉強で身につけるしかない。マヤとアーリアは図書館に向かった。マヤはアーリアを連れて魔法学コーナーへ連れて行った。魔法学コーナーにはダンジョン図鑑、魔物図鑑、魔法学入門書なんてものもある。興奮気味のアーリアは魔法学本を漁った。
すると後ろから話しかけられたと思ったらチョーカーをしたまつげの長い金髪ショートの可愛い子が立っていた。
「やあ君、魔法学勉強中かい?てことは...初心者ってことかい?」
マヤとアーリアは彼を見つめてぽかんとしていた。どういうことかとマヤが訊くと彼は徐ろにハートとリボンの付いたステッキを取り出し二人に向けた。
「AVA様に頼まれてんだ、俺は君を倒す!」
そう言ってステッキを構える彼を前にマヤとアーリアはパニック状態。
「くっ、アーリアちゃん、戦うよ!」
「わ、私もですかぁ?!」
初めて召喚魔法を発動するのがこんなところになるのかとワタワタしていると彼が魔法を唱えだした。
「善には罰を。罰点!」
そう彼が唱えると彼のステッキが光だし、暗黒の炎を放った。
「きゃあああ!」
「アーリアちゃん!召喚魔法を唱えて!」
マヤとアーリアはパニックになりながらも魔法を唱えた。初めての召喚魔法で上手くいくかもわからないままアーリアは必死に叫んだ。
「いでよパチェ!汝の力を与え給え!」
そう叫ぶと床に魔法陣が光だし、紫色に輝いた。すると魔法陣から紫色で白い羽の生えた可愛い生物が現れた。
「こ、この子がパチェ...!?」
パチェは彼に飛びつき、魔法を発動した。
「やだやだ!俺死にたくないー!ナト助けてー!」
意外と可愛い反応の彼にくすっと笑いながらも警戒心は解かない。そして数分後、突然マヤが悲鳴を上げた。
「きゃあああ!アーリアちゃん!」
アーリアが振り向くとそこには背の高い青髪の男に拘束され首にナイフを向けられるマヤがいた。アーリアは二対一の状況でしかもまだ入学もしてない勉強中の初心者ときた。アーリアは必死に考えたがパニックでなかなかいい方法が浮かばない。マヤは身動きが取れず、魔法で抵抗することもできない。そして青髪の男が口を開いた。
「ふん。馬鹿らしい。これだから善は嫌いだ。」
アーリアはこの集団は善が嫌いなのかと考えた。だとしても人を陥れるのは気に入らない。アーリアは必死に訴えた。
「そそそそんな事させません!わわ私が相手です!」
「アーリアちゃん!?危ないよ!まだ...!」
止めるマヤを振り切ってアーリアは前に出た。まだ未熟な呪文を唱え、パワーはないがマヤとの鍛錬で召喚には慣れたようだ。
「ふん、愚か。そんな力では敵わん。」
ナトと言う名らしい青髪の男はマヤを拘束しながらナイフを向けた。
「俺は死なない。」
次回、第六話 戦いと試験